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2013年05月10日 世相を斬る あいば達也
昨今の政治的話題は、憲法96条改正の是非とオバマの対日、対韓の温度差に集中しているようだ。今夜は、憲法96条改正と云う、本末転倒の馬鹿話はさておき、週刊誌やテレビワイドショー向きな、パク韓国大統領の厚遇と安倍日本首相の冷遇の話題を取り上げよう。はじめに、ネタをばらしてしまうが、パク大統領は韓国の元首であること。安倍首相は日本の元首でないこと。この二つの事実を認識しておけば、官々諤々議論すること自体ナンセンスなのである。世界各国の外交慣習として、日本の元首は、憲法上象徴だが、日本の天皇だと云う認識が定着している。つまり、扱いの差は、基本的に元首であるかどうか、と云う次元の問題になる。
単純な日本人から見れば、狂牛病リスク牛も輸入緩和、原発技術は日本が引き受けます、辺野古の海は必ず埋めてみせます、農業を犠牲にしてもTPP受け入れます、集団的自衛権行使喜んで行います。等などと、米つきバッタの隷属態度で恭順の意を示したのだが、オバマは白い歯をむき出しにして、歓ぶ態度は皆無だった。パク大統領は議会で演説させて貰ったが、安倍は戦争屋右翼研究所で演説したに過ぎない。晩さん会も、共同記者会見も無しなのだから、落胆の気持も理解は出来る。
しかし、確たる裏情報によると、安倍が差し出した多くの貢物の報酬は、尖閣問題で、中国にもひとこと言っておくので、そんなに心配しなくて良いよ、と云う一言だったと云う事だ。つまり、ヘタレなのだ。今の自衛隊なら、中国に勝てる。3年過ぎたら、もう勝てない。そんな認識の右翼首相なのである。在特会と性癖は、殆ど変わらない資質の持ち主なのだが、株高と云う現象一つで、煙幕が張り巡らされている。この煙幕が一陣の風に吹き飛ばされた時、安倍右翼首相の命運は尽きるのだろう。
GHQに押しつけられた憲法は嫌だ。だから変えるんだ。何処を、どのように変えるかではなく、変えやすくすることが肝心だ。なんと云う短絡な思考経路なのだろう。変えやすくするのも良いだろう。しかし、何を変えるかも議論せずに、ドサクサ紛れに、株価が上がっているだけで、改憲が支持されていると云う勘違いは、拙いだろう。先の衆議院選で憲法改正は争点でもなかった。デフレからの脱却一本槍ではなかったか。現在の衆議院の国会議員は、裁判所の判断では、準国会議員扱いであり、最高裁長官までが、異例の個別訴訟に言及している。最高裁判決も、長引かせることはなく、100日ルールを粛々と実施する。これは、立法への司法からの挑戦状のようなものなのである。
その意味では、夏の参議院選で自公維新が2/3議席を獲得し、同時に、現在の自公維新で衆議院議員2/3で憲法改正が決議されても、最高裁の判断如何では、昨年末の幾つかの選挙区の衆議院選挙無効判決が出る可能性も否定できない。こんな状況で、憲法96条改正云々など、10年早い論議になってしまう。マスメディアの世論調査の数値が本物であれば、夏に衆参W選をやってでも、憲法96条改正だけで良いから成就したい。そうすれば、歴史に改憲出来た唯一の首相の称号が得られる。麻生とのネチネチ密談も、それが実現出来たら、“アンタが次だ”と執拗に迫った可能性がある。
ここまでウルトラ右翼を鮮明にした安倍晋三が、“リベラルで金好き”と云うオバマに好かれるとすれば、それは日本が丸々と太ることだろう。それ以外は、出来るだけ何もしない、以前のような自民党総裁であることが望ましい。本日、13時30分現在、円はドルに対して、ついに100円台に下落101円になっている。株価も442円高、14633円に達している。おそらく、この調子だと、円は105円を目指し、株価は15000円を超えることになるだろう。投機市場限定のバブルである。EU中央銀行、FRB、日銀と三者三様の金融緩和競争時代に突入の気配だ。格差は益々鮮明な人種層を作ることになりそうだ。
こうなると、日米韓は好むと好まざるに関わらず、対中包囲網を当分続けざるを得ないようだ。元高への要請も強まるだろう。米韓FTAとTPPで、米国の富の囲い込みは功を奏しそうだ。最悪、中国が抱える米国債の受け皿が徐々に見えてきた。日本の財政状況がどれほど悪化しても、当面米国は見て見ぬふり。米国債を日本に引き受けさせる下地は整った。しかし、豚を太らせるのは良いとして、本当に豚が太るかどうか、甚だ疑問だ。日本の貿易収支が、この円安株高で改善する確証は一つもない。逆に、国際収支が恒常的に赤字の体質に向かうリスクの方が余程高い。
この一点豪華主義な金融緩和とデフレ脱却戦術は、好景気を国民に予感させる意味では、効果的だろう。しかし、恒常的な国際収支赤字体質をより鮮明にさせ、のっぴきならない財政悪化を齎すかもしれない。冷静に見てみると、アベノミクスは日本経済を見た目で改善させ、内臓部位の本格治療を放棄したわけだから、最終的には、経済を一層悪化させる政策を打った事になる。その辺は、霞が関官僚達は、幾分気づいている。官邸も気づいている可能性はある。そうなると、安倍晋三に多くの時間は残されていない。前述したように、一内閣一政策を選択するとなれば、憲法を変えさせた内閣総理大臣の冠を取りに行こうとするだろう。
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