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2013年05月12日11時00分 東スポ
自民党の川口順子参院環境委員長(72)が9日、解任されるという憲政史上初の出来事が参院選前のドタバタ国会で繰り広げられたが、もう一つの「憲政史上初」が生まれようとしている。今夏の参院選で鞍替え出馬を模索している民主党の室井邦彦参院議員(66)の辞職が同日許可され、尾辻かな子氏(38)が繰り上げ当選することになった。その尾辻氏は、レズビアンであることをカミングアウトしており「同性愛を告白した日本初の国会議員」が誕生する。
参院選まで2か月と差し迫った終盤国会で突如、議員バッジが転がり込んできた幸運の持ち主は、07年の参院選で民主党から全国比例で出馬していた尾辻氏だ。比例順位29位で落選したが、当選組の辞職が相次ぎ、お鉢が回ってきた。
尾辻氏は07年の参院選で異色候補として、注目を浴びた。高校時代はテコンドーでアジア大会優勝、シドニー五輪銅メダリストの岡本依子(41)と五輪出場権をかけて争った実力の持ち主。03年に大阪府議に当選し、政治活動中の05年、「東京 レズビアン&ゲイパレード」で同性愛者であることをカミングアウトした。
この勇気ある行動を国政へ担ぎ上げたのが、当時、民主党代表だった小沢一郎氏(70=現生活の党代表)。尾辻氏は参院選1か月前に同性愛者のフェスティバルで事務所スタッフ女性との結婚式を行うパフォーマンスで、根強い偏見との闘いを宣言。
選挙戦では、同性愛者のメッカである東京・新宿2丁目に事務所を構え、ピーコ(68)らの支援を得て「レズビアン、国会に一撃」のキャッチコピーで訴えたものの落選。昨年の衆院選では大阪5区で出馬したものの再び敗れた。
日本ではLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー)への差別や偏見、暴力問題は国会の場でほとんど議論されていない。
欧米をみてみると、オバマ大統領(51)は同性婚支持を表明し、アイスランドのヨハンナ・シグルザルドッティル前首相(70)は同性愛者であることをカミングアウトしたうえ、同性婚した世界初の厳守を務めるなどして、議論、法制化が進んでいる。
地方議員では性同一性障害を公表した上川あや世田谷区議(45)ゲイを公表した石川大我豊島区議(38)や石坂わたる中野区議(36)が東京で活動するなどしているが、国会議員ではまだ誕生していなかった。諸外国にやっと追いつき、晴れて尾辻氏は同性愛者、少数者を代表して国会議員になるが、当の本人は今では、どうやらレズビアンを武器にはしていないようだ。
ホームページでは「介護現場の経験からケアワーカーの挑戦」と介護福祉問題への取り組みが紹介され、6年前に掲げた「セクシュアルマイノリティー(性的少数者)のための法整備」の政策が消え、プロフィルでもレズビアンをカミングアウトした事実に触れていない。
実は昨年の衆院選時からレズビアンのキャッチコピーがなくなり、ネット上では「レズビアンでなくなってしまったのか?」と騒がれた。
尾辻氏の事務所に確認すると「正式に当選証書を受け取るまではコメントは差し控えたい」と言葉を濁す。そこで、尾辻氏をよく知る関係者に聞いてみると「彼女は間違いなく今でもレズビアン。 人権問題、ジェンダーフリーにはしっかり取り組んでいて、セクシュアルマイノリティー活動をないがしろにしているということはない。選挙の時にレズビアンのイメージだけが先行してしまい、有権者にはまだ偏見や抵抗感も多い。表だってうたうのは控えたのでは」と話す。
国会議員としての任期はわずか2か月しかないが、6年前の勇ましいコピー同様に「レズビアン、国会に一撃」を放てるかーー。
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