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2013年04月21日 日本一新の会
前回、選挙を目前にした参議院議員の民主党離党問題に触発され「改革の政治」と題する文章を書きましたが、その続きです。
〈「反小沢」は、自民党への「入場券」?〉
「反小沢」を、自民党への「入場券」にしようとする・・・・新進党時代や自由党時代にも、よく目撃しました。理念・政策をねじ曲げての転進の言い訳として、「小沢一郎が悪い」、「小沢一郎にはついていけない」というのを理由にするのです。非自民連立が崩壊し、自社さ政権発足で自民党が政権に返り咲いた時も、「反小沢」がテコになったことを思い出します。
去年、民主党に残留した人たちの中には、民主党が与党でいられたらそれに越したことはないが、自民党に政権奪還されても、「反小沢」のスタンスでいれば自民党と渡りを付けられるのではないか、と計算した人たちがいたのではないでしょうか。野田総理が解散を決意した背景にも、「負けても三党合意を基礎にして与党に連なることができる」という読みがあったと推測されます。党全体として、自民党と連立を組む、あるいは与野党に分かれても政策協調していく。それができない場合には、バラバラと自民系無所属になったり、自民補完系の党に参加すればよい、という読みや計算です。民主党があまりにも大きく負けたので、それらは難しくなりましたが。
〈「反小沢」は、なれ合い政治の「会員証」?」〉
「反小沢」は自民党となれ合って居心地よく議員でいるための「会員証」・・・菅内閣が消費税増税とTPP参加と小沢バッシングの三点セットを主要政策として掲げたのも、自民党と渡りを付けて、適当にごまかしながら政権を維持しようしたからだと考えれば、大変分かりやすいと思います。野田内閣は基本的にそれを引き継ぎ、政権が維持できなくなっても自民党と渡りを付けてあればなんとかなると判断して、「一緒にやりましょうよ、衆議院は言うとおりに解散しますから」となったのでした。
こうした関連で思い出すのは、一九九八年の参院選で自民党が大敗し、ねじれ国会になったとき、自民党と民主党の若手議員が「政策新人類」として力を合わせたことです。政策通とみなされ、弁が立ち、よくテレビに出る若手議員たちが、与野党の別なく、日本政治を回していく図式。その中にいれば、与党であれ野党であれ、テレビ的な人気を力にして、選挙で当選を重ねることができる。野田総理や、民主党の主流的な人たちの理想は、その辺にあったのではないでしょうか。
〈「反小沢」は反改革〉
小沢一郎とその同志たちが自民党の中で改革ののろしを上げたのは、自民党が政権党としての居心地の良さを優先して、冷戦後の諸課題を解決できなくなっていたことと決別するためでありました。自民党内に「改革フォーラム21」を立ち上げ、やがて新生党を結成するのは、「議員として居心地良く生きていきたい」という路線からの決別であり、それが「改革の政治」の原点です。
結局、「反小沢」というのは、「大勢に順応し、居心地良く生きていきたい」という姿勢なのではないでしょうか。政治家も、マスコミも、司法も、官僚も。何事かを本気で成し遂げようとする者、日本を本気で良くしようとする者、そして日本を本気で変えようとする者の中に、「反小沢」を見ることは、まずありません。日本の体制側において「反小沢」が隆盛を極めるというのは、小沢一郎の危機なのではなく、改革の危機であり、日本の危機に他なりません。
〈「反小沢」は日本社会の権威主義、事大主義が引き起こす現象〉
なお、私は、小沢一郎を全面肯定しろと言いたいのではありません。
理念、政策、政治手法など、批判は自由にしてよいわけですし、そのような批判は小沢氏本人にとっても参考になるでしょう。
問題なのは、具体的な政策論でも運動論でもなく、抽象的な小沢一郎のイメージ、そして小沢一郎という人格を攻撃の対象とする「反小沢」です。「小沢」、「小沢一郎」という言葉そのものを悪口として使う「反小沢」です。
そもそも、誰に対してであれ、このような人格攻撃は人間として恥ずべき行為なのですが、こと小沢一郎氏に対しては、それが許されるかのような日本社会の現状です。「いじめ」がはびこる日本社会の闇と、政治に対する真剣さの欠如が、背景にあります。日本社会の権威主義的、事大主義的なところが、「反小沢」という現象を引き起こしています。
自分の発言に責任を持つ、自立した個人であれば、安易な人格攻撃で体制的な居心地のよさに安住しようとはしないでしょう。やはり求められるのは日本国民の意識改革です。(終)
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