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http://article.okinawatimes.co.jp/article/2013-05-03_48806
2013年5月3日 沖縄タイムス
憲法のどこをどう改正するのか肝心な中身の議論を後回しにして発議要件だけを先に緩和するという手法は、本末転倒と言わざるを得ない。
安倍晋三首相は7月の参院選で、憲法改正の発議要件を緩和するため96条の先行改正を争点化する考えだ。参院選の自民党公約にも明記する。
96条は憲法の改正手続きを定めている。衆参両院とも総議員の3分の2以上の賛成で発議し、国民投票で過半数の賛成が得られれば承認されるという二段構えだ。
自民党が目指す改正は、発議要件を3分の2から過半数に緩和する内容である。
近代憲法の精神は権力の乱用を防ぐため国民が国家権力に縛りをかける立憲主義にある。時々の政権が恣意(しい)的に変更できないよう通常の法律と比べ、高いハードルを課しているのはこのためだ。「硬性憲法」と呼ばれる。
改憲派の憲法学者の間からも、縛られる権力が都合のいいようにルールを変えるのは邪道だ、と異論が出ている。
自民党の「日本国憲法改正草案Q&A」は、現行憲法は世界的に見ても改正しにくいと解説。欧米の主要国が戦後、憲法を改正した回数を列挙し「日本は一度として改正していない」と強調する。これは誤解を招く言い方だ。
米合衆国憲法は連邦議会で上下両院の出席議員の3分の2以上が賛成し、その上で全米50州議会のうち4分の3に当たる38州以上の賛成を必要とする。ドイツでは連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)で、それぞれ総数の3分の2以上が同意しなければならない。
憲法を改正した国も手続きの要件を緩和したわけではない。発議要件を緩和した上で、その次の9条などの本丸を改正しようとする手法は非常に危うい。
■ ■
96条先行改正の問題はこれだけにとどまらない。
自民党は野党時代の昨年4月、「日本国憲法改正草案」を決定し、発表した。
草案は多くの問題をはらむ。9条を改正して「国防軍」を保持することを明記。交戦権の否認条項が削除され、集団的自衛権の行使を前提に「自衛権の発動を妨げない」と規定している。戦争のできる国への大転換である。
国民の自由や権利が後退し、逆に義務が拡大しているのも特徴だ。現行憲法の12条には「この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない」と明記し「常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ」としている。
これに対し草案では「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」と変更され、「責任及び義務」や「公の秩序」などの文言が新たに挿入された。「公の秩序」とは何を意味するのだろうか。これに反するかどうかを判断するのは誰なのだろうか。時の政府の恣意的な運用を許しかねない。
草案には日の丸・君が代の尊重義務や、家族は互いに助け合わなければならないとの条文もある。思想・良心の自由や家族のあるべき姿に国家が介入し、憲法で規定すべきものなのだろうか。
仮に96条が先行改正されれば、これらの問題が十分に議論されないまま、国会発議の俎上(そじょう)に載せられかねない。
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憲法記念日が、沖縄で初めて祝日となったのは米軍統治下の1965年である。当時の立法院が新たに住民の祝祭日とする法改正をした。
松岡政保主席は「一日も早く日本国憲法が沖縄にも適用されることを願う全住民の願望の現れである」との談話を発表している。
だが、日本国憲法が適用されるようになった復帰後も米軍基地の極端な集中は変わらず、憲法の平和主義を実感する機会が乏しい。沖縄では「憲法・国内法」の法体系は、「安保・地位協定」によって大きな制約を受けているのが現実だ。
このような基地の過重負担を放置したまま集団的自衛権が行使されるようになったらいったい、沖縄の将来はどうなるのだろうか。憲法論議には十分な時間と未来を見据えた深い視点が必要だ。
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