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2013年05月03日 世相を斬る あいば達也
朝日、読売、日経、NHKと矢つぎ早に(或る側面連動して)改憲に関する世論調査を、それぞれ切る口を変えて、さも分業体制に則ったような世論調査を行っている。当面のとば口が憲法96条の改正により、硬性憲法から軟性憲法への改変である。つまり、憲法も他の法律同様に、過半数ですべてを決するようにしようと云う事だ。筆者の場合、もうこの正々堂々とした態度の微塵も感じない、テクニカルに走る政治家の姑息さを感じてしまう。“我こそは安倍晋三なり!主権は国民にあるが、その主権は国家の主権に勝ることはない”安倍が言いたいのは、そう云う事だ。朝日は、以下のように高揚感を隠しきれない安倍晋三の会見の模様を報じている。正直、ナショナリストであるなら、威風堂々と改正手続きの話ではなく、どこに向かう船なのか明確にすべきである。途中で下船しようにも、太平洋のど真ん中では、海の藻屑となってしまう。
≪「憲法96条改正、参院選公約に」 安倍首相が表明
【ジッダ=鈴木拓也】安倍晋三首相は1日、「憲法改正は自民党立党以来の課題で、昨年の衆院選でも公約としてまずは96条と掲げていた。当然、今度の参院選においても変わりはない」と述べ、7月の参院選で憲法96条の改正を公約に据える考えを表明した。訪問先のサウ ジアラビアのジッダで記者団に語った。
96条は改憲発議には衆参で3分の2以上の賛成が必要だと定めているが、改正して過半数に緩めることを目指す。首相は「国民投票法の宿題をやる」とし、18歳以上が投票できる国民投票と民法や公職選挙法との整合性をつける作業などを先行させる必要性を指摘した。
そのうえで「3分の2の勢力を衆参でそれぞれ形成していく努力をしていく」と述べ、参院選後に日本維新の会などと連携することに意欲を表明。一方で「96条改正は国民的な理解を得られている段階ではない。公明党の立場もよく理解している。誠意を持って議論を進めていきたい」と、慎重論にも耳を傾ける姿勢を強調した。中国、韓国など周辺諸国との関係については「我が国の憲法なので、いちいち説明していく課題ではない」と述べた。
基礎的財政収支(プライマリーバランス)の赤字比率を2015年度までに半減する財政再建目標の国際公約をめぐり、菅義偉官房長官は見直しを示唆したが、首相は「目標は変わりない」と明言。7月の参院選にあわせて衆院を解散する可能性については「適切な時期をとらえて解散したい」と述べるにとどめた。≫ (朝日新聞)
各社の世論調査の数値を取り沙汰する気はないが、これらの世論調査に応じた人々は、自民党が昨年4月に作り上げた「日本国憲法改正草案」を読んだことがあるのだろうか。九分九厘読んでもいないし、解説すら聞いていないだろう。NHKの憲法改正の是非を問う設問には「時代が変わって対応できない問題が出てきたから」と云う報道自体の擦り込みが効力を発揮している。「国際社会での役割を果たすために必要だから」も誘導的質問に過ぎない。9条の改正に関しては、ほぼ同率だったが、賛成と答えた人々の多くが「自衛力を持てることを憲法にはっきりと書くべきだから」の玉虫色選択肢を選んでいる。二番目の理由も「国連を中心とする軍事活動にも参加できるようにすべきだから」となっている。しかし、自民党の改正の目的は米軍と運命共同体の集団的自衛権を行使するよ、と云うことであり、国連中心の軍事活動などと云うのは方便にすぎない事実をまったく理解していない。硬性憲法と軟性憲法の区別すら定かでない人々が大多数なのである。
この調査の実態からも判る事だが、憲法改正の意味合いも、どこに向かう船なのかも国民は殆ど知らずに、“時代の流れで、多少は変えた方が良いのかな?”くらいの情緒的認識を持っている事が判ったくらいの話である。また、“GHQ統治下(米国主体)において定められた憲法だから、独自憲法を作りたい”と云う、これも情緒に負うところが多い考えである。日本の平和憲法は、大戦後世界に平和が訪れるであろうことを念頭に置いた、理想的民主主義国家とは、このような国家だと云うマッカーサーらの、試みの案であった可能性はある。だから悪いと云うより、理想的民主主義憲法なのだから、守れるなら守った方が良いのだ。70年は、曲がりなりにも守れたのだ、今後守れなくなるとしても、正々堂々と何処に向かう船か、明確に語るべきで、まぁ安くしとくから、先ずは乗ってみなさいよ!では、歌舞伎町のポン引きと変わらない。
しかし、ルーズベルトの急死により、急遽大統領に就任したトルーマンが、異様に連合国であるにも関わらず、ソ連をヘイトしていた。その前に、このトルーマンが日本に原爆を落とした大統領である事も周知の事実である。この偏狭な人物は、深くは判らないが、戦中戦後を通じて「ソ連包囲」にいたくご執心だった。その結果、東西冷戦構造が顕著な姿を現したわけだが、トルーマンによって、マッカーサーらが理想的民主主義憲法のテストケースとして考えた、日本国憲法の精神は時代と共に歪められて行ったと言えるのだ。この大統領の意志が、CIAを通じて、今の自民党の原型を作り上げたのである。憲法は改正する前に、憲法を起草した精神(理想的民主主義憲法)に戻るところから、議論は始めるべきである。少々、大雑多だが(笑)。
それにしても、日本の国民は、自分の身の回りの生活以外、殆ど関心を持たない性癖を持っている。“お上は100点の仕事はしないが、65点くらいの仕事はしてくれる”このような考えは、或る意味では、日本人の美徳でもある。特に、鎖国的国家体制においては、そのくらいの認識が平和共存に深く貢献していた。そして、お上の目の届かぬシチュエーションで、生活をエンジョイ出来れば、それで良かった。しかし、覇権国家アメリカの衰退は、パートナーの財布に手を突っ込まずにはいられない状況になり、TPPと云う正体不明の「ロシア・中国包囲網、そして同盟国収奪機能」に突き進む情勢になっている。
こうなると、自国のお上が、よしなに計らうに違いないと云う、日本人の性癖は、完全に仇になる。あまりにも、自分の身の回り以外に興味を示さない国民は、生活と云う次元の思考経路だけが発達し、政治、国家経済、社会問題に関しての思考経路は、後進国レベルになってしまう。日本リサーチセンターの調査によると、我が国の「マスコミ鵜呑み度」は70%に達し、“インド60%、ナイジェリア63%、中国64%、フィリピン70%”等と肩を並べる。ちなみに先進国と思われる各国の「マスコミ鵜呑み度」は英国14%、米国26%、ロシア29%、イタリア34%、ドイツ36%と云う結果が出ている。このこの調査は2000年に公表されているので、上記後進国の数値は、FBやツイッターの発達で、現在はもっと%が下がっているに違いない。そして、日本だけが「マスコミ鵜呑み度」70%を堅持しているような気がする。
このような傾向が強い国民が、垂れ流されるテレビ・新聞の報道や政府統計を、其のまま鵜呑みにするのだから、国民の意識を操作するなど“朝飯前の仕事”なのだろう。しかし、グローバル経済と対中、対露冷戦構造の再構築、TPPによる国家体質の改変など、身の回りに衝撃的事件を誘発するリスクが高まっている時代である事に気づかなければならない。実際問題、今の日本は自らの意志で、あらゆる問題を解決し得る能力を失いかけているのだ。そして、その機能不全は一層深まる事実を認識すべきだ。
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