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2013/4/23 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
週明けの日経平均株価が跳ね上がったのは、袋叩きにあう懸念があったG20が大過なく終わったからだ。異次元の金融緩和について、黒田日銀総裁らは「デフレ脱却のため」と説明。これが各国に“表面上は”受け入れられたことで、円安が進み、株が上がった。
黒田や麻生財務相らは「我々の政策が理解を得られた」と、舞い上がっていたが、よくもまあ、こんな詭(き)弁(べん)が通じたものだ。デフレ脱却のためだろうが何だろうが、日銀の異次元緩和が大幅な円安政策であることは変わらない。事実上の通貨切り下げ政策に他国の不満はくすぶっている。
しかも、黒田の異次元緩和は大変な副作用を伴う。日本経済と国民生活を破滅に導く。
そうした議論が日増しに強まっているのである。今や、リフレ派によるアベノミクスを支持している学者を探す方が難しいくらいだ。
この際、リフレ派と反リフレ派の言い分を整理し、どちらが正しいのか、白黒きっちりつけるべきだ。さもないと、日本経済はとんでもない方向に突き進んでしまうことになる。
◆多くの専門家が危険性を警告している
リフレ派の主張はマネーの供給量を大胆に増やせば、インフレが起こる。物価が上がると分かっていれば、タンス預金をしていても損だから、モノを買うようになる。経済全体が活性化するというものだ。そのために日銀は毎月、市場に出回っている国債の7割、7兆円もの国債を買う。そうやってマネーの供給量を2年間で倍にする。
これに株価は好反応しているのだが、つい最近、出版された「金融緩和の罠」(集英社新書)という本で、BNPパリバ証券の河野龍太郎氏はインタビューに答える形でこう言っていた。
〈当初は、高めの実質成長率、低いインフレ率、やや高めの名目成長率、低い長期金利、リスク資産価格の上昇が観測され、バブル的な様相が強まります。しかし、その後は、低い実質成長率、高いインフレ率、高めの名目成長率、リスク資産価格の下落が訪れます。つまり、バブルの崩壊です〉
〈長期金利上昇を避けるために日銀が金融緩和を続ければ、それが円安をもたらし、その円安が輸入インフレを通じて、長期金利を押し上げる。長期金利上昇と円安進展の負のスパイラルが生じ、最悪の場合には、財政危機、金融システムの動揺、資本逃避が同時に訪れる可能性がある〉
〈それはちょっとしたきっかけで急激に起こる突然死であると同時に、再び立ち上がることが非常に難しいような、何年にもわたって市民生活に影響を与えつづけるような、深刻な危機になるでしょう〉
リフレ=異次元金融緩和は日本経済をぶっ壊しかねない。そう警鐘を乱打したわけだ。同じような危機意識は慶大大学院准教授の小幡績氏も抱いていて、同氏の著書「リフレはヤバい」(ディスカヴァー携書)はズバリ、こう書いている。
〈リフレはヤバい。なぜか。リフレが国債を暴落させるからである。国債が暴落すれば、国債を大量に保有している銀行は経営破綻に追い込まれる。銀行が破綻あるいは、その危機に陥れば、すなわち、銀行危機となる。貸し渋り、貸しはがしとなり、中小企業はひとたまりもない。このとき、政府が資本注入しようとしても、その資金を調達する国債を買ってくれる人がいない。それを日銀に引き受けさせようとすれば、それはさらなる国債暴落を招き、銀行の破綻は加速する。スパイラル的金融危機だ〉
◆日増しに高まる国債暴落懸念
日銀が国債を大量購入し、異次元の金融緩和を実施すれば、財政規律がドンドン失われていく。いつか、危機が頂点に達し、パチンとはじける。その瞬間、国債は暴落し、それを抱え込んでいる銀行も、共倒れになる。
財政危機と金融危機が同時に顕在化し、日本経済は一巻の終わり。そうした懸念を書いたのだが、恐ろしいのは、「金融緩和の罠」も「リフレはヤバい」も、4月4日の前に書かれたことだ。4月4日とは黒田日銀が異次元緩和を表明したときである。その前から、こうした心配が指摘されていたのに、黒田・日銀はさらに危機を煽(あお)るかのように、金融緩和のボリュームを膨らませた。
「驚きましたよ。明らかにやりすぎです。こうした声は黒田・日銀の金融緩和を支持している人たちの間からも上がっています。実際、国債は乱高下し、4月4日以降、長期金利は上がっている。国債市場は不安定化し、危うい市場からマネーが逃げ出す動きが顕在化しかねない。そうなれば、まさに資本逃避、キャピタルフライトで、国債暴落懸念がますます高まることになります」(小幡績氏)
庶民は株高に浮かれ、麻生らはG20の“表面上の支持”にハシャいでいるが、そうこうしている間に警告の赤信号がガンガン、点滅し始めたのである。
◆アベノミクスのヤバさを挙げていけばきりがない
アベノミクスのリフレのヤバさは他にも挙げていけば限りがないほど、指摘されている。前出の「金融緩和の罠」では、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介氏や大阪大社会研究所教授の小野善康氏も登場する。それぞれ、独自の切り口でアベノミクス=リフレの危険性や無意味を語っている。
〈「貨幣供給量を増やせば経済が活性化する」というリフレ論は、マクロ経済学的な思考実験の産物の典型です。理論構築の都合上、途中で色々な変数を切り落とした結果、貨幣供給量の調整だけで複雑な経済をコントロールできるという美しい理論ができあがった〉
こう指摘した藻谷浩介氏は「人はお金さえあれば無限に何かを買いつづける」というリフレ派の理論の基礎、前提が間違っていると言い切っている。実際、日銀の金融緩和はずっと続いていて、世の中にお金があふれているのに、それが消費に結びついていないのだから、説得力がある。
小野善康氏はさらに〈発展途上国から成熟社会に突入した日本ではモノが欲望の対象になるのではなく、お金を持つこと自体が欲望の対象になっている〉と言う。
確かに、多くの国民はすでに欲しいものは持っている。しかし、将来不安は相変わらずだ。そんな状況下でインフレ懸念があったとしても無理してモノは買わない。100万円の車が来年120万円になると分かっていても、だったら「車は要らないや」となる。その分、せっせと貯金する。日本はそういう社会に突入した。だとすると、リフレ派の景気回復理論は根底から崩れ去ってしまうのである。
◆虚構の上に虚構を重ねるイリュージョン
こうなると、リフレ派と反リフレ派のどちらの理屈が正しいのか。答えは見えてくるというものだが、そこで第三者の判定だ。どちらに説得力があるのかをまずは評論家の佐高信氏に聞いてみた。
「お札というのは、もともと、虚構です。リフレ派の考え方とは、その虚構性を高めようというものです。そうすれば、これまた虚構である経済が良くなるという理屈で、虚構と虚構をかければ、プラスに転じるのか、と言いたくなる。ますます、実体から離れていくのです。しかし、そうやって、虚構を構築すれば、景気が良くなったような気分になれる。これがアベノミクスの正体で、これはモルヒネのようなものだと思いますね。国債を発行し、それを日銀に買わせ、お札を刷ることで、一時的に景気を良く見せる。カンフル剤のようなものです。しかし、本当に体が回復したわけではないから、お札を刷平均値が上がれば、政府は景気が良くなったと強弁する。おそらく、リフレ派は理論上の景気回復を描いているのでしょうが、それが国民の生活を豊かにするのか。錯覚の景気回復に騙(だま)されてはいけないのです。まして、異次元金融緩和の副作用が甚大であることを考えれば、リフレ派の理論を容認するわけにはいきません」
◆黒田マネーが流れるのは金持ちだけ
そうなのだ。誰のための経済政策なのか。それを明確にして、判断を下さなければいけない。そして、庶民にとってはアベクロダノミクスなんて、何の恩恵もないばかりか、副作用だけを背負わされる懸念がある。ここが恐ろしいところなのだ。
「黒田日銀総裁がばらまくマネーが果たして国民の底辺まで流れるのでしょうか。賃金が上がれば意義があるが、人口減の縮小経済では到底、回ってくるとは思えない。黒田マネーが流れるのは大ブルジョアと大企業だけなのです。それなのに、物価は2%を目標に上がっていく。庶民にしてみれば、大増税と同じです。一番苦しんでいる庶民がますます、苦境に追いやられることになるのです」(政治評論家・森田実氏)
それなのに、刹那的な株高に浮かれるリフレ派。それに騙される国民。つくづくおかしな世界だ。
「経済学者の中には、時の政権に気に入られて審議会などの役職に就きたい者がいる。一方、政権は長期的な国民の利益よりも、『次の選挙に勝つこと』を必達の目標と考える。この両者が組み合わさる時に、アベノミクスのような悲劇が生じるのです」とは「さらば、強欲資本主義」の著者で元バンカーの神谷秀樹氏。
前出の河野龍太郎氏は〈政策を決定する際には少なくとも社会やマクロ経済に取り返しのつかない悪影響を与えないという慎重な姿勢が必要です。れわれは同じ過ちをまた繰り返すのでしょうか〉と本の中で問いかけていた。
安倍や黒田はどう答えるのか。彼らの無責任さはもはや、犯罪的ですらある。
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