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さすがに橋下氏と思わせる絶好のタイミングでの歴史認識発言である。
昨日来の橋下氏の歴史認識発言は、本音が半分、安倍自民党別働隊としての挺身活動的側面が半分というものであろう。
橋下氏の「従軍慰安婦制度必要論」は、国内・国外を問わず指弾を受けて当然のものだと思うし、いくつかの表現は大きく配慮を欠き挑発的なものとも思っている。
その一方で、安倍首相らの歴史認識発言に較べると、認めるべき点は認め、謝罪すべき点は謝罪し、主張に具体性もあり、立場も、内閣総理大臣ではなく「大阪市長&野党共同代表」であることを考えると、橋下発言に対するメディアや政界の反応は“過剰”と言いたくなる。
橋下発言にそれほど“反応”するのなら、内閣総理大臣安倍氏の中身のないデタラメな歴史認識発言にもっと“反応”すべきである。
しかし、歴史認識発言問題を我が身に引き寄せることになる“過剰反応”は、橋下氏の狙いでもあり、彼もほくそ笑んでいることだろう。
そのような状況が生まれたことで、安倍政権は、「橋下発言」に苦言を呈する行為を通じて、自身の歴史認識問題発言についての“免罪符”を手に入れることができ、総選挙前から物議を醸し続けてきた歴史認識問題言動の“幕引き”もスムーズにできるようになる。
菅官房長官の定例記者会見での記者たちのやり取り経緯を確認すればわかるが、歴史認識問題は、米韓首脳会談を挟んだ5月7日から10日をかけて大きく転換したと思っている。
7日の記者会見で、従軍慰安婦に関する「河野談話」の見直しについて米国のシーファー前駐日大使が懸念を示したことを問われ、「『見直しを含めて検討』という内容を述べたことはない」と従来の姿勢からの転換をうかがわせる回答を行った。
そして、9日までは、安倍内閣も「村山談話」を引き継いでいると言いながらも、実質的には「村山談話」を否定するかのような説明に終始していたが、10日になると、「村山発言」の継承は植民地支配と侵略を謝罪した部分も含むのかと質問され、「村山談話」全体を引き継ぐと答えるに至った。
それでも、「村山談話」の「アジアの近隣諸国等の人々に、いまなお癒しがたい傷痕を残しています」や「多くの人々に耐え難い苦しみと悲しみをもたらした」という内容を繰り返し言葉にする一方、それが「我が国の侵略行為や植民地支配」によるものという部分はけっして言葉にしないという態度を貫いている。
そのような状況で生まれた橋下氏の「歴史認識」発言である。
安倍氏の歴史認識言動は、日本人や日本には甚大な被害をもたらすが、怒りの“反応”を見せている近隣諸国の政治的指導者にとってはありがたいお土産である。
韓国の朴大統領は、安倍氏の発言を強く糾弾し、オバマ大統領との首脳会談でも安倍首相発言を取り上げることで、“親日派”ではないかという疑いを払拭しつつある。
中国共産党指導部も、「安倍氏的日本」の存在が軍事力強化や国内向け強権統治そして愛国心醸成の“言い訳”や“雰囲気作り”に貢献してくれていると感謝しているだろう。
(※ 中国外務当局が4月27日になって突然26日の「核心的利益」発言を修正したことから、4月25日の川口順子参議院議員と楊国務委員(外交当局トップ)の会談で、尖閣諸島領有権問題の“棚上げ”が確認された可能性があると思っている)
米国支配層も、安倍発言で東アジア諸国が国民レベルで一体になることなくいがみ合うことで、仲介者としての存在意義を高めることができる。
安倍氏の武張った“右翼的発言”は、国内及び近隣諸国国民相互の分断や対立を招くものだが、各国の政治的支配層にとっては重宝なシロモノなのである。
これまで何度も書いてきたが、過去に両国から“大きな政治的恩義”を受けた安倍氏は、対中国・対北朝鮮の関係を改善するために昨年末内閣総理大臣になった政治家である。
共産党やオウム真理教そしてイスラム武装組織などでみられるように、“スパイ”のほうが、より熱心に教義を唱え活発に活動し過激な方針を打ち出す。
安倍氏は、自身に課された政治的目的を隠すため、“右翼的”言動を利用しているのである。そして、それは幸いなことに、国内政治的に、「強い日本」「昔も今も名誉ある日本」「信念を貫く強い指導者」を志向する層を支持者として取り込む役割も果たしてくれるので一石二鳥となっている。
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