http://www.asyura2.com/13/senkyo147/msg/379.html
Tweet |
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8720.html
2013/5/7 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
みんなが喜んでいるのに野暮は言いたくない。本人たちにも失礼だ。だが例によってマスコミが「感動をありがとう」一色なので、あえて憎まれ役を買って出る。
プロ野球読売巨人軍の長嶋茂雄終身名誉監督(77)と、巨人やNYヤンキースなどで活躍し、このほど引退した松井秀喜氏(38)の、国民栄誉賞の表彰式のことだ。わかりきっていた成り行きではあるけれど――。
安倍晋三首相は、松井氏に表彰状を手渡す際、「日米両国を舞台にした世界的な功績」「日米両国の多くの国民から愛され」と、“日米”を2度も繰り返した。なるほど、過去の受賞者より記録的に劣る松井氏への授賞に疑問符をつける識者もいたが、要はこの点を強調したかったということか。
昭和のヒーロー長嶋と、アメリカ社会に直接の貢献を果たした平成の松井。2人のツーショットはそれだけで、現代ニッポンを生きるほぼ全世代を捉えた時代絵巻なのである。
先の4・28“主権回復の日”式典のイメージとも重なった。61年前のこの日に発効して沖縄を切り捨て、今日に至る日本全体の対米従属を規定したサンフランシスコ講和条約と日米安保条約の抱き合わせをたたえつつ、アメリカの戦争に無条件で参加できる憲法“改正”への潮流を盛り上げていく、上からの国民運動だ。
安倍首相が脱却をうたう“戦後レジーム”とは、戦争を否定する現行憲法だけを指している。授賞後の挨拶でも「日米ファンの度肝を抜いた大きなホームラン」としつこかった彼は表彰式の後も居残り、松井氏が投手、長嶋氏が打者となった巨人―広島戦の始球式に、あろうことか背番号96のユニホーム姿で現れ、球審役を務めてみせた。
「第96代首相だから」だそうだが、選手のユニホームを身に着ける審判などあり得ない。憲法改正の発議要件を緩和する96条の先行改正を掲げている折、「改憲のアピールか」と記者団に問われ、「結果としてね。運命とはこういうもの」とはしゃぎまくって、たちまち化けの皮が剥がれた。
長嶋も松井も素晴らしい選手だった。だが、この日ばかりは道化に見えた。安倍首相は2人の国民栄誉賞で日本を「明るくしたい」旨も述べていたが、華やかなセレモニーの本質はとてつもなく暗く、醜く、薄汚かった。
私だって長嶋の時代に少年時代を過ごし、松井の時代に子育てをした。こんなに辛い原稿を書かなければならない日が来るなんて。お2人には心からお詫び申し上げたい。
◇さいとう・たかお 1958年生まれ。早大卒。イギリス・バーミンガム大学で修士号(国際学MA)取得。日本工業新聞、プレジデント、週刊文春の記者などを経てフリーに。「東京電力研究 排除の系譜」「消費税のカラクリ」など著書多数。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK147掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。