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いい気になって本音を出すと、高転びに転ぶ―安倍首相と猪瀬東京都知事に共通するのは、「つい馬脚を現してしまう」危うさといえそうです。猪瀬発言は「イスラム諸国が共有しているのはアラー(神)だけで、互いにけんかばかりしている」というものです。IOC(国際オリンピック委員会)も招致活動の行動規範に抵触するのではないかと、調査に乗り出しました。
安倍首相の危うさは、先の大戦に対する根本認識と、憲法改定問題についてです。「『侵略』の定義は定まっていない」と述べました。これは村山(首相)談話が、「侵略戦争に対する関係国への謝罪」を表明したことに対し、それを否定して新しい「安倍談話」を出すための布石とされています。安倍氏は、「あの戦争は自衛のためのやむにやまれぬものだった。決して侵略しようとするものではなかった」といいたいのです。
安倍首相は、麻生副総理をはじめ閣僚が靖国神社に参拝したことに対しても、「国のために殉じた英霊に尊崇の念を表すのは当たり前」と認めました。本当は自分が参拝したいところなのです。憲法も改定をめざし、その狙いが9条にあることは周知の事実です。国防軍を持ち、”普通の国”として戦争ができるようにしておきたいと、執念を燃やしています。
こうした一連の言動が、アメリカをはじめ国際社会から警戒の目で見られるようになってきました。一言で言えば、「軍国化するニッポン」に対する警戒です。私たち国内の庶民には、「まさかの軍国化」ですが、国際社会はそうは見ていません。本気で心配し始めています。安倍首相の本音が見透かされているともいえます。
猪瀬氏の発言は、トルコとの友好関係に重大な悪影響をおよぼしかねない内容でした。イスラムの神を揶揄(やゆ)するうえ、イスラムの国をまとめて軽蔑する表現だったからです。しかし、トルコ側のメディアは、猪瀬発言を掲載したニューヨーク・タイムズ紙を引用して短く伝えただけ。イスタンブール五輪招致委員会の幹部も、「委員会としてはコメントしない。それが最良だ」と、大人の対応をしてくれていることを、朝日新聞の本日5月1日付け朝刊(2面)で伝えています。
トルコは、本当に日本びいきです。123年前のトルコからの親善船エルトゥール・ル号が和歌山沖で遭難した時、近くの村人が総出で献身的な救出活動にあたったことを今も大切にし、友好を温め合ってきました。しかし、猪瀬氏はどうだったか。問題化した当初は、例によって日本流のごまかし戦術で乗り切ろうとしました。「真意が正しく伝わっていない」という、例の決まり文句です。その後、録音が残っておりごまかしがきかないと観念すると、一転、謝罪し、「これでおしまいにしたい」。このご都合主義!。少しも誠意は感じられず、ただただ火消ししたいだけです。
本日の読売朝刊は、「『猪瀬発言』IOCへ説明 東京招致委が文書送付」の見出しで、本文はわずか24行の簡略さ。これでは何が問題だったのか、すらよく分かりません。読売は、「猪瀬発言は大した問題ではない」と、読者の頭に刷り込み、できるだけ早く忘れさせようとする紙面でした。
一方、朝日は2面でたっぷりとスペースを割いて取り上げ、さらに社説でも猪瀬知事の国際感覚のなさを批判し、叱りました。「五輪精神の逆を向くような発言は、招致の正否にかかわらず、日本にマイナスである」と、厳しく指摘しました。ッタク、首都東京の恥さらしです。情けない。
http://blog.goo.ne.jp/ikiikimt/e/4d1f57bc7f7f8c420225952c273bc89b
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