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2013/4/27 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
日経平均株価は1万4000円の大台目前、為替は1ドル=100円突破が時間の問題――と、相変わらず、市場はイケイケムードだ。
市場関係者によると、1ドル=100円には「ヘッジをかけている投資家がいるから壁がある」というが、月が替われば、デリバティブの条件、設定が変わってくる。100円はあっさり突破し、株価は次のステージに入るとみられている。
大和総研チーフエコノミストの熊谷亮丸氏はこう言う。
「OECD統計の購買力平価を見ると、1ドル=103円ですし、欧州の信用不安も収まっていることから、逃避マネーとして円が買われることもない。今後、為替は1ドル=105円くらいを目指して動いていくと思います。日銀が秋に追加緩和する可能性もあり、3カ月後くらいから、動きが出てくるでしょう。その場合、平均株価は年末に向けて1万5000円台を目指す展開になると思います」
日銀の黒田総裁は「今年の年央から景気回復はハッキリしてくる」と自信満々だった。日銀がジャブジャブにしたマネーが株や不動産に回り、とりあえず、世の中、バブルっぽくなってくるのだろう。ドンチャン騒ぎが始まり、安倍や黒田がますます高揚する姿が目に浮かぶようだが、ここでひとつ、確認しておきたいのは、無理してつくり上げた株高で、庶民にいいことがあるのか、ということだ。その代償は物価高なのだからヌカ喜びは禁物で、絶対に検証が必要なのである。
◆てんで信用できない安倍の言い草
確かに株が上がれば、企業の資金調達は楽になる。株、不動産などの資産を持っている企業は財務が改善する。資産家の個人にも恩恵があるし、ま、庶民にもプラスはある。年金は株などで運用されているから、株高による運用利回りの上昇は悪い話ではない。
そこを押さえた上で、やっぱり、見過ごせないのが、株高の副作用だ。
安倍は経団連に乗り込み、「賃金を上げてくれ」というパフォーマンスを演じてみせた。日銀の岩田規久男、中曽宏・両副総裁は大手銀行の幹部を集めて、「貸し出しを増やしてくれ」とせっついている。だから、いずれ賃金も上がるし、景気も良くなるという論法だ。
しかし、てんで信用できないのは、そうやっているそばから、この国の政治家や官僚は、首切り法案などの準備を着々と進めていることだ。
この国の権力者はいつもそうで、気が付くと庶民はないがしろにされている。彼らの発想が庶民よりも大企業、貧乏人よりも金持ち優遇にあるからだ。
もともと“特権階級”であぐらをかいている連中が官僚や政治家、大企業の幹部になり、庶民を無残に切り捨てる。それがこの国の歴史なのである。
◆サラリーマンのクビを切って何のための株高か
実際、安倍がいくら、賃金を上げると力んでも、ユニクロの柳井正会長兼社長は「年収100万円でも仕方がない」と言い出している。産業競争力会議で議論されている「人材の流動化」という“首切り自由化”が、どんどん具体的になっている。
さすがにカネを払えばクビにできる「解雇規制の緩和」は見送られたが、代わりに職務や勤務地を絞った限定正社員制度の導入が成長戦略とやらの目玉になる。正社員なんて名ばかりで、その地域の工場がなくなったり、業務がリストラで消えてしまえば、即、雇用契約は打ち切りというシロモノだ。
この問題を追及している、民主党の山井和則衆院議員はこう言っている。
「限定正社員の制度化とは、ひと言で言えば、解雇しやすい正社員をつくろうというもの。首切り自由、使い勝手のいい正社員を増やしたいのです。解雇の金銭解決も6月の成長戦略には入らないかもしれないが、7月の参院選が終われば、年末の成長戦略に入ってくる可能性があります。TPPと同じで、選挙が終われば手のひら返しですよ」
それもこれも、人件費カット=企業の利益拡大となり、株価が上がるからだ。犠牲になる庶民が無邪気に株高を喜んでいるのはアホみたいだ。
それでなくても、日銀の異次元緩和の先にあるのは国債暴落危機だ。なにしろ、国が発行する国債の7割を日銀が買い占めるのだから、「事実上の日銀の国債直接引き受けとみられてもしようがない」(筑波大名誉教授・小林弥六氏)。
マーケットが日本の財政規律に疑問を呈した瞬間、国債は急落してしまう。
◆バブル崩壊と金融システム不安がセット
「それを防ぐために、政府は増税と歳出カットに邁(まい)進(しん)するしかないわけです。歳出カットはメーンはもちろん、社会保障のカットになる。庶民にしてみれば、増税と年金カットなどのダブルパンチです。それでなくても黒田日銀が量的緩和でやろうとしているインフレ政策とは、形を変えた増税であり、庶民からの富の収奪です。おかげで上場企業の株価が上がる。経営者は喜び、株主は儲かる。これは庶民から富裕層への所得移転そのものですよ。国民はそれを自覚すべきだし、この国の権力者は戦前から、常に庶民を踏み台にしてきたことも忘れてはいけません。特権階級の財閥や官僚、政治家が権力を握り、自分たちのための政治をやってきた。戦後、ようやく労働者の権利が認められるようになってきたのに、安倍内閣は時計の針を戻そうとしているとしか思えません」(小林弥六氏=前出)
そうなのだ。金融緩和と規制改革を柱に据えるアベノミクスとは、煎じ詰めれば、大企業の利益、大株主の利益、エスタブリッシュメントの利益ということになる。やっぱり、株高に浮かれている場合ではないのだが、恐ろしいのは、この調子だと、日銀は際限なく量的緩和を続けるであろうということだ。日銀はきのう(26日)発表した展望リポートで2015年度の物価上昇率を1・9%とはじいたが、実現性をめぐって、2人の審議委員が反対した。異次元の緩和を続けても2%もの物価上昇は難しいのだ。だとすれば、日銀は今後、前代未聞の量的緩和を際限なく続けるしかなく、資産バブルはどんどん膨れていくことになる。
それがはじけた時の後遺症が恐ろしい。国債の金利が1%でも跳ね上がれば、金融機関は6兆円を超える損失を抱えてしまう。バブル崩壊と金融システム不安のダブルパンチで、まさしく、失われた20年の繰り返しだ。
株高の裏ではそうした危うさがマグマのようにたまっている。「大丈夫だ」「景気は良くなる」なんて、政治家の妄言をそのまま信じちゃいけない。
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