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5月3日が憲法記念日ということもあり、今話題になりつつある憲法改正について考えてみたいと思います。
現在の日本国憲法が出来たのは終戦直後、GHQの占領下において幣原喜重郎首相が尽力し吉田茂内閣の時施行したものです。幣原氏は外交官で吉田茂や広田弘毅の上司でありました。氏は外交官としてはいわゆる「軟弱外交」だったとして当時の軍部からはまったく相手にされなかったという経緯がありました。結果として戦争責任を問われることなく戦後直後の「人材不足」の中、天皇陛下より首相適任者として推されたのです。
その後ろ盾をしたのが吉田茂で外務省出身者が幅を利かせていたのです。なぜ外務省出身者かといえばひとつにはやり取りをGHQを通じて行わねばならず、語学力と国際感覚が要求されたことがあったと思います。もうひとつは戦時中、外務省は基本的に戦争不拡大の立場をとっていましたのでそのあたりがGHQ側との信頼関係構築には望ましい形だったといえそうです。
とはいうものの日本国側の新憲法案に対してGHQは首を縦に振らず、GHQが創案したものを結果として日本国憲法とすることになってしまいました。自国の憲法を他人が作るという屈辱であったわけです。
ところが、日本の国民は全体論としてGHQを決して嫌っていたとも思えず、その後に続く日米の経済、社会、文化、そして安全に関する関係の再構築はある意味、アメリカの作った憲法をあえて改正するきっかけを失っていたともいえるのでしょうか?
そうはいえども戦後、68年もたった今、日本の社会が戦後直後となんら変わっていないということはありません。当然ながら憲法に規定された内容が今の日本の社会に適合しなくなっている部分も出てきているかもしれません。そのためには憲法が世の中にあわせて改憲しやすい環境を作るというは重要なことであります。
現在、改憲には3ステップ必要です。まず、衆参両議院それぞれにおいて三分の二以上の賛同を得る二つのステップが必要です。そして、国民投票で過半数を獲得することが次のステップです。つまり、改憲には国会に高いハードルが二つ、国民には低めのハードルという構造になります。
改憲にある程度高めのハードルをおくというのは重要かと思います。理由は時の政権が非常に強い場合、あるいは野党が弱体化している場合、勢いで改憲が可能になってしまう可能性があるのです。例えば景気が極めて上向きのとき、あるいは下向きのとき、国民はその経済情勢に流されやすくなりますが、それを代弁する国会議員がその流れを汲み改憲を主導できるのです。ところが経済や社会情勢がその後、逆転したとき、その判断に疑義が生じる可能性はあるわけです。これは避けねばなりません。つまり、憲法は法律と違いますから簡単に変えられないところに意味があります。
そういう観点からは個人的には96条の憲法改正要件を衆参両議院での三分の二の賛成から過半数に改正しようとするのはハードルが低すぎると思います。これは時の与党が強ければいつでも国民投票に持ち込むことが出来てしまうからで政争の道具にすらなりえるのです。
私は衆議院は過半数でも参議院は三分の二を維持するなど、世論が熟考し議論をし尽くした上で改憲へのステップに入れるぐらいのものにすべきではないかと思います。
憲法に関しては国民それぞれ考えがあると思いますし、絶対的な答えはありません。せっかく憲法改正が盛り上がっているこのときだからこそ一度、じっくり議論するのも良いことではないでしょうか?
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