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2013/5/1 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
これほど危険な政策をなぜ強行しているのか
口を開けば自画自賛。高支持率に舞い上がっている安倍首相は、訪問先のロシアでも「日本経済は『アベノミクス』で復活しつつある。日本の経済力が日ロ関係の一層の発展に用いられることを希望する」と威張っていた。しかし、この間にも、経済専門家は肝を冷やしている。
株高バブルの代償が、どれほど凄まじいことになるか。誰にも想像がつかないからだ。
金融緩和によるインフレターゲットを掲げた安倍が自民党総裁に返り咲き、昨年11月の解散・総選挙以来、株は上がった。金融政策トップにはリフレ派の黒田日銀総裁が就任。市場の期待に応えたが、強欲な市場はさらに黒田にサプライズをせっついた。それで出てきたのが「異次元緩和」だ。通貨供給量を2年間で倍にし、上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J―REIT)などのリスク資産まで買い増す。銀行券ルールも反(ほ)故(ご)にして、国債の買い入れ対象は40年物にまで広げる。
多くの国民は、それで株が上がっているのだから、いいじゃないかと思っているのだろうが、専門家の見方はまったく違う。
「国債市場は、国債利回りの乱高下が生じ、混乱しています。日銀が超長期ゾーンを含めた買い入れをアナウンスしても、機関投資家からの売りはあまり出なかった。銀行は現ナマをもらっても、投資先がないから困るのです。日銀がマネーをジャブジャブにしようとしても、そのカネが市中に流れる仕組みになっていない。だとすると、日銀の国債買い入れは国債暴落懸念を招くだけで終わってしまう。早くも、黒田総裁の緩和政策の危うさが浮き彫りになってきたのです」(経済アナリスト・菊池英博氏)
その証拠に、日銀が大量に国債を買い入れると言っているのに、金利が上昇するという珍現象も起きている。日銀にしてみれば大きな誤算だ。
◆国債市場を歪め暴落の危機を招くリスク
日銀は異次元緩和で月に7兆円もの国債を買う。市場に出回っている国債の約7割だ。こうなると、もう国債マーケットは機能しなくなる。プレーヤーは日銀だけ。極めていびつで歪んだ市場になってしまった。
しかも、緊急避難的にそれをやるならまだしも、日銀はこうした異次元緩和を3年間も続けるつもりなのである。
では、3年後に引き締めに転じるのか。そんなことはできっこない。日銀が大量に買い入れた国債を売ろうとすれば、それがトリガーとなって、国債暴落を招く。その瞬間、長期金利は急上昇し、借金まみれの日本はアウトだ。
リスクがてんこ盛りであることに加えて、「そもそも、金融緩和で物価が上がるのでしょうか?日銀の審議委員も疑問を投げかけているほどです」(日銀関係者)。
なんだか、明日なき闘いだ。奇跡を信じた硫黄島の玉砕みたいな話になってきた。
そのうえ、金融緩和の副作用は円安=輸入インフレという形で、確実にエネルギーコスト増と、庶民の負担増という形でのしかかってくるのである。
そりゃ、金融緩和であふれたマネーは投機に向かい、資産バブルで株や不動産市場は過熱するのだろうが、それと隣り合わせの危機も膨らんでいく――。
安倍はよくもまぁ、こんなバクチ政策をしながら、「日本経済は復活した」なんて、自慢できるものだ。今さえよければそれでいいのか。株高で好景気を演出し、それで支持率が上がればいいのか。
政治とは百年の計で国益を考えなければいけないのに、トップが刹那主義に走り、バブルに浮かれているのだから、どうにもならない。
◆円安で日本経済が良くなるなんて幻想でしかない
大体、この円安・株高は誰のためのものなのか。これも考える必要がある。明らかにこの国のためではないだろう。
アベノミクスは円安で輸出関連企業の業績が良くなると喧伝していたが、3月の貿易統計を見ると、輸出額は1%の微増。数量ベースでは10カ月連続のマイナスだった。
為替のおかげで助かっているだけで、輸出はちっとも増えていない。
「加えて、輸出が増えたとしても、かつてのように、それが日本経済を牽引する力はない。経産省の『海外事業活動基本調査』によれば、11年度の海外生産比率は、海外進出企業ベースで32・1%まで上昇している。企業はかくも海外生産拠点を増やしている。仮に輸出が2000年代の戦後最長の経済成長くらいに回復したとしても、プラス効果は限定的です。企業収益は思ったように回復せず、賃金上昇にもつながらない可能性があります」(第一生命経済研究所・経済調査部副主任エコノミストの鈴木将之氏)
その一方で、輸入インフレの物価高を押し付けられるのだから、何のためのインフレ、円安政策なのかということになる。
◆米国グローバリズムの手先が暗躍
さて、安倍に異次元緩和を迫ったのは、マネタリストの新自由主義者だ。資産バブル大歓迎、資産価値が上がればそれでよし。市場原理主義者、格差拡大是認派で、庶民の生活なんて知ったこっちゃないという連中である。
ここにアベノミクスは誰のためのものなのか、という答えがある。
「マネタリストというのは、米国流グローバリズムの先兵のような存在なのです。実際、このバブルで儲けているのは、新自由主義に連なる人々です。著名投資家のジョージ・ソロス氏も、高騰前に日本株を買いまくり、円売りを仕掛けて10億ドル以上の利益を得た。私は、アベノミクスの金融緩和で一番喜んでいるのは、米連邦準備制度理事会(FRB)のバーナンキ議長だと思いますね。FRBの量的緩和(QE)が手詰まりで、第3弾のQE3も効果が見込めない。そこで、金利の安い日本からカネを引っ張ってこようと考えた。ジャブジャブにしてあふれたマネーは、円キャリートレードでNY市場に流れ、米国の金融資産が上昇する。米国の新自由主義者=投資家は万々歳でしょう」(菊池英博氏=前出)
すべては米国の利益のため。そのために円と日銀の信用を差し出すわけだ。まさに売国政策だが、その延長線上に、一連の規制緩和やTPP参加もある。その結果、地方はへたり、日本社会は「稼ぐが勝ち」という世の中になり、格差は拡大し、一握りの富裕層以外は明日の食料にも四苦八苦することになる。
26日には、円安による燃料費の上昇で採算が合わなくなった全国のイカ釣り漁船およそ1000隻が一斉に操業を休止した。漁業関係者は政府に支援策を要請しているが、これは何もイカ釣りにかぎった話ではなく、中小企業はどこも苦しい。そうなると、円安によるコスト増をどこかで埋めるしかない。
それは人件費の圧迫だ。その先にあるのは首切りだ。株高の恩恵が庶民の懐を温める日が来るなんて、ほとんど絶望的なのである。
それなのに、安倍は平気の平左。なぜなら、米国のポチ政権だからだ。
アメリカに媚(こ)びてご機嫌を取り、支えてもらえば、政権を維持できる。そういう魂胆なのだが、そんなのが高支持率に浮かれている。理不尽を絵に描いたような話である。
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