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連続追及 第9弾 PCなりすまし事件 やっぱりひどい!自白強要なんて朝飯前 取調官は「冤罪検事」と呼ばれる男
http://gendai.ismedia.jp/articles/-/35669
2013年05月01日(水)週刊現代 :現代ビジネス
冤罪で有名な「布川事件」で無期懲役を求刑した検事。元高検検事長を「ウソの自白」へと「完落ち」させた検事。この2名が中心となって進められてきた検察の捜査で、再び冤罪が作られるのか。
■わずかな抵抗も許さない
その日、片山祐輔さん(30歳)が東京湾岸警察署内の運動場に出ることを許されたのは、朝の8時頃だった。すでに2ヵ月以上が経過している留置場生活で、片山さんは普段、朝7時頃に運動場に連れて行かれる。だが、4月11日に限っては、その時間がいつもより1時間も遅かった。
軽い体操を終えた片山さんは係官に「刑事さんから話がある」と声を掛けられ、別室に通された。片山さんは再々逮捕を覚悟した。そこで片山さんを待っていたのは、約10人の刑事だった。その部屋には車椅子が用意してあるのも見えたという。片山さんが自分の足で歩こうとしない場合、車椅子に乗せてでも連れて行こうとしたのか。片山さんはそこから刑事課の部屋へ連れて行かれた。
片山さんはすでにハイジャック防止法違反などで起訴・立件されているが、この日、威力業務妨害などの容疑で再逮捕されたのだった。逮捕状が執行され、指紋と写真をとられた。片山さんが主任弁護人である佐藤博史氏に話したところによると、取調室で刑事にこう言われたという。
「被疑者には取り調べ受任義務があり、取り調べに応じなくてはならない。話さないと君が不利になるかもしれない。録画は法律上の義務ではないし、警察は本件で録画する気はない。録画なしには取り調べに応じないというのは、君自身の考えか?」
片山さんと弁護団は「可視化」が行われない限り、警察と検察の取り調べを受けないと明言してきた。
一方で、片山さんらは可視化が行われるのであれば、黙秘権を行使することなく、取り調べに応じることも約束している。だが、警察と検察が可視化に応じる素振りは今のところ、まったくない。
警察と検察が密室である取調室で強引な取り調べを行い、自分たちに都合のいい"自白"を強要してきたことは、これまで何度も問題とされてきた。
容疑を否認する被疑者を長期勾留し、時には怒鳴りあげ、時には情にからめて身に覚えのない犯罪事実を認めさせる―。事実、今回の遠隔操作ウイルスによる一連の事件でも、無実の明治大学学生が被疑事実を認め、静岡家裁で保護観察処分を下された。
しかも今回、片山さんの取り調べにあたった上本哲司検事(写真上)には、一般市民を強盗殺人犯に仕立てようとした過去がある。冤罪事件として名高い「布川事件」で、上本検事は「無期懲役」を求刑したのである。
布川事件―。
'67年、茨城県利根町布川で大工の男性が殺害された。警察は桜井昌司さんと杉山卓男さんを別件で逮捕。容疑を"自白"したとして、検察は強盗殺人罪で起訴した。二人は「自白は強要されたもの」として容疑を全面否認したが、'78年、無期懲役の判決が確定した。
二人は'96年に仮釈放された後も身の潔白を訴え続け、弁護団の丹念な証拠開示請求によって、事件現場に二人の痕跡が残されていないこと、検察が証拠とした自白テープに改竄の跡が見られることなどが新たに判明。そして'05年に水戸地裁が、「有罪とした証拠の信用性に疑問が生じた」として再審開始を決定した。この時点で、二人が無罪になることはほぼ既定路線と思われた。
だが、'10年に始まった再審の公判で、当時、水戸地検の三席検事だった上本検事は無期懲役を求刑したのだ。もちろん、でたらめな「自白」しか証拠を持っていない検察の主張が通るはずもなく、'11年、桜井さんと杉山さんの強盗殺人容疑について無罪が確定した。逮捕勾留から44年かけて、ようやく無実が証明されたのである。
■もうひとつの捏造事件
法廷で上本検事と対峙した杉山さんがこう話す。
「上本検事のことはよく覚えています。私に質問もしないで、これまでの検察の主張を繰り返すだけのあまり芸のない人だと思いました。論告求刑の際にも、彼の顔色は赤くなったり、真っ青になったり、コロコロ変わるんですよ。でも、こちらの意見には一切反論もしない。ただ苦虫を噛み潰したような表情を見せるだけ。当時の弁護団の誰かが彼のことを『敗戦処理班』だと言っていましたね。
無期懲役を求刑したことで、当時の上本検事に対して私は腸が煮えくり返る思いでした。今考えれば、彼も組織の人間として上の命令には絶対に逆らえないし、それまでの検察の意見を踏襲するしかなかったのかもしれませんがね。検察官として組織の歯車にすぎなかったのでしょう。布川事件以降、何かの反省をしたと思うのだけど、どうなのかな……」
だが、上本検事をはじめ、検察に過去の冤罪事件を反省した様子はないようだ。彼らは自身が生み出した冤罪被害について、二人に謝罪を一切していない。
もう一人の冤罪被害者である桜井さんは、検察組織は「モンスター」だと指摘する。
「上本検事個人の人間性とは関係ありません。彼の個性は、検察という組織の個性と同一なのです。物的な証拠や容疑者の供述に基づかないで、自分たちに都合のいい偏見に満ちた解釈しかしない組織ということですね。たとえ間違ったことをしてしまったのが明らかでも、決してそれを認めない組織とでも言いましょうか。反省という言葉は彼らにはないのでしょう。
ミスをしても責任を取る必要がない、検察組織という"聖域"が、こうしたモンスターたちを作り上げてしまったと思います」
上本検事はこの4月1日付の人事異動で広島地検に転出。後任には前宇都宮地検足利支部長の倉持俊宏検事が着任した。だが、その後、検察の方針が軌道修正されたようには見えない。桜井さんが言うように、検察は絶対に自らの非を認めようとしないのだろうか。
もう一人、上本検事とともに今回の取り調べにあたってきた東京地検特捜部出身の水庫一浩検事にもとんでもない"前科"がある。
この水庫検事は「朝鮮総連ビル詐欺事件」で、事件に関与したとされる元公安調査庁長官で、元高検検事長の緒方重威氏の取り調べを担当した。
緒方氏は自著『公安検察』に、検察の取り調べの苛烈さをこう記す。
〈検事として取り調べにあたった経験のある私でさえも、「取り調べを受ける側の立場とはこれほど辛いものなのか」と思い知らされるほどの苛烈さであった。
脅迫、恫喝、侮辱、泣き落とし、そして決定的な孤独……。二度も「自供」に追い込まれてしまった。その「自供」は直ちにメディアにリークされ、大きく報道もされた〉
同書によれば、水庫検事は、「共犯者」の供述を"捏造"し、かつ事情を何も知らない段階の長女からのメールをも使って、緒方氏を「ウソの供述」に追い込んだという。
■いつまでも勾留され続ける
緒方氏はそもそも朝鮮総連ビルをめぐってカネを騙し取る意図などなく、また被害者が存在しないとして、無罪を主張してきた。
だが、裁判所は緒方氏の「虚偽の自白」を重視し、有罪判決を下した。現在、緒方氏は上告中だ。
緒方氏の主任弁護人を務める落合洋司氏は水庫検事についてこう話す。
「水庫検事は特捜部的な取り調べしかできない検事という印象です。逮捕直前に送られたメールを見せて情に訴えかけてみたり、有罪間違いなしとプレッシャーをかけてみたりという手法ですね。それで、緒方氏は『ウソの自白』をさせられたということです。
片山さんに対する弁解録取の際の取り調べについて、佐藤弁護士から送られてきた資料を見ましたが、被疑者との人間関係をきちんと作れていない。結局、特捜部のやり方に染まった検事に、被疑者との人間関係など築けないということではないでしょうか」
検察は公平な正義を追求すべき存在だ。だが、上本、水庫両検事が過去に手を染めた「不適切な捜査」を見るにつけ、それは単なる理念に過ぎず、実態はそうはなっていないことを思い知らされる。
そんな検察の主張を丸呑みにして、長期勾留を認めている裁判所にも問題はないのか。弁護側は片山さんの勾留理由の開示を裁判所に要求した。開示された理由は、検察の主張を追認するだけのものだった。
1回目の勾留理由開示を行った岩田澄江判事補も、2回目の冨田環志判事補も「証拠隠滅と逃亡のおそれ」があるとして、片山さんの勾留を認めたのだ。元裁判官で弁護士の森炎氏が問題点をこう指摘する。
「一般的に裁判所は、被疑者が起訴されて犯罪捜査が終わっているにもかかわらず、身柄拘束を認めています。日本の裁判実務では、保釈するかどうかの判断にあたって、犯行を認めていない場合は、認めている場合よりも被告にとって不利に扱う。これは明らかに犯行を認めさせる方向に事態を誘引しようとする考え方であり、身の潔白を主張する意欲を削ごうとする無力化効果を狙ったものです。
保釈されないということは、裁判が終わるまで身柄を拘束されっぱなしということです。そのため、日本の刑事司法は『人質司法』と言われています。こういう陰険とも姑息とも言うべき裁判実務は、いい加減やめなければならない時期に来ているのではないか」
確たる証拠も示さずに、警察、検察、裁判所がグルになって被告を精神的に追い詰め、有罪を認めさせる。日本の刑事司法は歪んでいるとしか言いようがない。
PCなりすまし事件は、初公判の前に争点を絞り込む「公判前整理手続き」が行われることが決まった。
第1回協議は5月22日に行われる。これまでのように密室で強引に罪を認めさせるような検察の手法はもう通用しない。
「週刊現代」2013年5月4日号より
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