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2013年4月21日 神州の泉
昔、時代劇などで、悪代官や悪徳商人が謀議の打ち合わせをするシーンで、「越後屋、お主もあこぎな男よの〜、ふっふふ」などというセリフがあったものだ。現代では“あの人はワルだね〜”とは言うが、“あこぎだね〜”という言い方は慣用的には見られない。
大辞泉 (国語辞書) によれば、『あこぎ【阿漕】[名・形動]とは、禁漁地である阿漕ヶ浦(三重県津市)で、ある漁師がたびたび密漁をして捕らえられたという伝説から、「しつこく、ずうずうしいこと。義理人情に欠けあくどいこと。特に、無慈悲に金品をむさぼること。また、そのさま」「たび重なること」などの意味がある。
“あこぎ”は、「物をむさぼる」「図々しい」「あつかましい」といった意味で江戸時代から使われていた古風な言葉だ。特に無慈悲に他人様から金品をむさぼり取る様を“あこぎ”だと形容する場合が多い。お年寄りを騙す詐欺商法やおれおれ詐欺などもあこぎな商法の典型である。言うまでもないが、この場合の“あこぎ”はアコースティック・ギターの略称ではない。
世界は冷血、無慈悲に金品をかすめ取る鬼畜の所業が横行している。これを擬人化した国家になぞらえれば、まさに米国がやっていることは他国から無慈悲に金品をタダ同然で根こそぎ奪い取る“あこぎ”な所業なのである。米国がやっている戦争経済やショックドクトリン経済は、まさにその典型であり、かつてシカゴボーイズがチリを端緒とする南米諸国に敷設した新自由主義経済も、イラク侵攻もアメリカがならず者国家であることを示している。
このような鬼畜性の国家人格を形成しているのは、米国に籍を置く多国籍企業(グローバル資本)である。グローバル資本は目を付けた各国に強力なロビーストやエコノミックヒットマンを派遣し、それぞれの国を内部から制度変更させることを目的とし、自分たちの資本が縦横無尽に暴れ回り略奪しやすいように、各国政府に働きかけて内政干渉を施している。
このあこぎな国際商法は今までグローバリスムと呼ばれ、多くの国に深刻なダメージを与え、今では強い警戒感と非難が世界各地で巻き起こっている。米系グローバル資本が、肥え太った獲物として、かなり以前から狙いをつけていた唯一の国が日本だった。ご存じのように、アメリカの要求は日米構造協議から始まって、年次改革要望書、日米経済調和対話と、手を変え品を変えて、日本の構造改変を狙ってきたが、近年は郵政事業、とくに「JPゆうちょ銀行」や「JPかんぽ生命」の完全民営化を急いでいる。すなわちこの二社の株式を政府が保有している限り、彼ら強欲グローバル資本は手が出せないので決して満足しないわけである。また、彼らは農協の共済事業であるJA共済の収奪も目論んでいる。
4か国で始まったごくローカルな貿易協定(通称P4)だったTPPは、アメリカが加わって実権を掌握した時点から、今の陰険で凶暴な性格に変容したが、TPPがISDS条項やラチェット構造を極限的に強化させた背景の淵源は、1989年の日米構造協議にあった。これから始まって、アメリカ(グローバル資本)は、20年以上も費やして、あの手この手で日本市場に効果的に食い込もうと試みたが、日本はグローバリスムになじまない国家風土があり、彼らは最大の獲物を前にして、手が出せない苛立ちを強く持ってきた。
そこで、2010年にTPPが日本の市場防壁を合法的にこじ開けられると気付いた。つまり、貿易条約の体裁を取って条約の縛りを利用すれば、頑固だった日本市場を強制的に開くことができると踏んだのである。この文脈からTPPが日本一国を狙って今の構造に変異していることは明らかであり、そのために徹底した秘密主義と治外法権性を強化したISDS条項の適用や不可逆性のラチェット構造が、TPPの主軸的な属性となっている。
安部首相や推進派に対し、反対派がISDS条項やラチェット規定に対してはどのように対処していくのか?という問いかけは愚問だと思い始めている。なぜなら、日本一国をターゲットして屹立している今のTPPの最大の存在理由が、ISDS条項を主軸とする先行的で一方的な強制性だからである。今のTPPはこの圧倒的な強制性こそが、その最大の自己同一性なのである。
TPPがなぜ徹底した秘密主義で通しているかと言えば、ISDS条項やラチェット規定などが、有無を言わさずに強制されることが前提となっているからだ。だから、最初からその部分に対して秘密主義に徹し、交渉の余地は微塵もないわけである。だからこそ、TPPは貿易条約ではなく、それを装った罠なのである。参加したら、日本の生殺与奪はグローバル資本の手に移る。政治家も国民もこの状況がいかに恐ろしいものか、もっと想像したほうがいいと思う。
安倍首相が日米同盟の強化を担保にして、TPP参加に動いているなら、彼は愚物中の愚物である。軍事的に頼りにする相手が日本の懐にある金を全部吸い取ろうとしている現実を見ていないからである。TPPはアメリカという用心棒が、用心棒代だけでは飽き足らなくなり、おまえの持っている財産を全部明け渡せと、海賊の本性を露わにして恫喝することと同じである。問題は国富の収奪のみではない。日本の自己同一性も崩壊することになる。田中角栄元首相のように肝の据わった指導者でないと、この罠に自ら嵌るという愚を犯すことになる。為政者がダメなら国民が反対する以外にない。とにかく参加したら日本は終わる。
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