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★「天木直人氏の視点ー(2013/05/11)」★ :本音言いまっせー!
日台漁業協定が鳴り物入りで調印されたのは4月10日だった。
それを報じるメディアは当時一斉にそれを評価する報道を流した。
尖閣問題について中国と台湾を分断する見事な外交だと。
それについて私は4月12日のメルマガ第260号
「日台漁業取り決め合意の功罪」で書いた。
なぜ日中台三カ国の漁業協定交渉を目指さないのか、中国に喧嘩を
売るような外交をしてこれ以上日中関係を悪化させてどうするのか、と。
なによりも沖縄漁民の頭ごなしに、沖縄漁民が不利益を被るような外交
をすることは許されないと書いた。
それから1か月ほど経って、あの時の日台漁業協定の矛盾が露呈した。
4月10日の漁業協定調印から一か月ほどたった5月7日、初めての
日台漁業委員会が台北市で開かれたという。
しかし操業の共通ルールについてまとまらず、見切り発車で協定が
5月10日にも施行されるという報道がなされた(5月8日朝日、産経、
5月10日読売)。
こんな馬鹿な事があるだろうか。操業のルールも決まらないまま協定
が調印され、その上に共通ルールが決まらないのに協定を運用するという。
混乱は起きないのか。
そう思っていたらきょう5月11日の朝日が次のような記事を掲載した。
すなわち、この日(協定の運用が始まる5月10日)、安全に操業
できないとして日本漁船は入らず、台湾漁船ばかりだった、と。
台湾船は20−30トンと大きく船員も六人はいるが日本船はほとんど
一人か二人。「台湾の船を見たら沖縄の船は近寄ってこないよ」、と
台湾漁業組合の関係者は余裕の笑みを浮かべているという。
日本が取り締まる権利を有している水域近辺で10日朝まで漁をして
いた日本漁船の船長は、仕掛けたはえ縄が2か所で切られ、浮き球2個
もなくなっている事に気づいたという。レーダーには台湾船らしき10隻
が移っていたという。
「ルールが決まっていないからこうなるんだ」と怒りで顔をゆがませた
という。
なぜこんな馬鹿な事が起きるのか。
それは、「尖閣問題について中国と台湾の間に楔を打つ」などという
机上の空論外交を繰り返す外務官僚が、日本の漁民のことなど無視して、
日台漁業協定の合意を急いだからだ。
国民の都合など考えない血の通わない官僚任せ外交の弊害の典型例で
ある。
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