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「竹島の日」に抗議する韓国の市民活動家。一方で景気低迷を背景に、韓国国内で安倍晋三政権の「アベノミクス」を評価する声も=2月22日(ロイター)
2013.05.14
http://www.zakzak.co.jp/economy/ecn-news/news/20130514/ecn1305141530004-n1.htm
韓国の景気低迷が深刻化しつつある。通貨ウォン安が是正され、輸出が鈍化しているためだ。北朝鮮よりも安倍晋三政権の「アベノミクス」を警戒する韓国だが、現地紙には『安倍政権がうらやましい』というコラムが掲載され、本音もチラリ。「ウォン安」と「サムスン電子」の“看板”だけで成長してきた韓国経済も曲がり角を迎えている。
■日銀の異次元緩和に揺れる韓国経済
大阪・泉州沖。関西国際空港には今、連日多くの外国人観光客が降り立つ。一時1ドル=102円にまで急落した円安ドル高効果で、新関西国際空港会社が発表した3月の外国人旅行客は前年同月比37%増の36万5490人と、3月としては平成6年の開港以来、最多を記録した。
空港ターミナルでは、世界各国のさまざまな言語が飛び交うが、その中には靖国神社参拝問題などで関係が冷え込む韓国からの旅行者も見受けられる。
その韓国の大手紙、中央日報(日本語版)に掲載されたコラムが話題を集めている。インターネット上の電子版によると、タイトルは『妄言を繰り返すも安倍政権がうらやましい』。アベノミクスによる日本銀行の異次元緩和は「円高」の流れを一気に「円安」に変え、5月9日には1ドル=100円を突破、13日には約4年7カ月ぶりに102円台前半にまで下落した。
この円安は、2008年以降、ウォン安でサムスン電子、LG電子、現代自動車など輸出産業が隆盛をきわめ、わが世の春を謳歌(おうか)していた韓国経済の状況を一変させた。
そのためか、韓国のメディアはアベノミクスを危険視、警戒する記事を一斉に掲載。国全体が「北朝鮮よりもアベノミクスに戦々恐々」とする中、中央日報のコラムは「安倍政権がうらやましい」と本音をさらけだしただけに、その反響は大きい。
■「日本が蘇る」「韓国が弱まる」
執筆者はキム・ヨンウク論説委員で、経済専門の記者。コラムはアジア開発銀行研究所の朴在夏(パク・ジェア)副所長の「日本は最近どうか」という質問に対する答えから始まる。
《「以前の日本とは確実に変わった。すべて一度やってみようという雰囲気だ。日本が蘇るようだ」》
この日本評に対し、韓国については真逆の評価を朴副所長の言葉として引用する。
《「韓国は最近どうか」という質問を国内企業の数人の役員にしたところ、全く違う言葉が返ってきた。「意欲が次第に弱まっている」。》
日本が復活しつつあるのは、政府が3本の矢を同時に放ち、4重苦(円高・高関税・高税率・高エネルギー費)をなくすという明確な目標を示し、「それにむけて一斉に動いているためだ」と指摘。半信半疑だった国民も、大胆かつ果敢に政策を実践する安倍政権に対し、「この政府なら経済を再生できるとういう期待が生まれた」とする。その上で、韓国の現状をこう厳しく分析する。
《韓国は逆のようだ。もともとこうした“活気”は私たちのものだった。通貨危機と金融危機を速やかに克服したのはそのためだった。しかし今は違う。国全体が意識を失いかけているようだ》
このコラムが指摘するように、韓国経済は低成長が続き、まさに今、転機を迎えている。
■利下げもウォン高傾向は変わらず
4月25日に韓国銀行(中央銀行)が発表した1〜3月期のGDP(速報値)の民間消費は前期比0・3%減と5四半期ぶりにマイナスに転落した。さらに日銀が4月に決めた異次元緩和の影響でウォン高円安が進行。ウォン安を背景に世界中で自動車、デジタル家電などのシェアを高めてきた韓国企業だが、ウォン高で価格競争力が低下し、業績は急速に悪化しつつある。
こうした逆風を受け、韓国銀行は5月9日、政策金利を7カ月ぶりに0・25%引き下げて年2・50%にすることを決めた。ただ、関係者の間では「ウォン高が再び2008年頃のようなウォン安にふれることが当面ないだろう」(証券アナリスト)という声が大勢をを占めている。
韓国は財閥系の大企業を優遇し、国全体の経済力を高めてきた。この政策に対し、韓国国民の中には不満がくすぶり続けていたのは事実で、それは韓国最大の企業であるサムスン電子が同国で最も嫌われている企業の1社というところにも表れている。
国全体が上げ潮のときはこうした不満もまだ表面化していなかったが、今回のウォン高等にともなう景気低迷をきっかけに「人々の意欲が落ちている」とコラムは指摘。しかも、今後の目標が不明瞭(めいりょ)なため、失望感が広がっているという。
それだけに、2年後に物価上昇率2%という明確な目標を打ち立て、それにむけて前に進む日本の安倍政権がまぶしくうつり、韓国にとっては「うらやましい」のかもしれない。
■最後は相変わらずの「上から目線」
《目標を立てるなら鮮明にするべきだ》
《自分たちもよく分からない創造経済は後回しにする。そうしてこそ国民が信頼してついてくる。妄言に妄言を繰り返す安倍政権にも及ばないとは…》
コラムは、お約束ともいうべき日本に対する“上から目線”で締めくくられている。しかし、それでも活気を取り戻しつつある日本がうらやましく、また脅威に映るというのが、今の韓国の本音というのは間違いない。(島田耕)
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