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2013/4/25 晴耕雨読
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以下、連投。
陸山会事件で、田代検事らが虚偽報告書を作成した問題について、19日、東京第一検察審査会は「不起訴不当」との議決を出した。
これを受け、IWJは本日、「健全な法治国家のために声をあげる市民の会」代表、八木啓代氏に話をうかがった。
健全な法治国家のために声をあげる市民の会(以下、市民の会)は、これまで、一連の刑事告発、審査申立を行なってきた団体である。
そこで今日は、八木氏に、先日出された「不起訴不当処分」とともに、これまでの経過についても説明いただいた。
陸山会事件をめぐり、田代政弘検事が石川知裕氏の取り調べを行い、作成された「田代報告書」。
この報告書の中身が、実際の取り調べと明らかに異なっていることを、2011年12月15日、陸山会事件の公判で田代検事は認め、「記憶の混同」だと釈明した。
検察は、この虚偽報告書について何も動きを見せなかったため、市民の会は、田代氏を「虚偽有印公文書作成および行使」、「偽証」で、田代氏の上司らを「偽計業務妨害」、「犯人隠避」で、刑事告発を行った。
その後、小沢一郎氏に下された陸山会事件の一審無罪判決において、裁判官は、検察に対し、次のような厳しい意見を述べた。
「任意性に疑いのある方法で取り調べて供述調書を作成し、その取り調べ状況について事実に反する捜査報告書を作成した上で、これらを検察審査会に送付するなどということは、あってはならないことである」。
「本件(陸山会事件)の捜査において特捜部で事件の見立てを立て、取り調べ担当検察官は、その見立てに沿う供述を獲得することに力を注いでいた状況をうかがうことができこのような捜査状況がその背景になっているとも考えられるところである」。
「事実に反する内容の捜査報告書が作成された理由経緯等の詳細や原因究明等については、検察庁等において、十分調査等の上で対応がなされることが相当であるというべきである」
つまり、小沢氏に対する無罪判決であると同時に、検察に対する厳しい批判の判決だったといえる。
さらに、この判決直後、市民の会宛に、ロシア語の謎のメールが届く。
そのメールには、田代報告書や石川氏の取り調べの反訳書などが添付されていた。
このデータはネット上で拡散され、当時の法務大臣であった小川敏夫議員の目にも止まったようだ。
「ネットで確認すれば誰しもが『記憶の混同ではない』と思うのでは」と小川法相は判断し、指揮権の発動を考え、当時の野田総理に相談をした。
しかし、その後、退任。
刑事告発を受理した検察は内部の捜査を行ったが、2012年6月、検察は、田代検事らを「不起訴」に。
新聞各紙は「身内に甘いすぎる処分だ」、「うそ記載 辞職で幕」、「ぬぐえぬ結論ありき」、「検事作名丸のみ」などと報じ、検察の体質を揃って酷評したさらに、読売新聞は、「陸山会事件の田代報告書は虚偽であることを、検察は約一年前に把握していた」と報道。
にも関わらず、放置していたことを受け、市民の会は、検事総長らを「犯人隠避」で刑事告発を行った。
後に、これも不起訴。
そして8月末、田代氏らの不起訴を受け、「検察の問題を検察自身で処分ができないのであれば、第三者に審査してもらおう」ということで、市民の会は検察審査会に審査申し立てを行った。
検審は、11人の審査員で構成され、3ヶ月毎に審査員が半数ずつ入れ替わっていく仕組みとなっている。
今年1月末頃、つまり、初期の審査員が半分交代し、もう半分も交代する直前、市民の会では「そろそろ議決が出るだろう」という声が上がっていた。
しかし、出ず。
そうなると、次に議決が出そうなタイミングは、その3ヶ月後、つまり、今。
そして、まさに先日議決が出た。
初期の審査員は全員交代し、新たな審査員が議決を出したということだ。
出された議決は、田代氏の虚偽有印公文書作成および行使、偽証に対し「不起訴不当」
議決書の内容は、「公文書の内容に対する公共的信用を害している」、「田代報告書に虚偽記載があったち言わざるを得ない」、「2日前と3ヶ月前の取り調べの記憶を混同することは通常考え難い」などと、かなり厳しいものだ。
さらに、「取調中に簡単なメモしか取らないということは、逆に自分の記憶に自信を持った検事では」、「陸山会事件の事の大きさに対し、慎重な姿勢がないことからも、何かの意図があってこのような報告書を作成したのでは」といったことまで、議決書は指摘している。
にも関わらず、起訴相当でなく、不起訴不当。
起訴相当であれば、二度目続けば「強制起訴」となり、裁判が始まる。
しかし、「不起訴不当」の場合、「もう一度検察で捜査せよ」となるだけで、結果、検察が「不起訴」と判断すれば、事件の捜査はそこで終了。
全然違う。
同じく、虚偽公文書作成および行使で、検察審査会にかけられた上司二名は、証拠がなく、「田代検事も関与を否定している」ことから、不起訴という議決が下されている。
「まさに『トカゲの尻尾切り』。一見検察に厳しいようにみえて、あまい議決書」と八木氏は批判。
さらに八木氏は昨日、「補助弁護人」にも問題があったことに気付いたという。
補助弁護人とは、「11人の一般人で構成される検察審査会の審査員に対し、専門的な助言、事件の説明を行い、議決書作成の補助をする」弁護士を指す。
今回は、澤新(さわ あらた)弁護士。
八木氏が澤新氏の経歴を調べたところ、驚くべき事実が明らかになった。
昭和42年から東京地検検事として始まり、51年法務省刑事局付検事、60年司法研修所教官、平成3年東京高検検事、7年、秋田地検検事正…などと続き、平成10年、退官。
その後、弁護士に。
中立でなければならない補助弁護人に、このキャリアは相応しいのだろうか。
さらに、退官の理由に衝撃を受ける。
澤新氏は、2億数千万円の申告漏れを税務署に指摘されたことに対し、「検事正」の名で抗議文を送った。
脱税をうやむやにしようと目論んだ。
このことは検察内部でも問題となり、法務省が、「圧力と受け取られかねない」としたことから、澤氏は戒告処分となっていたのだ。
「普通の人であれば、この額の脱税をしようとすれば、修正報告に応じたとしても逮捕される可能性が高い」と八木氏はいう。
さらに八木氏は、「まず、元検事というだけでも第三者性に欠ける。それどころか、検察内部だから戒告処分で済み、退職金も出たという意味で、『検察に恩義のある、特殊な人』が、検察全体の名誉に関わるこの事件で、なぜ補助弁護人になったのか」と疑問を呈した。
今後の検察の捜査に注目だが、八木氏は、「田代氏を起訴すればすべてが解決する問題ではない」とし、「彼一人でやったわけではない以上、一人だけ起訴となれば、本当のトカゲの尻尾切りで終わる可能性がある。起訴だけが目的ではなく、むしろ、検察のグレイ、ブラックな部分が明るみになったことは、一つの結果だ」と話す。
さらに、八木氏は今後、検察審査会に情報開示をするだけでなく、補助弁護人がどういう方法で選ばれたかの開示を求めていく予定。
また、不起訴不当とはなったものの、最高検がとりまとめた捜査報告書は検審によって否定されたわけである。
もし、再捜査後、再び田代氏を不起訴にするのであれば、今度はどういう理屈で田代被告を不起訴にするのか、注視しなければならない、と八木氏は語った以上で、本日の「八木啓代氏インタビュー」の報告を終了する。
アーカイブはこちら→http://t.co/pi2vkOHIRs
◇
健全な法治国家のために声をあげる市民の会
http://shiminnokai.net/index.html
2013/4/22
当会の検察審査会審査申し立ては、4月19日付けで、田代政弘元検事に不起訴不当議決が出ていることがわかりました。
検審議決書
http://shiminnokai.net/doc/20130422kenshingiketsu.pdf
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