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2013/5/10 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
その間、自民党政権がズッと続き民主党政権はわずか3年半だけだった
株価がすさまじい勢いで上がっているが、これは世界中が金融緩和を始めたからだ。黒田日銀だけじゃない。米国に加え、欧州やインド、オーストラリアが利下げに踏み切り、どこもかしこも金利引き下げ競争のようになっている。
そうしたら、一気に株価に弾みがついたのだが、ここで素朴な疑問。金融緩和って、そんなにすごい特効薬だったのか。だったら、なぜ、これまでやらなかったのか。
とくに日本は自民党政権がずっと続いてきた。民主党政権なんてわずか3年半だ。自民党がその気になれば、とっくに日銀に大胆な金融緩和を実行させ、景気を上向かせることができたはずだ。そうすれば政権から転落することもなかっただろうに、おかしな話だ。
過去にこれほどの金融緩和を「やらなかった」「できなかった」理由はハッキリしている。それだけ危険で副作用があるからだ。では、その懸念はもう雲散霧消したのか。そこが問題だ。
実は米国でもこんな政策を続けていて大丈夫なのか、と懸念する声が上がっている。レーガン政権で行政管理予算局長を務めたデビッド・ストックマン氏は、米紙ニューヨーク・タイムズに「FRBは金利をゼロに下げ、1時間6億ドルという信じがたい速さで紙幣を印刷している」と、こんな論文を寄せている。
〈米国は財政、道徳、知性の面で破綻している。FRBは将来圧倒されることになる通貨戦争を誘発した。今のバブルがはじけると崩壊を止めることはできなくなる〉
〈今後10年余りで政府の負債総額が今の17兆ドルから30兆ドルになり、対GDP比105%から150%に達するだろう。国の財政的崩壊はギリシャ・キプロス悲劇のように、少しずつ進行するだろう〉
株高に水を差すわけじゃないが、こういう声は絶対に貴重だ。
◆リーマン・ショックを招いた小泉金融緩和
日本だって同じことだ。「リフレはヤバい」の著者で慶大大学院准教授の小幡績氏はこう指摘する。
「世界経済の流れと相まって、たまたま円安と株高が進んだが、本質的にはゼロ金利下でこれ以上の金融緩和をしても意味はありません。今やっていることは、ほとんどが国債を買っているだけ。むしろ、やりすぎると国債暴落のような副作用の恐れが強くなる。ムダに大量の国債を抱え込むリスクも大きい。これまでの政権もやろうと思えばできたが、メリットがほとんどないうえに、リスクが大きいから、やらなかっただけです」
規模は違うが、小泉政権時代も01年以降、35兆円の金融緩和をやった。市場はカネ余りになったが、資金需要がないから景気回復に効果はなかった。それどころか、とんでもない副作用があったことが明らかになっている。
経済アナリストの菊池英博氏が言う。
「ゼロ金利下の日本円は海外の金融機関によってどんどん借りられ、ヘッジファンドなどを通じて、ニューヨークの金融市場に流れ込みました。それが米国のバブルを膨らませ、08年9月のリーマン・ショックにつながったのです。当時のニューヨークのマネーの半分が日本から来たといわれています。日本が世界金融危機の引き金を引いたわけです。このことは当時の山口廣秀・日銀副総裁も国会で、『量的緩和政策の副作用として、低金利の円を借りて海外で投資を加速させ、海外の金融市場に何らかのインパクトを与えた可能性は否定できない』と認めています。だから、白川前総裁も『金融はもう最大限に緩めている』と言い、さらなる金融緩和に否定的だったのです」
◆昭和"元祖リフレ政策"でも賃金は上がらず格差拡大
あふれたマネーがあちこちで暴れ回り、副作用を引き起こすであろう点は今も同じだ。マネーは石油や穀物市場にも流れ、輸入インフレに拍車をかけて、庶民の台所を直撃する。
百歩譲って、物価が上がってもサラリーマンの賃金が上がればいいが、そうならないことは歴史が証明している。昭和金融恐慌後の1930年代、高橋是清も日銀に国債を引き受けさせ、通貨を大量にばらまいた。リフレのさきがけともいわれているが、横浜国大教授の上川孝夫氏は週刊エコノミスト(3月5日号)でこう指摘している。
〈高橋財政が賃金に与えた効果は必ずしも芳しくなかったようだ。労働者の1人当たり名目賃金は32年181銭から36年185銭へとほとんど増えていない。しかも消費者物価上昇率に後れを取ったから、実質賃金は下落傾向をたどった。また、大企業と中小企業・農村などの間に存在していた賃金格差も、労働需給が逼迫する30年代後半まで縮小しなかったとの指摘がある〉
一時的に景気は上向いたものの、とんでもないインフレを招き、しかし、国民の賃金は上がらなかった。結果、庶民は地獄のような生活を強いられたのだ。こうした経験があるからこそ、これまでの政権は異次元の金融緩和なんてやろうとしなかったのである。
◆かつての日銀批判派も警戒する現状
それなのに、今、こうした懸念がまるでなかったようなムードになっている。一歩間違えれば奈落の底に真っ逆さまの危険な綱渡りなのに、見て見ぬフリして、円安万歳、インフレ万歳で日本中が突っ走っている。
そりゃあ、アベノミクスで市場関係者は儲かる。証券会社や不動産業界はウハウハだ。株高でひと儲けした個人投資家も多いだろう。浮かれる気持ちも分からなくはないが、ツケもあることは知っておいた方がいい。
「この株高で損をしている人は今のところいないし、勝ち馬に乗りたがるメディアもアベノミクスをはやしてきた。だから、副作用についてはそれほどクローズアップされてきませんでした。しかし、日銀副総裁候補にもなった伊藤隆敏・東大教授のように、これまでの日銀の政策を批判していた人たちでさえ、リフレ派とは一緒にしてほしくないというスタンスです。良識あるまともな学者は、いちいち声を上げないだけで、声なき声は渦巻いている。そのことを知るべきです」(小幡績氏=前出)
アベノミクスを妄信するだけだと、痛い目を見ることになる。
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