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2013年4月20日 植草一秀の『知られざる真実』
すでに4月12日付ブログ記事
「TPP事前交渉「下駄の雪」日本が示す「属国の作法」」
4月12日付メルマガ記事
「米国自動車関税維持が象徴するTPP詐欺」
に概要を記述したが、安倍政権が進めているTPP交渉は、完全な売国交渉である。
この交渉が日本の主権者の利益を損ねて、米国の言いなりになるものであることは、事前協議の結果から明らかである。
この問題を国政上、最大の問題として取り上げて、安倍政権を糾弾する必要がある。
安倍政権発足とともに円安と株高が生じたことは事実だが、このような些末な事項に目を奪われている場合ではない。
為替レートの水準を冷静に見つめれば、現在の円ドルレートが、すでに適正水準よりも円安に振れていることは明かである。
円安の日本円をさらに円安に誘導するべき理由は見当たらない。
通貨の水準が低い国が自国通貨を意図的に引き下げて、輸出競争力を高めようとすることは、他国から雇用を奪うことであり、「近隣窮乏化政策」として非難を受けるべきものである。
米国は日本の売国政策を支援するために、安倍政権の円安誘導を容認しているが、円安なのにさらに円安が進めば、その後に大きな反動が生じるリスクが高まる。
行き過ぎた円安水準を是認するには、日本のインフレ率を大幅に上昇させる必要が生じる。日本がこの方向に政策を誘導するなら、この先、日本で深刻なインフレ問題が発生することになる。
どちらに転んでもその弊害は大きい。
目先の株高環境を得るためだけに、日本の利益を米国に売り渡すような政策が採られていることの方が、はるかに深刻な問題なのである。
TPP事前協議に関する「売国」の実態は、すでに多くの識者や一部のメディアが報じているところだが、極めて深刻な事態が生じている。
しかも、安倍政権は、こうした売国政策を推進しているにもかかわらず、その実態を国民の前に明らかにしていない。明らかにしていないと言うよりも、真相を隠蔽している。
マスメディアは勉強不足なのか節穴なのか、あるいは、知っていながら真実を読者に伝えていないのか。このいずれかの理由であると思われるが、TPP事前協議のポイントをまったく伝えない。
このことから、ほとんどの国民は、いかに卑劣な売国政策が推進されているのかに気付いていない。
「売国政権」であるのに、その「売国」の実態をメディアは覆い隠し、このままの状態で参院選になだれ込み、売国安倍自民党を勝利させようとしている。
国を挙げて「売国」の企みが進行しているのだ。
誰がこの大がかりな謀略を仕掛けているのかは明白だ。日本の売国で利益を得るのは国際金融資本である。
この強欲な資本が日本の売国政策を推進している。
日本国内でこの売国政策を推進している人々は、みなこの国際資本の手先なのである。
事前協議の結果について公表された公式文書は
「駐米日本大使と米通商代表代行の往復書簡」
と
「自動車貿易TOR(委任事項)」という添付文書
である。
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/130412_syokan.pdf
http://www.cas.go.jp/jp/tpp/pdf/2013/130412_tor.pdf
この文書が合意文書であり、公開もされている。
問題は、この事前協議の合意について、日米両政府が国内向けに示した発表文書に大きな相違が見られることだ。
日本政府が発表したものがこれ。
「日米協議の合意の概要」
米国政府が発表したのがこちら。
TOWARD THE TRANS-PACIFIC PARTNERSHIP
: U.S. CONSULTATIONS WITH JAPAN
米国政府発表文書を前衆議院議員の首藤信彦氏が仮翻訳したものを元農林水産大臣の山田正彦氏がブログに掲載している。
「TPPへ向けて:日本との協議事項報告<仮訳>」
これらを見ると、
1.TPP事前協議で日本政府が一方的に譲歩していること
2.しかし、日本政府はその事実を完全に隠蔽していること
が明らかになる。
とりわけ重要な三つの具体的事項を示しておく。
1.日本政府はアメリカとの協議において、日本車の輸入関税はTPP交渉の他のいかなる製品に猶予された最長期間よりもさらに遅い時期において段階的に廃止されることに合意した。
2.日本政府は、簡易許可手続き(PHP)すなわち日本に輸出される米国車に対してより簡単で時間のかからない認証方法での輸入台数を二倍以上にすることを一方的に決定して通告した。
3.日本政府は、日本郵政の保険に関して、民間の保険会社に日本郵政と平等な競争条件が確保され、また日本郵政の保険が適切なビジネス経営(非公営)の下で運営されていると日本政府が決定するまでは、いかなる新規のあるいは修正されたがん保険及び単独の医療保険を許可しない、ということを一方的に通告した。
この三点が米国発表の国内向け文書に明記された。しかし、これらの三つの重要事項のうち、2と3については、日本政府の国内向け発表文書には記載されなかった。
他方、日本政府の国内向け発表文書にある、
「日本には一定の農産品,米国には一定の工業製品といった二国間貿易上のセンシティビティが両国にあることを認識」
の表現は、米国政府の国内向け発表文書には記載されなかった。
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