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2013/5/7 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
デッチ上げだった「石川議員自殺のおそれ」
フェイスブック(FB)の、ある書き込みに最高検が神経をとがらせているという。
投稿者は、郵便不正事件で証拠のフロッピーディスクの日付を改ざんし、証拠隠滅罪で懲役1年6月の実刑判決を食らった前田恒彦元検事(45)だ。
刑期を終えて昨年5月に出所以降、FBでつぶやき続けていたが、最近、自身も捜査に関わった事件について“重要証言”を立て続けに書き込み、検察関係者を震撼させているのである。
その事件とは、生活の党の小沢一郎代表の陸山会事件だ。前田元検事もこの事件の取り調べを担当した。その際、年も近いことから、よく話をしたのが田代政弘元検事(46)だった。ウソの捜査報告書を作成したとして、市民団体に虚偽有印公文書作成容疑で告発され、先日、東京第1検察審査会で「不起訴不当」の議決が出た問題検事だ。前田元検事は田代元検事から「驚くべき告白」を聞いたという。その内容をFBで暴露したのである。
それによると、田代元検事は元秘書の石川知裕衆院議員=政治資金規正法違反罪で1、2審有罪、上告中=の取り調べを担当。逮捕状を請求する際に作成した「捜査報告書」で、「自殺の恐れ」を強調した。しかし、これはデッチ上げで、田代元検事は〈『逮捕の必要性』を強調すべく、『自殺のおそれ』をうかがわせる言動などなかったのに、そうした言動があったかのように記載した〉と告白したというのだ。
当時、石川氏は国会議員だ。当然、逮捕は難しい。しかし、検察は踏み切った。その理由として、「自殺の恐れ」をデッチ上げたことになる。
「検察は虚偽の捜査報告書を作っただけではありません。当時、メディアにも石川氏の自殺の恐れが流れた。検察が逮捕を正当化するためにウソの情報で世論操作をしたのでしょう」(司法記者)
前田元検事は、この逮捕前の捜査報告書と、検察審査会で審査された逮捕後の捜査報告書の2つのウソについて、こう書いている。
〈両者は、供述者に内容確認やサインを求めず、捜査側の独断で作成可能な『捜査報告書』の性格を逆手に取ったという点で一致していた。組織が直面する困難な状況を『裏ワザ』で打破しようとの狙いも共通していた〉
供述者がチェックできない「捜査報告書」を偽造すれば、何でもできる。恐ろしいところだ、検察は。もちろん、田代元検事の“判断”ではなく、組織の決定だったのだろう。元検事の落合洋司弁護士はこう言う。
「明かされているのは、石川氏の逮捕前の捜査報告書の虚偽であり、問題となった逮捕後ではない。最高検は従来通り、『記憶の混同』で押し通すと思います。もっと早く暴露していれば、検察審の議決にも影響があったと思いますが……」
告発はまだまだ続きそうなだけに検察幹部は肝を冷やしているに違いない。
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