シベリア出兵と日本の満州進出を直接関連づける議論は、日本国内では聞いた
ことがない。私が知っている説明では、石原・板垣の両氏が満州事変を企画した
意図は、満州を中国から切り離し、五族共和の国をそこに作ること。そして、将
来の日米戦争に備えること。

石原氏は、日蓮主義の立場から、世界最終戦争としての日米戦争は不可避と考
えた。満州建国の当初は、五族共和を真面目に追求する観点から、日本人の
オーバープレゼンスを彼らは頑なに拒んだが、岸氏、東条氏に代表される、東京
から来る文武の官僚に抗することができず、結局、日本の傀儡国家的な存在に
なった。この辺りは、唯物史観からは理解は無理だろう。

>スターリンはその賠償として北方４島をポツダム宣言を根拠に獲得したと説明
>している。

確かに、シベリア出兵終了後、ソ連はヨーロッパ・ロシアの革命を進めるために、
日本・米国などの影響を削ぐために、一時期、チタに極東共和国を作っている。

ただ、北方4島を歴史問題と考えるとき、スターリンがシベリア出兵による革命の
遅延を穴埋めするために賠償として、その島々を求めたという議論は、やはり、
聞いたことがない。

ヤルタ会談で、ソ連の対日参戦の見返りとして千島列島のソ連割譲を、ローズ
ベルトはスターリンにオファーし、スターリンはそれを受け入れた。1945年4月、
スターリンは日ソ不可侵条約の不延長を日本に通告し、同8月、ソ連は日本に
参戦した。問題は、同条約の廃棄には1年前に通告する義務があった、と定め
られていたことで、日本はこれを根拠に、ソ連による4島の占拠を条約違反と
主張している。欧州議会もこの立場を認め、2005年7月、北方領土の返還を日
本に促す決議をしている。

一方、ロシアは、4島は第二次大戦の結果合法的に取得したものであるという
立場をとり、日ソ不可侵条約も1945年4月に破棄したものであり、それ以降は
条約に従う必要はない、という立場をとっている。

最近は欧州メディアも、この辺りのところは、事実に則して伝えるようになって
きている。

通訳は「60年前」と確かに言っている。上で述べたような経緯を知っている人な
らば、それだけですべて分かるのだ。

上の説明で、この私の記述がウィキの説明と少し違った。

「確かに、シベリア出兵終了後、ソ連はヨーロッパ・ロシアの革命を進めるために、
日本・米国などの影響を削ぐために、一時期、チタに極東共和国を作っている。」

ウィキの説明はリンクから読める。

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%A5%B5%E6%9D%B1%E5%85%B1%E5%92%8C%E5%9B%BD

ただ、緩衝国としての極東共和国の位置づけは、やはり、その通り。

こちらに弱い部分があると、こちらがボロを出す。

プーチン氏が実際に「100年前」と言ったのなら、その解釈が成り立つ余地も生ま
れるんだけどね。でも、通訳が嘘をついたとは考えにくいでしょう？

シベリア出兵とヤルタ会談を結びつける議論も聞いたことがないし。

安倍首相さんさぁ、『次官級（事務レベル）の交渉を始める』ってどういう事？
“政治決着（決断）”があり、それに沿って“官僚の実務レベルの調整”が生じるんでは無いのかい？

この当然の“疑問”をぶつけることも出来ない“マスゴミ”の憐れさ・・・