http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/734.html
Tweet |
先日、「農家や消費者の代表が誰もいない「産業競争力会議」で“農業や農地の政策”が議論され決められようとしている異常事態」( http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/615.html )という投稿を行ったが、今回の耕作放棄地活用問題でも、安倍政権林農相は、農協などの農業者組織の代表ではなく、なぜか経団連会長との会談という摩訶不思議な対応を行っている。
自作農強化の一環として「耕作放棄地」を有効利用することに異論はないが、安倍政権で進められている農政論議には「農業の産業化」や「企業の農業参入」が透けて見えている。
TPP参加問題では農産品のある範囲を農業の保護の聖域とまで言いながら、やっていることを見ていると、TPP参加で農業がおかしくなることを“好機”とし、「農業の産業化」(グローバル企業の農業進出)を企てているようにしか思えない。
「耕作放棄地」は、担い手の高齢化や死亡が原因のように語られているが、それらは耕作がされなくなる要因ではあっても、長期に耕作がなされない耕作放棄地になる要因ではない。周辺には専業自作農も存在しているのだから、栽培品目が何かはともかく、収益が見込める土地であれば、借り手はいるからである。
「耕作放棄地」の半分ほどが、中間農業地域と山間農業地域にある。その多くが傾斜地で、経営規模も小さく機械化にも限界がある。(獣の害も対策費用との見合いで大きな問題)
それらの土地は、自給用ならともかく、収益を得ることが目的の現代的農業経営には向かない土地である。都市に近ければトマトや果実の栽培などで利用できる可能性もあるが、都市から離れていれば、企業でもほとんど手を出さないだろう。
そうは言いつつも、21世紀に入ってからは耕作放棄地の増加ペースは小規模耕作放棄地を市民グループなどが回復に努めたりしていることで、それまでの1/5に縮まっている。
半分ほどを占めている中山間農業地域を除く「耕作放棄地」を“産業”的に再生しようと考えたら、活用されている耕作地を含めた農地の大がかりな再編が必要となる。この種の調整は、土地条件に大きな差があることから、複数の営農主体間では難しい。
「耕作放棄地」問題は、十把一絡げではなく条件別に区分し、区分それぞれについて対策を講じる必要がある。
「耕作放棄地」を再生させるのなら、まずは、福島原発で耕作地を失った農家に向けたものであるべきだと思う。次には、農業に意欲を持つ若者への貸与であろう。
自営農民の拡充こそが、国家社会の最終的な支えである。
=============================================================================================================
耕作放棄地を強制集約
都道府県、全農地の1割再生 政府・自民方針、TPPにらみ農業強化
政府・自民党は23日、農業の競争力強化に向けた改革案を固めた。放置された農地を都道府県が強制的に借り、集約して農業生産法人などに貸し出す制度を来年度にも導入する。農地全体の1割に達した耕作放棄地を有効利用する狙い。環太平洋経済連携協定(TPP)の本交渉入りをにらみ、生産性の高い大規模農業への転換を促す。
林芳正農相が23日の産業競争力会議で方針を表明した。農林水産省は早ければ今年秋に開く臨時国会に農地法や農業経営基盤強化促進法の改正案を提出し、2014年度中の導入をめざす。
産業競争力会議で民間議員が求めていた企業による農地取得の自由化は今回は見送った。今後は規制改革や農業生産法人への出資規制の撤廃など大規模農業の担い手が新規参入しやすい仕組みを作ることが課題となる。
政府・与党はコメや小麦、乳製品など5品目をTPPの関税原則ゼロの例外扱いとする方針だが、「実際に死守できるのは1〜2品目」との見方もある。TPPが妥結すれば安い農産品が入ってくる可能性があるため、競争力の強化を急ぐ。
1年以上何も作らず、耕作を再開する見込みもない耕作放棄地は全国で40万ヘクタールと滋賀県に匹敵する規模に膨らんでいる。農家が高齢化したうえ、後継者が不足していることが背景だ。農地を相続しても耕作せず放っておく人も増え、細切れの農地が借り手もつかないまま放置されている。
都道府県が設立する「農地中間管理機構」(仮称)がこうした個人から強制的に農地を借り受ける仕組みを整える。周辺農家に働きかけ、借り手がつくよう農地の集約も進める。管理機構が用水路、排水路を整備したうえで、規模拡大をめざす農業生産法人などにまとめて転貸する。貸しやすくなるので放棄地になるのを防げ、借りる側も個別に農家と交渉する必要がなくなる。
すでに放棄地となった農地の活用策も強化する。現在は放棄地になってから指導、通知、勧告、協議といった手続きを経ないと都道府県知事が強制的に利用権を設定できない。手続きに5〜6年かかるとの指摘もある。
法改正でこの手続きを簡単にする。農地が荒れる前に所有者以外が借りる「利用権」を設け、規模拡大を目指す農家がすぐ使えるようにする。
一方、自民党は夏の参院選公約に盛り込む農業強化策の素案を固めた。耕作放棄地を10年で解消する目標を掲げ、農地集積を速める。市町村が意欲があると認定する「担い手農家」が耕す農地面積の割合を現行の5割から8割に引き上げる方針を明記。10年で農家所得の倍増を目指すとした。
農地が国土保全や水源維持などの機能を備えていることを考慮し、適切に維持されている農地に交付金を出す立法措置を進めると盛り込んだ。
20年までに農林水産品の輸出を現在の倍の1兆円に増やす目標も提示。生産から加工、販売までを担う6次産業化も進める。参院選前にTPP反対論が根強い農業関係者から理解を求める狙いもあり党内にも実現可能性を疑問視する声がある。
[日経新聞4月24日朝刊P.1]
耕作放棄地の強制集約など具体策説明 農相と経団連会長ら会談[産経新聞]
2013.4.24 10:42
林芳正農水相は24日、都内のホテルで経団連の米倉弘昌経団連会長らと会談し、耕作放棄地を強制集約する機構の設立など農業強化の具体策を説明したうえで「農業の活性化は待ったなしだ。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)にかかわらず攻めの政策を展開したい」と強調した。米倉会長は「耕作放棄地は有効活用しないといけない。どんどん進めてもらいたい」と賛意を示し、「農業は成長戦略の重要な柱だ」とエールを送った。
農水相と経団連の会談は2013年以来、10年ぶり。日本のTPP参加など今後、経済連携が進展することが見込まれるため連携を強化したいと経団連側が要望した。
http://sankei.jp.msn.com/economy/news/130424/biz13042410450019-n1.htm
農地借り手探し課題 農業強化策 丸抱えなら負担重く
政府・自民党がまとめた農業強化策の目玉は農業経営の大規模化を進めるために都道府県の仲介機能を強めることだ。増え続ける耕作放棄地の対策として、一歩前進といえる。ただ都道府県が農地を丸抱えし、巨額の税負担が残る懸念もある。農地の利用権の設定など手続きをどこまで簡素化できるかもカギを握る。
都道府県には今も農地を仲介する「農業公社」があるが、実績に乏しい。農林水産省はこの公社を都道府県ごとの「農地中間管理機構」(仮称)に衣替えする。年数千億円の予算を投じ、土地改良など投資もして農地を集約したい考えだ。
ただ、管理機構の前身の公社は県庁OBの天下り先との指摘もある。「民間の不動産会社が仲介したほうが効率が上がる」(宮城大学の大泉一貫副学長)との意見もある。借り手がみつからなければ都道府県が耕作放棄地の維持・管理費用を引き受け、公的負担が増す。確実に農地の借り手を増やすには、大規模農業の担い手となる企業などの新規参入を後押しする政策が欠かせない。
自民党が検討している「日本型直接支払制度」は「農地を農地として維持している」全農家を対象にし、支給に規模の大小を問わない。新制度がばらまきになれば環太平洋経済連携協定(TPP)をきっかけにした農業改革の停滞は必至だ。
自民・農業公約素案の要旨
○政策を総動員し、農村地域や農業の担い手の所得が10年で倍増する姿を目指す
○新たな交付金「日本型直接支払制度」を創設
○農地集積を進め、担い手農家の利用面積を10年で全体の8割にして生産効率化を目指す
○農地として再生可能な土地のフル活用を図り、10年で耕作放棄地を解消
○新規就農者を年間2万人に倍増
○飼料用や加工用のコメの生産拡大
○農産物の輸出を2020年までに1兆円に倍増。国別、品目別の施策を展開する
○農業の6次産業化を拡大
○鳥獣対策強化で農産物被害の激減を図る
○加工・業務用野菜出荷量を10年で5割増を目指す
○現在26%の飼料自給率を10年後に40%を目指す
[日経新聞4月24日朝刊P.5]
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK146掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。