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「日々担々」資料ブログ
■検察審査会の闇について考える
ネットワーカー弁護士の独り言:(山下幸夫弁護士)
(『法と常識の狭間で考えよう』2013.04.27)
http://beatniks.cocolog-nifty.com/cruising/2013/04/post-dee2.html
検察審査会制度は、裁判員制度と並んで、司法改革により制度が改められ、2009年5月から、検察審査会が起訴決議をすることによって起訴される制度に改められた。その中で、政治家の小沢一郎氏について政治資金規正法違反(虚偽記載)で起訴議決がなされ、東京地方裁判所によって選任された指定弁護士によって起訴されたが、結局、一審も二審も無罪となり、2012年11月、指定弁護士が上告を断念して無罪が確定した。
この裁判の過程において、東京地方検察庁特捜部が、一度起訴相当決議をしていた東京第五検察審査会の二度目の審査の際に、佐久間達哉検事が田代政弘検事に対して、石川知裕議員の取り調べ状況について虚偽の内容の報告書を作成させ(石川議員が取り調べをICレコーダーで隠し録音していたことから虚偽であることが明らかとなった)、その虚偽記載部分にアンダーラインを引いたり、供述内容を書き加えたりされていたことなどが明らかとなっている。
これは、東京地方検察庁特捜部が、検察審査会が起訴相当決議をするように誘導したのではないかとの疑いが明らかになったものである。
これに対しては、市民団体が、田代検事を虚偽有印公文書作成・行使罪と偽証罪で刑事告発するとともに、その上司なども刑事告発した。
しかし、最高検察庁は、「記憶が混同した」と繰り返す田代検事の証言を採用し、当時の上司らも「虚偽とは知らなかった」と説明したことを採用して、2012年6月27日、田代検事を嫌疑不十分の不起訴処分とした上で減給処分、他の検察幹部は嫌疑なしの不起訴処分とした上で戒告処分をし、田代検事は同日辞職した。
そこで、刑事告発していた市民団体は、この不起訴処分を受けて、田代検事やその上司の検事を検察審査会に申し立てていたものである。
2013年4月9日、東京第一検察審査会は、田代元検事の有印公文書偽造・同行使容疑については不起訴不当としたが、それ以外は不起訴相当とするとともに、他の上司については全て不起訴相当と判断する決議をした。これにより、最高検察庁が再捜査し、再度不起訴処分にした場合には、田代元検事やその上司が起訴される可能性は完全になくなった。
今回の議決書において、田代元検事による有印公文書偽造・同行使容疑については、虚偽記載があったと認め、「田代は40才台半ばのベテラン検事であり、同一の被疑事件で同一の被疑者とはいうものの、2日前と約3ヶ月前の取調べの記憶を混同することは通常考え難い」などと述べ、「虚偽有印私文書を作成するにつき故意がなかったとする不起訴裁定書の理由には十分納得がいかず、むしろ捜査が不十分であるか、殊更不起訴にするがために故意ずないとしているとさえ見られる」と判断している。その判断は当然であり、正当と言えるが、その結論は不起訴不当であり、起訴相当ではなかった。
最高検察庁が再度捜査しても不起訴処分にすることは明らかであることを考えると、検察審査会としては、不起訴不当ではなく、起訴相当決議をすべきであったが、起訴不当というのはあまりにも甘い結論であり、理由と齟齬していると言わなければならない。マスコミは内容が厳しく見えることから、今回の議決に対して好意的な評価をしているが、欺されているとしか考えられない。
ところで、検察審査会に申し立てた市民団体によると、今回の東急第一検察審査会の審査補助員を務めた澤新弁護士は、かつて秋田地方検察庁検事正や最高検察庁検事を務めた経験があるいわゆるヤメ検の弁護士であることが明らかとなっている。
そして、市民団体の代表は、「検察と持ちつ持たれつの恩義のある関係であり、何が何でも起訴議決を出させないために、議論を誘導しつつ、このメンバーで議決を取れば起訴議決になりそうだと思えば、議論を長引かせて、次の違う顔ぶれに引き継いできたと疑われても仕方がないだろう。」と指摘して、このような人物を検察審査会に推薦した弁護士会を追及する方針を明らかにしている(八木啓代のひとりごと「田代元検事不起訴不当議決! その裏の大きな疑惑」)。
http://nobuyoyagi.blog16.fc2.com/blog-category-4.html
審査補助員は、検察審査会の審査会議において、法令及びその解釈、その事件の事実上及び法律上の問題点の整理、その問題点に関する証拠の整理、その事件の審査に関して法的観点から必要な助言を行うために、弁護士である審査補助員を選任することができることになっているもので(これも検察審査会法の改正で2009年5月から導入された)、一つの事件について弁護士一人を選任できるようになっている。
ただ、小沢氏の事件では、東京第五検察審査会において、二度の起訴相当決議がなされているが、その際の審査補助員については、起訴相当に誘導したのではないかが疑われているところであったが、今回は、逆に、起訴相当決議をしないように誘導したのではないかが疑われるというのである。
田代元検事らについて検察審査会に申し立てた市民団体によると、2012年8月末に申立をしてから審査に八ヶ月を要したが、検察審査会は、三ヶ月毎に半数が入れ替わる制度のために、審査員が一巡以上しており、審査補助員が、議論を誘導しつつ、議決を取れば起訴議決になりそうだと思えば、議論を長引かせて、次の違う顔ぶれに引き継いできたと疑われると指摘している点は重要である。
小沢氏をめぐる事件について、検察審査会の結論が、一方では、小沢氏に対する起訴相当決議となり、他方では、その結論に誘導したと疑われた検察官については不起訴不当に止まり起訴相当決議にはならなかったことを見れば、検察審査会が公正に審査をしているとは到底見ることが困難であると言わなければならない。そして、ブラックボックスである検察審査会において、その結論を大きく左右していると疑われるのが審査補助員であると考えられるのである。
現在、運用上、全国の検察審査会は、対応する弁護士会に対して、審査補助員の推薦を求め、弁護士会は適任の候補者を推薦することになっている。これは、検察審査会法が改正されて2009年5月から施行される前に、各地の検察審査会と弁護士会が合意して運用しているが、弁護士会による推薦については、弁護士会の中で、「一本釣り」の形で推薦されているのが普通である。
今回審査補助員に選任された澤弁護士は東京弁護士会に所属しているが、何らかの形で「一本釣り」されたのだろう。それにしても、東京弁護士会には全国一多数の弁護士が所属しており、候補者は多数いたと考えられるにもかかわらず、検事正まで努め、最高検察庁検事まで努めたことがあるヤメ検を、よりによってこの事件で推薦したことについて大いに疑問がある。すなわち、第三者から見て、古巣である検察庁との関係で恩義を感じて、甘い結論に誘導したと疑われるような人物を弁護士会が検察審査会に推薦したことは、推薦の在り方に対して疑念を持たれることになったからである。
今回の議決を通じて、改めて、検察審査会における審査補助員の在り方が問われている。私としては、現在の法制度上は一人しか選任できない審査補助員を複数選任できるように法改正して、審査補助員が暴走しても他の審査補助員がそれを抑制できるような仕組みにすることが不可欠であると考えるし、運用として、弁護士会による審査補助員の推薦に当たっても、弁護士の推薦手続の透明化を図り、その人物を推薦したことについて十分に説明責任を果たすことが不可欠であると考える。
いずれにしても、ほとんど情報が明らかにならない検察審査会のブラックボックスの中で、市民の感覚とは違うと考えられる検察審査会の結論が出されているという現状については、根本的な改善が早急に求められていると言わなければならない。
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