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2013年05月09日 世相を斬る あいば達也
もう株高が止まらない(笑)。たしかに、予想以上に日経平均が上がっている。筆者などは、4割のキャピタルゲインで大満足、手仕舞ったのだが、幾分唖然ともしている。ただ、冷静に観察すると、どうも株高は世界市場全体の事であり、特別アベノミクスだから、と云うわけではないいようだ。アメリカもドイツもアジアの株も、5割程度上昇している。つまり、世界同時緊急緩和でマネーの行き場が、株式市場に流れ込んだ、と見るのが正解のようだ。最近の相場を見ていると、円高になっても、円安になっても、無関係に株価が推移している。最近、日経やロイター等の記事には、株価上昇の要因等々、幾分過熱感を冷やそうと云うアリバイ的臭いのするものが増えてきた点は、注意を要する。
世界中のマネーが、株式市場に雪崩を打って押し寄せている、と見るべきだ。アベノミクスで株価が上がったと云うより、世界のマネーが、為替でも、商品相場でもなく、株式市場でバブル経済を謳歌しようと云う流れが出来たのだろう。結局、先進諸国の経済は、グローバル化した結果、一国の経済政策で景気を左右する力を失ったと達観することが肝要なようである。グローバル企業の利益追求も、謂わばモグラ叩き状態であり、利益をどの市場で得ているか程度の問題であり、グローバル企業全体としての利益は、平準化されているのだ。
そうなると、国家の政策で利益が出せず、グローバル企業のかたちでも利益が出し難い状況が出来あがりつつあるのかもしれない。つまり、まっとうな人間の営みから利益を得られなくなった世界が誕生しているのだ。そうなると、勢い強欲な食欲を満たしたいマネーは、マネーゲームの中に戻らざるを得なくなって行く。リーマンショックの再来が、今、目の前で起きているような感じだ。昨日も話したが、マネタリストの論理も通用しない世界が、既に出来あがっていた、と云うことが出来る。
日銀を下部組織と見做してまで行った異次元の金融緩和(財政は限りなく悪化)で円安誘導だが、何と云うことはない、どんなことをしても100円/ドルの壁を突き破れない。何度挑戦しても破れない壁は、いずれ既成事実化し、上値を追う気概を失い、円高に振れることになるだろう。つまり、骨折り損というか、兵どもの夢のあととでも言うべきか、日銀のバランスシートだけに傷がつく。この金融緩和で、株高が実現したと、安倍は完璧に勘違いしている。メディアは、判っていながら、そうだ安倍自民の政策が支持された結果だと、オベンチャラを言い、陰で笑っている。
早晩、何処かで株式バブルも清算が必要なわけで、公的年金基金などが被害を受けなければ良いと念じている。もう、PERなどからは、買えそうもない銘柄続出で、残された買い要因は、期待値と金余り現象でしかない。まぁそれでも、何処かの誰かは儲けるのだから、巡り巡って、虚偽の経済成長は演出できる。しかし、金額は伸びるが、生産数が伸びないので、設備投資意欲はまったく生まれない。生まれたとしても、安価な労働力や未開発の市場規模に合わせた国への投資に回る。つまり、国内の供給過多は一向に改善していないので、国内設備投資は総体的に増えない。当然、雇用も増えない。当然、賃金が増えるメカニズムも機能しない。
それでも、安倍晋三は、これが経済成長だと胸を張る。どや顔丸出しで、恥じ入る素振りもない。現実の数字と突き合わせが出来ないものを持ち出し、景気回復と云うのは、論理的ではない。この世界的株式バブルと実体経済の乖離の埋め合わせは容易ではない。しかし、必ず訪れる。現実の実体経済を見なければならない日が来る。その日が、参議院選前であれば、少しは日本もラッキーだが、参議院選後であった場合、日本は悲劇の歴史に突入するのだろう。まぁ、個別企業の経営者が、それ程浮かれていない点が救いでもある。
政治は完全に糞になったが、民間企業は、まだ味噌の方が多いのが救いだ。以下のトヨタ・豊田社長の会見の模様を読む限り、株式等の時価評価が貢献したかどうか触れられていないが、円安の貢献より、企業努力の方が企業にとっては利益に結びつくと云うことなのだろう。トヨタの場合、創業一族が健在と云う、個別の事情が日本グローバル企業の矜持を持ちうるが、サラリーマン社長系の企業では、トヨタのようには行くまい。トヨタ社長は、最後にアベノミクスへのリップサービスも忘れていない辺り、中々強かだ(笑)。
≪トヨタの豊田社長「やっと前を向ける、わくわく感を感じている」
トヨタ自動車は8日、2014年3月期の連結純利益(米国会計基準)が前期比42%増の1兆3700億円になる見通しと発表した。リーマン・ショック前の最高益(08年3月期の1兆7179億円)の8割の水準まで回復する。円高修正が4000億円の営業増益要因になるほか、1600億円の原価低減努力などが寄与する。想定為替レートは1ドル=90円、1ユーロ=120円。同日午後、都内で会見した豊田章男社長は東日本大震災など多くの困難からの急速な業績回復を受けて「やっと前を向いていけるというわくわく感を感じている」と語った。
主なやりとりは以下の通り。
――前期決算の評価は。
豊田社長「前期は5年ぶりに単独決算で黒字になれたこと。仕入れ先、販売店、従業員などみんなの努力と執念のたまものだ。ただ本当に持続的成長ができる真の競争力が付いたかというと、スタートラインに立てただけ。やっと前を向いていけるというわくわく感を感じている」
――今期の想定為替レートが やや保守的だが、今期の業績見通しに対する考え方は。
小平信因副社長「前期の営業増益(9652億円)のうち円安による効果は1500億円だけ。増益の多くは全社一丸の営業努力によるものだ。今期の業績見通しは、販売台数の増加、為替(円安)の影響を織り込む一方、市況の動向を踏まえた原材料価格の増加、研究費などの負担増も織り込んでいる。収益改善分については既にメドが付いたものだけを織り込んでいる」
――急ピッチで 円安が進んでいるが、国内生産300万台規模という方針はどうするか。
豊田社長「トヨタは日本で生まれたグローバル企業。トヨタがトヨタであり得るためには、ある程度の国内生産基盤が必要で、それが約300万台と説明してきた。この考え方に一切変化はない。円高や円安など短期的な為替の動向に左右されない体質にしたいという方針にも、変化はない。生産を国内と海外に分ける考えはない。あくまでグローバル・トヨタとして競争力のある国内生産 が必要だということだ」
――業績回復で上がる利益をどこに振り向けるのか。
豊田社長「もっといいクルマ作りに投入する、その一言に尽きる。それを支える人材、会社の仕組みなど色々なものだ。持続的成長ができるところに資金を投入していきたい」 小平副社長「必要な資金は効率的、積極的に使う。ITインフラの改善、整備にもしっかり投資する。技術面でも環境安全分野の技術開発など先行投資も含めて戦略的に投入する」
――世界各地の販売状況は。
小平副社長「国内販売の滑り出しは順調だ。自工会の見通しよりも(トヨタは)もう少し上に行くかなと思っている。景況感が上向いているので受注も非常に堅調だ。米国は雇用が増え住宅需要が増えるなど経済が好調で(車)市場も上向いている。『アバロン』など新型車効果で販売は堅調だ。中国は経済の緩やかな回復が見られ、昨年を上回る水準を見込んでいる」
――設備投資額が今期は573億円増える。新工場の設置は抑制する方針ではなかったのか。
小平副社長「新たな工場建設は既に決定しているものを除いて考えていない。今回の設備投資は円ベースでは増えるが円安になっているのが主な理由。外貨ベースで見ると前期とほぼ変わらない」
――前期まで日本の製造業は「6重苦」の状況だった。国内でモノづくりをするリスクを今、どう考えるか。
豊田社長「6重苦にここ数年、相当苦労してきたのは事実だ。そんななかで石にかじりついてでも日本の雇用を守るため、原価低減、固定費のコントロールを全社一丸でやってきた。そして今、アベノミクスの下でフォローの風が吹きつつある。今後は真の競争力、持続的成長ができる雇用、そして自動車産業の基盤を作り上げていきたい」≫(日経新聞:奥貴史)
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