http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/487.html
Tweet |
http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2013/05/post-338e.html
2013年5月10日 植草一秀の『知られざる真実』
雪が世の中を白銀に染め抜いてしまうように、株価上昇は政治の暗黒を包み隠してしまう。株高は選挙の大事な争点をことごとく、覆い隠してしまう。
2001年から2003年にかけて、小泉政権の経済政策運営は最悪だった。
株が暴落し、金融不安が広がり、罪のない国民が失業、倒産、経済苦自死の苦しみに追い込まれていった。
竹中平蔵氏が大銀行破たんも辞さぬとの方針を明示したことが、市場のパニック化をもたらした。
しかし、日本の投資家が株式などの資産を投げ売りしたとき、なぜか、外資系のファンドがこれを買い占めた。
金融危機が瀬戸際に達したとき、小泉・竹中政権は大銀行を公的資金で救済した。
その結果、パニック売りによる暴落が、水準修正の急騰に転じた。
初めからストーリーは組み立てられていたのだと思われる。
外資系ファンドが濡れ手に粟の巨大な不労所得を手にした。
衆議院の解散総選挙は2003年の11月に実施された。
2003年5月の混乱は、小泉内閣を総辞職させるべきものだったが、メディアの歪んだ情報操作と野党の対応が拙劣が政権を延命させた。
株価が猛烈に反発してから選挙が行われたために小泉政権は大敗北を免れた。
ここに、株価上昇の怖さがある。
小泉政権の5年半、株価は半値になって、その後に元に戻った。
これを竹中氏は、
「政権の前半、株価は50%下落したが、政権の後半、株価は100%上昇した」
と説明していた。
誰もが驚く説明だ。
人々の印象に残るのは、常に後半の姿だから、人によっては、小泉竹中政権は経済をうまく運営したと勘違いしている。
本当は日本経済を破壊する必要などなかった。このために、どれだけの人の命が奪われたことだろう。
政治のトリックが頻繁に使われ出したのも、このころからだ。
日本の株価は、過去10年間、為替と連動する傾向を強く示している。
1980年代後半は、円高の下で株価が上昇した。
円高が金利低下をもたらし、金利低下が株価上昇をもたらした。
しかし、過去10年は、円安進行下での株価上昇の連動関係が観察され続けている。
この連動関係に着目するならば、為替レートを円安に誘導することができれば、株価を引き上げることができるということになる。
昨年11月14日以来、安倍氏は円安を誘導してきたと見られる。
為替レートは購買力の変化を映して変動する性質を有していると見られるから、日本のインフレ率を引き上げる方向への誘導が進むとの予想が働くと、為替レートが円安に動くと予想できる。
そして、為替レートが円安に動く場合には、株価が連動して上昇する可能性が高いと考えることができる。
この変化が進行した。
そして、株価が大幅に上昇している最大の理由は、日本の株価が安すぎる水準に引き寄せられていたことにある。
菅政権、野田政権の経済政策運営があまりにひどかったから、株価が妥当な水準よりも低い水準にシフトしていたのである。
その影響もあって、株価大幅上昇が生じている。
問題は、この流れのなかで選挙が実施されることだ。
経済の低迷、株価の低迷のなかで、野田政権は沈没した。
自ら沈没の道を選んだと言うしかないが、敵失で多数の議席を得たのが安倍自民党である。
今度は株価上昇のなかで選挙が行われる。
これが安倍政権にフォローの風にならないわけがない。
安倍氏が4月17日の党首討論で述べた内容は、事実に反することばかりだったが、野田民主党が大きい顔を示すことができないことも明白である。
選挙で勝つと、政策遂行が正当化されてしまう。
掲示した公約が主権者によって承認されたこととされてしまう。
選挙の際に、重要争点が十分に論じられるのなら良いだろう。
しかし、その論議がまともに行なわれず、選挙が人気投票のように行われ、投票結果をもって主要論点に対する民意が示されたとされるのでは困る。
昨年12月の選挙では、原発・消費税・TPPの三大問題が徹底的に論じられなければならなかったが、メディアがこれを争点にすることを阻止した。
メディアは、
「民主党政権を継続させるか、それとも自民党を政権に復帰させるか」
「有権者の関心がもっとも高い問題は景気と雇用」
という情報ばかりを流布した。
いずれも、安倍氏が率いる自民党に有利な情報の流布であった。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK147掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。