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衆院内閣委で答弁する安倍晋三首相。カジノを中心としたIR整備には意欲できで、6月の新成長戦略にも盛り込む方針だ=26日
http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20130429/plt1304291121001-n1.htm
2013.04.29
【高橋昌之のとっておき】
日本国内でのカジノ合法化とそれを中心とした統合型リゾート(IR)を整備することによって観光立国を目指す超党派の「国際観光産業振興議員連盟(IR議連、通称・カジノ議連)」は24日、安倍晋三政権発足後初の総会を開催し、活動を再開しました。
議連はすでに平成23年8月、カジノを合法化し、それを中心とした観光施設を整備するための「特定複合観光施設区域整備推進法案」を決定していて、参院選が終わった後の秋の臨時国会に議員立法で提出する方針です。議連には社民、共産両党以外の与野党各党議員が参加しているうえ、安倍政権も6月にまとめる新成長戦略の柱のひとつとしてIR整備を盛り込む方向で、法案が提出されれば成立する公算は極めて大きいと言えます。
私は平成22年に議連が発足して以来、IRの整備は日本の観光立国、経済成長の起爆剤になると考え、報道し続けてきました。他のメディアはその重要性に気づかなかったのか、実現するはずがないと思っていたのか、ほとんど報じてきませんでしたが、それがいよいよ実現しようとしているのです。今回は法案の内容を改めて解説するとともに、IR整備の必要性とその一方にある不安の払拭などについて書きたいと思います。
議連の法案は、カジノを合法化し、IRを整備するための「基本法」という位置づけで、政府に対して同法施行後2年以内に「実施に必要な法整備」を講じることを義務づけています。具体的には内閣に首相を本部長とする「特定複合観光施設区域整備推進本部」を設置し、必要な法案や政令の立案を行うこととしています。
IRを整備する区域は、地方自治体の申請に基づいて国が指定します。IRを直接運営するのは民間事業者として、その認可は内閣府の外局に設置されるカジノ管理委員会が行います。カジノで得られた収益金の一部は、国と地方自治体が納付金として徴収し、東日本大震災の復興財源にも充てます。
日本の刑法は賭博を禁止していますが、宝くじや競馬、競艇など公営ギャンブルが存在するように、国や地方自治体の財源に充てられる、つまり公共の利益に供されることによって、違法性は阻却(そきゃく)されます。カジノを合法化するのも同じ論理です。ただ、従来の公営ギャンブルと異なるのは直接の運営には民間事業者があたることで、これは民間の活力を生かした方が発展性があるとの判断からです。
カジノは今や世界140カ国以上で行われており、とくに主要国、先進国でカジノが禁止されているのは日本だけです。最近でみればマカオやシンガポールが、カジノを中心としたIRによって、外国人観光客を大幅に増やし、国内総生産(GDP)の飛躍的成長を遂げているのは、みなさんもご存じのことと思います。そうした世界の流れから、日本は大きく取り残されてしまっているわけですが、それは国民の間にカジノを合法化することへの「漠然とした不安」があり、反発を恐れた政治が動き出せなかったからにほかなりません。
ここで、その「漠然とした不安」はあたらないということを指摘したいと思います。まず、不安のひとつは「犯罪が増えるのではないか?」というものだと思います。しかし、海外のカジノに行かれた方はご存じだと思いますが、極めて安全に運営されています。というのは、「危険な地域」と噂されただけで客が寄りつかなくなり、収益が激減するためで、どこのカジノも安全の確保には全力を挙げています。
議連のカジノ法案でも、強力な国の規制機関を設けるとともに、警察庁や当該都道府県警と連携して、厳格な行為規制と施行を常時監視する体制をとって、犯罪が起こらない制度と環境をつくることになっています。
次に「暴力団が関与するのではないか?」という不安があると思います。これもやはり、海外では「マフィアが関与している」と噂されただけで、収益減になりますから、厳格に反社会的勢力を排除しています。
この点について、議連の法案は施行にあたるすべての企業、個人を厳格に審査・調査し、暴力団を関与させない仕組みを作ることにしています。とくに日本は顔認証などの技術で世界最先端をいっており、これらのシステムを採用すれば暴力団を排除することができます。
第3は「未成年に悪影響を与えるのではないか?」というものがあると思います。この点について、議連の法案は(1)施設は住宅地や教育施設から一定程度隔離することを義務づける(2)カジノへの入場に際しては本人確認を義務づけ、物理的に入場できないようにする(3)運営者の瑕疵(かし)で未成年者の入場があった場合は厳罰に処すーなどとしていますから、杞憂(きゆう)といっていいでしょう。
第4には「カジノ依存症になる人が出るのではないか?」ということがあります。この点についても、議連の法案は依存症に陥らないための教育、防止・抑制策、カウンセリング・治療を徹底することにしています。この点は私は「自己責任」の問題だと思いますが、法的に義務づけて対策を講じるのはいいことでしょう。
このように従来、日本で一部、とくに革新系が指摘してきた不安は、十分防止することができますから、心配する必要はありません。そうした不安ばかりを強調して、IRによる観光立国、経済成長に二の足を踏むことはもはや国際常識からかけ離れています。
そして、カジノ合法化というと、巨大なカジノ場が次々できるというイメージを持っておられる方もおられるかもしれませんが、海外のカジノに行かれた方はそうではないことはよくご存じでしょう。
シンガポールの場合も、カジノの面積はIR全体のわずか3%にすぎません。大部分は宿泊施設、ショッピングセンター、コンサート会場やアトラクション施設などのエンターテインメント施設、見本市会場なのです。つまり、総合的な楽しみの場であり、ビジネスの場なのです。
私は日本がカジノを合法化してIRを整備すれば、その成功はマカオ、シンガポールの比ではないとみています。というのは、日本には伝統、文化という他国にない魅力や温泉、世界トップクラスの食など観光資源を豊富に持っています。日本に唯一欠けているのは、IRという海外から観光客を呼び寄せるための起爆剤なのです。
安倍政権はすでに6月にまとめる成長戦略にIRの整備を盛り込む方針を固めていますが、IRは主に海外の富裕層をターゲットとしていて、日本でお金を使ってもらうわけですから、最も簡単で効果的な成長戦略と言っていいでしょう。
ここまで読んでこられて、みなさんはどうお感じになられましたか。世界は今、観光分野をめぐっても大競争時代の中にあります。その中にあって、日本はこのまま「議論のための議論」に終始し、「決断して踏み出す」ことにためらい続けていていいのでしょうか。
繰り返しますが、日本は幸いにも世界的に優れた観光資源に恵まれています。それを有効に活用し、世界中の方々に日本を楽しんでもらい、好きになってもらう。カジノを中心としたIRは観光立国、成長戦略はもちろんですが、日本が「世界から愛される国」になるためにも必要なのです。
政治はもちろんですが、国民のみなさんも、カジノを中心としたIRの整備について、漠然とした情緒論に縛られるのではなく、真実を理解したうえでの現実的な議論を行って、前に踏み出そうではありませんんか。
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