http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/529.html
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韓国の朴大統領と米国のオバマ大統領の首脳会談が終わった8日から9日に変わる深夜放送されたNHK総合テレビの「時論公論」は、当初(電子番組表で予約するとその時点のタイトルが録画タイトルとして残る)、「米韓接近 孤立する日本」という刺激的なタイトルだった。
そのタイトルを見て、政府の政策実現をサポートする広報活動に励むことを内規としているNHKが、思い切ったテーマで番組をつくったものだと感心し、録画の予約を行った。
(むろん、NHKが究極的に気にかける相手は、日本政府や与党ではなく、占領時代に身についた米国支配層ではあるが・・・)
5月8日から9日にかけての菅官房長官の定例記者会見では、米韓首脳会談で取り上げられたとされる安倍首相の歴史認識問題をめぐって数多くの質問が飛び交う情況があり、NHK幹部も、官邸や自民党がこの問題でナーバスになっていることを知っていると思ったからである。
そう思う一方、“米中接近”や“米朝接近”という事実なら「孤立する日本」という説明につながる話だが、日本以上に「従米」である韓国と米国がより接近したからといって、それがそのまま日本の孤立に結びつくはずもないからおかしなタイトルだとも思った。
日本を置いてけ堀にした“米韓接近”であれば、日米韓ではなく、日米・米韓という関係性にとどまるというだけの話であろう。
NHK解説委員が“米韓接近”で日本が孤立すると考えているのなら、韓国のみならず、米国までもが、日本を袖にするような現状認識を持っていることになる。
解釈が間違いと言いたいのならタイトルを付けたNHK解説委員(当該番組は朝鮮半島問題に関わる出石解説委員の担当)に本意を説明して欲しいが、「米韓接近 孤立する日本」というタイトルを付けたのは、安倍首相の歴史認識について、米国政権も、韓国政権と同じように“危惧”を抱いており、安倍首相が歴史問題についてこれまでのような言動を続けるなら、韓国や中国だけではなく、米国からも相手にされなくなるという思いがあったからと推測する。
そのようにNHK解説委員が考えたワケは、おそらく、2月の訪米で安倍首相が受けた冷遇の背景に安倍氏の「歴史認識発言」があることを知っているからであろう。
しかし、NHKは、当時のニュースで、他の安倍自民党政権提灯持ちメディアと同じように、日米首脳会談を大成功と持ち上げ、民主党政権政権時代におかしくなった日米関係が復活したと報じている。
NHK幹部が、安倍首相の2月訪米首脳会談が“失敗”ないし“不調”であることを知りながら、大成功と持ち上げる報道を行ったのなら、戦前戦中の“翼賛報道”に匹敵する“犯罪行為”であろう。
私は、現政権中枢の「安倍―菅ライン」は、愛国者を装った日本破壊者であり、意図的に、日本が国際的に“孤立”に向かうような言動を繰り返していると受け止めている。
そう考える根拠は、安倍氏が、国内向け及び近隣諸国向けに“右翼的”言動をして挑発する一方で、米国支配層には、そのような言動についてこっそり謝罪を行っていることにある。
安倍氏は、国際的に大きな波風が立ち、国際的には許されない内容とわかっていながら、歴史認識に関する“右翼的”言動を繰り返しているのである。
(※ 念のため、私自身は、「敗戦責任論」を掲げており、極東国際軍事裁判的歴史評価を“学術”的に正しいと考えているわけではない。国際的政治問題として、現在の日本の内閣は、もう決着済みとして黙して語らないか、語るとしたら極東国際軍事裁判に基づくものでなければならないというだけである)
(※ 菅官房長官は7日の記者会見で、「河野談話」の見直しを示唆したことはないと語ったが、米韓首脳会談後の8日・9日の記者会見では、実質的に「村山談話」を“変更”するような歴史評価を繰り返していた。それにツッコミを入れられない日本の主要メディア記者の知性もしくは心性にはがっかりさせられる。この問題について別途投稿をしたいと思っている)
ただ、読売テレビ「ミヤネ屋」関連投稿で書いたが、「安倍氏の“右翼的”言動がどのような意図に基づいているものか見極めはつかない」。安倍氏及びその追従グループの“単独犯”なのか、ある外国勢力の差配を受けての行動なのか見えてこない。
※ 関連投稿
「安倍首相に対する「不快感」を世界に晒したオバマ大統領:安倍自民党政権の誕生により民主党政権より悪化した日米関係」
http://www.asyura2.com/13/senkyo144/msg/609.html )
「読売テレビ「ミヤネ屋」が、訪米した安倍首相がオバマ大統領に冷遇されたワケを「従軍慰安婦」問題での“右翼的言動”と解説」
http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/440.html
そのような思いを持っていたので、「米韓接近 孤立する日本」というタイトルを掲げたNHKの『時論公論』に期待した。
しかし、番組タイトルが温和なものに変わっていたことにまずがっかりした。
なぜなら、新聞の見出しと同じで、多くの人が内容を細かく吟味するわけではなく、タイトルの表現がどのようなものかで人々に与える印象が大きく変わると思っているからである。
番組を見た印象だが、タイトルや言い回しを慎重なものに変えたりはしているようだが、内容の基本的スタンスは変わっていないように思えた。
政府のサポーターであることを自認するNHKらしく、締めくくりは、「まずは、日韓共に、言われたら言い返す、やられたらやり返すという悪循環を断ち切る努力から始めるべきではないだろうか」という“喧嘩両成敗”的訴えであった。
番組の一部を紹介したい。
まず、米韓首脳会談で、米韓同盟の強化や北朝鮮に対する硬軟両用政策が確認されたことを説明した。
それに続く部分は、それじゃあ、「日本に対する見解は対照的だった」とは言えないだろうとツッコミを入れたくなるものだった。
出石解説委員:「今回の会談で両首脳から示された日本に対する見解は対照的でした。オバマ大統領がともにアメリカの同盟国である韓国と日本の連携を強調したのに対し、朴大統領は北東アジアの平和のためには日本が正しい歴史認識を持たねばならないと発言したということです。
そして、朴大統領が日本の歴史認識に不満を示したものと考えられますが、首脳会談での発言としてはいくぶん穏当に欠けるという印象を受けました。」
読めばわかるように、オバマ大統領の「ともにアメリカの同盟国である韓国と日本の連携を強調」という発言は、朴大統領の発言とは違って「日本に対する見解」ではないから、両者の「日本に対する見解は対照的だった」いう評価は誤っている。
私は日韓の連携を求めたり重要視したりする立場ではないが、朴大統領も、オバマ大統領と同じように、韓国と日本の連携を重要と考えており、そ「のためには日本が正しい歴史認識を持たねばならない」と言っていると評価する方が正鵠を射ているだろう。
朴大統領の対日評価を「首脳会談での発言としてはいくぶん穏当に欠けるという印象を受けた」と出石解説委員は語っているが、韓国メディアによれば、安倍政権の歴史認識を問題視した「朴大統領の発言に、オバマ大統領も共感を示した」と言われている。
(韓国聯合ニュース:「朴大統領「日本は正しい歴史認識を」=韓米首脳会談 」: http://japanese.yonhapnews.co.kr/Politics2/2013/05/08/0900000000AJP20130508001100882.HTML )
出石氏は朝鮮半島担当のNHK解説委員だから、オバマ大統領も共感を示したことが事実かどうか確認することはできるはずである。
仮に、オバマ大統領も、朴大統領の認識に共感を示し、安倍首相の歴史認識に問題があると思っているのなら、訂正前のタイトルである「米韓接近 孤立する日本」にリアリティ性が強く生じる。
さらに言えば、「首脳会談での発言としてはいくぶん穏当に欠ける」と思われるような発言が米韓首脳会談で行われたことは、逆に、“事態の重大性”をうかがわせるものと言えるだろう。
NHKが、「社会の木鐸」を任じ、日米同盟を日本にとって最重要国際関係と考えているのなら、安倍首相らの歴史認識発言が国際的なかんずく米国政権にどのように受け止められているのか、曖昧ではなく明確に示すべきである。
日本国内閣総理大臣の歴史認識発言は、それが“学術”的に正しいかどうかという問題ではなく、現在の国際政治でどう評価されるのかという問題なのである。
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