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裁判に市民感覚を取り入れたければ、「違憲判決」も出せない行政訴訟に盛り込めばよい。
法務大臣が発言で幾度も露呈させているとおり、いまや裁判員制度は「死刑制度を市民が支えている」アリバイつくりと化しているのではないか。
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元裁判員:ストレス障害発症、国賠提訴「制度は違憲」主張
毎日新聞 2013年05月07日 11時13分(最終更新 05月07日 13時34分)
http://mainichi.jp/select/news/20130507k0000e040070000c.html
強盗殺人罪などに問われた被告に死刑を言い渡した今年3月の福島地裁郡山支部の裁判員裁判で裁判員を務めた60代女性が「急性ストレス障害(ASD)」と診断された問題で、女性が7日午前、慰謝料など200万円の国家賠償を求める訴えを仙台地裁に起こした。裁判員制度を「憲法違反」と主張、裁判員法を成立させた国会の責任も追及する。2009年5月に裁判員制度が始まって以降、裁判員経験者が制度の是非を問う初の裁判となった。【三村泰揮、栗田慎一】
女性は毎日新聞の取材に、「新たな苦痛が伴う提訴にためらったが、制度が国民のためになっていないと思い決断した」と語った。
訴状によると、女性は証拠調べで見せられた被害者2人の遺体の刺し傷計24カ所すべてのカラー写真などが頭から離れず、不眠症や吐き気、フラッシュバックなどに苦しむようになった。「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」に電話し、地域の保健所を紹介されたが対応してもらえず、3月22日に福島県内の病院でASDと診断された。
女性側は、裁判員になったためにASDになったと主張。裁判員制度が苦役からの自由を保障した憲法18条や、個人の尊厳や職業選択の自由を認める同13、22条に反するとし、法案提出から3カ月弱の審議で成立させた衆参両院にも過失があったと訴えている。
裁判員制度を巡っては、覚せい剤取締法違反罪などに問われ、1審で懲役9年の判決を受けた外国籍の被告が、上告審で「制度は下級裁判所の裁判官は内閣で任命するとした憲法80条や同18条などに違反する」と主張したが、最高裁大法廷は11年11月に「合憲」と判断している。女性の代理人の織田信夫弁護士(仙台弁護士会)は「今回の訴えは裁判員経験者が起こしたもので事案が異なる。新たな憲法判断が必要だ」と語った。
◇解説…「心理的負担」重い問いかけ
裁判員制度が憲法に違反するかどうかについては、最高裁が既に「合憲」と判断しているため、専門家は、今回の訴訟で踏み込んだ議論にはならない可能性も指摘する。一方で、裁判員を務めたことで心に傷を負った女性の「容易に拒否できず、裁判中に心理的負担を受ける制度そのものの見直しが必要」との問いかけは重い。
裁判員は、審理で負担を感じても、守秘義務があるため周りに打ち明けることが難しい。提訴した女性の異変には家族が気付いたが、同様のケースが他にも潜在している可能性は否定できない。
裁判員のストレス障害を巡っては、別の裁判員経験者が10年12月、法廷に臨床心理士を待機させることなどを盛り込んだ提言書を最高裁に提出し、「心のケア」の重要性を訴えた。だが、女性が今年3月に相談した最高裁の「裁判員メンタルヘルスサポート窓口」は全国に3カ所しかなく、地方の裁判員には利用しにくい仕組みだった。
裁判員制度が始まってから今月21日で4年。「国民の義務」が抱える課題に国が真摯(しんし)に向き合ってきたのか。その姿勢が問われている。【三村泰揮】
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