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2013-05-06 文藝評論家・山崎行太郎の政治ブログ「毒蛇山荘日記」!!!
台湾旅行中、「月刊日本」編集部のN君から、メールが送られて来た。何事だろうと思って、メールを開いてみると、最近、「月刊 日本」にもしばしば登場する奥山真司氏も、「孫崎批判」をやっているので、ご参考までに・・・というメールだった 。実は、N君は、僕の孫崎批判に関心を持ち、フォローしているらしく、佐藤優氏の「孫崎批判」の論文を教えてくれたのもN君だった。つまり 、「孫崎批判」の同志=仲間の一人なのだ。ところで、僕は台湾旅行にも孫崎の本も何冊か持参していて、夜中、目が覚めると、近刊予定の『保守論壇亡国論』の原稿整理のかたわら、 暇つぶしに読んでいたのだが、旅行中は、孫崎のことは書きたくなかった。しかし、無事台湾旅行も終わり、帰国できたのであらためて、書くことにする。まず、奥山氏の記事を引用する。
『http://geopoli.exblog.jp/20366954/』
孫崎享氏といえば、『日米同盟の正体』や『戦後史の正体』、そして最近ベストセラーとなった『アメリカに潰された政治家たち』という著書で有名です。
もちろんネットを見るとかなり評価が割れている人物でして、私はTwitterの発言などを見て「過激な人だなぁ」と感じていたくらいなのですが、彼の著書はいままで読んだことがなく(元政府関係者に評判は聞いておりましたが)、私自身が日本人と戦略の話について少し調べなければと思って行き当たった本の一冊がたまたま彼の本だったので、今回初めて真剣に手にとって読んでみたわけです。
で、読んでみた感想なんですが、うーん、矛盾だらけですね。
といっても私が自ら「戦略は矛盾だ」と言っているので、そこは逆に突っ込まれても困ってしまうわけですが(苦笑)
まず初歩的な間違いとして挙げられるのは、リデルハートを、なぜか「リデル・ハート」という風に「リデル」をファーストネームと勘違いしていることや(本当はバジル・ヘンリー・リデル=ハート)、スティーブン・ウォルトをなぜか「ステファ・ウォルツ」と書いてしまっていることなど(ついでにリベラルだとか書いてますが)。
といってもこれなどは誤植の範囲なのでまだマシですが、問題は彼の議論の中に多くの矛盾が見受けられることです。
その数が多いので、ここではとりあえず最後の「あとがき」の部分から一箇所。
孫崎氏は「戦略論として、この本は新境地を開いたと思う」(p.261)と書いておりまして、その理由を三つ挙げております。その三つとは、
1、日本人の誰よりも馬鹿な戦争を見てきたから。
2、アメリカで「日本人は戦略思考をできない」と馬鹿にされているのを見たから。
3、日本を取り巻く環境が変わってきていて、新しい戦略を考える必要があるから。
ということみたいです。
しかしこれってそもそも「新境地を開いた」理由になっているのか微妙なような気が・・・・。
ついでにもう一つ挙げます。
孫崎氏はシェリングやゲーム理論の説明をしながら「戦略の最適解は相手の出方によって変わる」ということを述べつつ、「クラウゼヴィッツはもう古い」ということを誇らしげに述べているわけですが、どう考えてもクラウゼヴィッツを読まずに批判するという悪しき伝統にハマっております。
たとえばクラウゼヴィッツは戦略をトランプのゲームに例えたりしておりますが、これこそが「彼我との相互作用」ということで、まさに「戦略の最適解は相手の出方によって変わる」ということを言っているわけです。
まあこれは、ゲーム理論が出てきたおかげで70年代になってクラウゼヴィッツの「再発見」がなされたという歴史上の事情が背景にあるわけですが、どうも孫崎氏はそこらへんをまったく調べずに、非常に表層的な「クラウゼヴィッツ批判」だけさらっと書いて終えているのです(そのわりには文献紹介で読めと勧めている)。
もちろん彼の異様なほどの米国への不信感と、それとは対照的な中国への楽観(というか、あえて何も論じていないというほうが正確か)についてはすでに様々な方々が述べているので、あえて私が何か言うまでもないことかと。
ということで、この本は「日本人には戦略がない!」と主張している本人が一番戦略について調べきれていないという矛盾を教えてくれた意味で勉強になりましたが、批判的に読めない人が盲目的に読むとかなり危険な本だなぁという気が。
米国はそんな甘い国ではない。自分の国の国益を考える。(p.164)
とありますが、この「米国」を「中国」に代えても全く同じことが言えるかと。
孫崎氏に「中国論」を書いていただきたいと思っているのは私だけでしょうか?期待して待ちたいと思います。
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