http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/822.html
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「TPP参加後は食の安全と確保そのものが巨大アグリ・ビジネスに掌握される
TPPのメリットとデメリットをきちんと客観的に勘案することによって、TPPに冷静に対応する心構えが必要であるなどと、まことしやかに話の口火を切る文化人が多いが、この論法自体が甘すぎるというか危険である。
TPPが日本にとって損か得かという文脈なのだが、その段階は2年前にとっくに過ぎている。百歩譲って、その筋で考えたとしてもTPPで得することは何もない。TPPはそういう損得次元の問題ではなく国家の屋台骨が崩れるかどうかの国防問題である。
TPPは農地売買の規制を撤廃させるという恐ろしい問題があるが、今回は日本人の食卓と家計に何が起こるか少し想像してみたい。
TPP賛成派である中島厚志氏(経済産業研究所理事)は次のように書いている。
(TPPは消費者の強力な味方 供給者目線だけでTPPを見てはならない
http://wedge.ismedia.jp/articles/-/2775?page=1 )
「中略―TPPへの参加については否定的な意見も根強い。なかでも農業が厳しい状況に置かれることが懸念され、政府もTPP参加で農業生産額が3兆円減少すると試算している。
確かに、高率の輸入関税が維持できなくなり、農産物が自由に輸入されるようになると、日本の農業への打撃は大きい。そして、国内での農業生産をいかに守るかは、日本の食料安全保障にも通じる大きな課題だ。
一方で、TPP参加は消費者メリットがとりわけ大きいことにも目を向けなければならない。TPP参加で日本の農業生産額が減少することは、とりもなおさずその減少分のかなりの割合が消費者に食料価格下落で還元されることを意味する。」
これなどは賛成派の行うメリット・デメリット論の典型であろう。中島厚志氏は世界先進諸国に比べて、家計の食費に占める割合(エンゲル係数)の高い日本がTPPに参加すると、家計の飲食費の比率は最大で1割程度下がると試算している。
しかし、この論法には、食品の安全性と食料が世界の大手アグリ・ビジネス会社の寡占供給になるという、TPPの最も重大な論点が抜け落ちている。まずエンゲル係数が下がるという、いわゆる「消費者受益論」の大欠陥は、海外依存の食品価格が平滑化され安定状態に至る前の過渡的な段階だけを切り取り、それを定常化している点にある。
確かに輸入初期には、巨大アグリ・ビジネス会社が提供する穀物や加工品などの食品は、驚くほど低価格で浸透していくだろう。しかし、これが国内生産農家を駆逐してしまったら、あとは競争原理の勝者が思いのままに値段を吊り上げ、国民には食の選択肢が消える。
これに対して、ごく当然の対処策としてこの巨大食品の流通に対し、何らかの規制を掛けようとするすべての試みはISDS条項によって無効化される。事実上の独占禁止法の無効化である。理不尽に見えるが、これがTPPの本質である。
ISDS条項は内国制度を凌駕して上位に来る。これを日本国憲法第98条がバックアップする形になる。
第九十八条
この憲法は、国の最高法規であつて、その条規に反する法律、命令、詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、その効力を有しない。日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、これを誠実に遵守することを必要とする。
日本の食卓はTPPに参加すると多国籍企業の支配下に入る。日本の食糧は彼らの政治戦略でコントロールされる。異常気象で作物が不作になったときは供給が停止される。これに加え、国際政治的な交渉事で日本に譲歩させるために、アメリカ・コーポラティズムは恣意的に日本を兵糧攻めにする特権を持つ。これは彼らの胸先三寸で日本を飢餓列島に変えることができる。
食糧は完全に戦略物資であり時には武器以上の攻撃力を持つ。これに加え、国内農家がモンサントの種子で作物を作り、それ用の農薬を使うと化け学的に土壌が汚染され、国土の生態系は破壊される。再び非遺伝子操作系の種子を植えようとしても育たない。
遺伝子操作された食物を食べ続けるとどのような悪影響が出るか分からない。危ないことに気付いて国産品を求めても、生産力と土地を多国籍企業に奪われた農家には即応的な復元力は全くなくなっている。大金持ちだけが特約農家の作ったバカ高い安全な国産品を口にできる。
中野剛志氏も触れていたが、多国籍企業のアグリビジネスが日本の販売会社や流通システムに食い込むということは、彼らの巨大な資金が要所要所に投入され、グローバル資本の利権システムががっちりと構築されてしまう。こうなると後戻りできなくなる。
このように構造的な不可逆性と相俟って、ISDS条項、ラチェット規定、NVC条項、スナップバック条項、最恵国待遇などの毒素条項は、日本の社会構造を短期間で変えてしまう。元に戻すには50年とか100年かかるかもしれないが、そこに至るはるか前に日本は滅ぶだろう。
TPPを経済的な損得勘定で捉えていること自体がすでに心理的な罠に嵌まっているのである。TPPが話題になってから政府は食糧自給率の話題を回避している。」
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/05/post-5a05.html
何という事でしょう。すでに安倍総理は「第二の成長戦略」と称して、巨大アグリ・ビジネスに日本の農業を委ねる事を表明してしまいました。
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農地接収の野望・成長戦略第二弾 農民から農地を召し上げ法人化、企業参入そして・・・ ()
http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/816.html
投稿者 笑坊 日時 2013 年 5 月 18 日 15:49:31: EaaOcpw/cGfrA
上記記事より読売新聞社説部分を抜粋
「安倍首相は、成長戦略第2弾の柱として「攻めの農業」の実現を打ち出した。「農業の構造改革を今度こそ確実にやり遂げる。農地の集積なくして、生産性向上はない」と述べた。改革の方向性は間違っていない。
目玉となるのは、首相が「農地集積バンク」と呼んだ新たな農地仲介制度である。農林水産省が早期導入を目指している。 現在、農地売買などを行っている都道府県の農業公社に強い権限を与え、農地を管理する機構に衣替えする。機構が小規模農家などから土地をいったん 借り上げ、大規模化を目指す農家や農業法人に橋渡しする仕組みだ。」
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