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2013年4月28日 神州の泉
名称は事の本質を象徴する場合が多い。それが国家的な記念日の場合はネーミングはなおさら重要である。結論から言うなら、「主権回復の日」は、本質論から言っても、そのネーミングから言っても間違っている。(左図はパロディスト、マッド・アマノ氏によるものです)
日本は敗戦後、GHQによる約7年間の凄まじい占領統治期間があり、昭和27年4月28日に占領状態から解放された。「ほそかわ・かずひこの BLOG」様によれば、この4月28日を「主権回復記念日」にしようという運動が、平成9年から続けられていて、発起人が井尻千男(かずお)氏(拓殖大学名誉教授)、小堀桂一郎氏(東京大学名誉教授)、入江隆則氏(明治大学名誉教授)の3名だそうである。
http://blog.goo.ne.jp/khosogoo_2005/e/caf1516a6793339d5e4af54dfef88a93
この3名の方々は尊敬しているのだが、4月28日を「主権回復記念日」にするというのは国家主権の定義から言っても、歴史の客観性から言っても誤りであろうと思う。まず「主権回復」という名称自体が概念的な混乱を与えている。形態的に捉えてみれば、当時の時点で沖縄諸島や千島列島が回復されておらず、日本列島全体が回復していないのに主権が戻ったという印象のネーミングはおかしい。北方領土はいまだに回復されていない。また、米軍基地の占有率や米軍人の多さから言っても、沖縄は最も過酷な軍事占領状態にある。
1952年4月28日はサンフランシスコ講和条約が発効され、本来の終戦はこの日である。だから占領状態から解放されたこの日を歴史的に大きな記念日と捉えることは当然である。その意味で、この日を例えば「GHQ離国(りこく)記念日」とか「GHQ解放記念日」のように称するのはいいが、「主権回復記念日」と唱えるのは大きな間違いである。
次に戦後日本の状況を実態的に捉えてみれば、日本各地に米軍基地がいまだに存続しているという圧倒的な事実が、日本はまだ主権を回復していない最も重要な理由になっている。外国の軍隊が駐留し、いつでも日本人に銃口を向けることができる状態は、紛うことなき軍事占領下である。これに加え、前泊博盛氏が最近「日米地位協定入門」で暴いたように、日米間には「日米地位協定」という絶対的な不平等条約が存在し、これによって沖縄が最も過酷な被害を受け続けているし、日本各地の米軍基地は実態的に治外法権に置かれている。オスプレイの市街地低空飛行訓練を中止させることもできずに主権保持状態はあり得ない。もちろん、米軍によって日本の領空権がかなり侵害されている事実も大きい。
この戦後状態こそ、明白な軍事占領状態ではないか。これを踏まえて日米間の経済に目を転じてみれば、わが国は圧倒的に米国に押され、ほぼ例外なく不利益な状態に甘んじている。それは日米構造協議において顕著になり、今回、安倍政権が自ら進んで受け入れたTPPは究極の不平等条約になっている。このような流れになる最大の要因は、アメリカが日本を間接・直接的に属国統治しているからだ。
安倍政権はこの現実を糊塗し、徹底して国民を欺いている。日本の国富と多岐に渡る経済分野を米系国際金融資本に明け渡すTPPという外交政策に狂奔しながら、「主権回復の日」はあり得ない。戦後生まれの人すべてが、とくに若い人たちが敗戦から6年8カ月の占領統治時代があったことを知り、その期間に何が行われたのかを知ることが大事である。この占領期に今日の日本の雛型が作られ、それはマスコミや戦後教育を通じて、継続的な洗脳として現在も続いている。
国民主権は非常に重要な考え方だが、それはまともな国家主権の上でのみ成り立つ概念である。国家が脆弱であれば主権在民は担保されず、それが今の日本である。国家主権と国民主権は次元が違うので相克するものではなく、互いに補完し合うものだと考える。国家が強いという意味の国家主権は、官僚の独断専行が激しいことではなく、国家が国民の生命財産を守り抜くという強さを意味する。残念ながら今の日本は前者の官僚主権国家になっている。
日本国憲法や戦後教育は国民主権だけを強調し、国家の在り方や国民精神の涵養を捨象した。その結果、国家防衛概念が希薄化し、アメリカの属国状態から抜け出られない精神的な牢獄に呪縛されている。アメリカがそれを利用して日本の国政を壟断(ろうだん)している事実をはっきりと認識するべきだと痛感する。
(※壟断(ろうだん)の意味 : 神州の泉も中年になるまでこの言葉を知らなかったから、若い人には知らない人もいるかもしれない。一応説明すると、壟断(ろうだん)とは、高い所から見下ろして都合のよい場所を見定めるということだが、最も優位な立場にあって利益や権利を独占するという意味がある。日本の国政に対するアメリカの内政干渉はまさにこの壟断状態と言える。)
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