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★孫崎享氏の視点ー(2013/05/15)★ :本音言いまっせー!
日本維新の会の橋下徹共同代表が13日従軍慰安婦問題で容認の発言をした。
今日本には大変な混乱の中にある。芸人に許される行動は政治家に
許されるわけではない。その混乱を橋下氏や石原氏がおこなっている。
橋下氏や石原氏の発言は芸人、作家には許される。
政治家には別のルールがある。
別の表現をしよう、
芸人が風俗に入りびたりであっても、芸人生活は終わりにならない。
作家も同じである。作家が風俗に入りびたりであっても、作家生活は
終わりにならない。人間の弱さ、業を描く人として称賛されることもある。
しかし、政治家は異なる。政治家が風俗に入りなら、政治家生活は終わりである。
私は昨日次のツイッターをした。
「橋下市長:RT「りょう@no710ppo。米軍相手にポン引きするな!」,
ポン引きは存在する。しかしこれまでの政治家は、ポン引きをしないもの
としてきた。」
橋下氏や石原氏はこの境界線を破ることで、政治家としての人気を得ようと
している。
当然のことながら、米軍関係者は売春を擁護しない立場を打ち出している。
1: 毎日新聞が掲載した記者団との一問一答(要旨)の抜粋は
次の通りである。
・従軍慰安婦10+件問題も、意に反してそういう職業に就いたということで
あれば配慮しなければいけないが、なぜ日本だけが取り上げられるのか。
慰安婦制度は世界各国の軍が活用した。朝鮮戦争やベトナム戦争でもあった。
銃弾が飛び交う中で命をかけて走っていく時に、精神的に高ぶっている集団
に休息をさせてあげようと思ったら、慰安婦制度が必要なのは誰でも分かる。
韓国とかの宣伝の効果でレイプ国家というふうに見られてしまっているのが
一番問題だ。
・聞かれなかったから言わなかっただけ。当時の状況で(慰安婦10+件制度を)
活用していたのは事実。自らの意思でそういう職業に就いた人もいたで
しょうし。現代社会だって風俗業が職業としてある。
・普天間飛行場に行った時、「もっと風俗業を活用してほしい」と言ったら、
米海兵隊司令官は凍り付いたように苦笑いして「米軍では禁止している」と。
建前論ではだめだ。そういうものを真正面から活用してもらわないと、
海兵隊の猛者の性的なエネルギーはきちんとコントロールできない。
2:これに対する支持派の見解を見てみたい。
・日本維新の会の石原慎太郎共同代表は14日、橋下氏の発言について
国会内で記者団に「軍と買春はつきもので、歴史の原理みたいなもの。
(買春は)決して好ましいものではないが、橋下氏は基本的に間違ったこと
を言っていない」と述べ、擁護した。
3:米国自体の反応
14日星条旗新聞報道
・米国の兵士は、日本に赴任した時に、
「マッサージ店などは米軍兵士にとって禁止地帯になっている」ことの
説明をうけている。
・性的産業は犯罪と密着する。
・Jon Nylander, Commander Naval Forces Japan spokesmanは
「米国は人間の尊厳、道徳的完璧さ(integrity)を重んずる。
よって決して売春を擁護しない」と述べた。
4:評価
売春は社会に存続する。
しかし、望ましいと判断して存続しているのではない。出来売れば、
ない社会になって欲しいが、需要がある中で禁ずることができない性質
のものだ。
したがって世界の主要国家の中で、仮に売春が何らかの形で存続していた
としても、それぞれの国の政治家はそれを正当化することはない。
それが一種のルールである。
橋下氏が述べたように「米海兵隊司令官は凍り付いたように苦笑いして
“米軍では禁止している”と」述べる性質のものである。
例え米軍内に利用しているとしても、公には“米軍では禁止している”との
立場をとる、それが一つのルールである。
お笑い芸人や、作家は社会のタブーに挑戦し、この一種のルールに挑戦した
発言をする。
その際、社会は「お笑い芸人や、作家」の発言であるからしょうがないと、
一応容認する。そして、この「お笑い芸人や、作家」は個人的利益をうける。
今日本社会はこのルールが変わろうとしている。
社会で公の地位に就く者は言わないことにしようやの暗黙の約束事に、
「お笑い芸人や、作家」の理念を持ち込んでいる。それを社会が容認し始めた。
政治というのは、社会を改善するという前提で成立している。
「悪を容認する」というのは、今日の社会システムとは異なる
今日の政治の場で行ってはいけない約束事がある。
人権の侵害だ。
人権の侵害の存在を表から肯定する、これは行わないのが現代政治の
ルールである。
世界の指導者で、どの指導者が、「人権の侵害の存在を表から肯定する」か。
お笑い芸人や、小説家には許容される。
ポン引きは社会に存続する。しかし、政治家がポン引きしていいものではない.
日本の社会でお笑い芸人や小説家の許容範囲を政治の場に開き直って
持ち込んだのが石原氏であり、橋下氏だ。そして国民は拍手喝采した。
こんな政治的雰囲気とは決別すべきだ。
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