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早くも失敗 安倍と黒田・岩田 日銀のインチキ経済政策
http://gendai.net/articles/view/syakai/141983
2013年4月17日 日刊ゲンダイ
国債も株式も連日乱高下している
<デフレ脱却、景気回復どころか国民生活が破滅しそう>
16日の朝日の世論調査には驚いた。安倍首相の経済政策で日本経済が成長することを「期待できる」と答えた人は55%。4カ月間の仕事ぶりについて「評価する」は77%に上った。読売の調査も似たようなもので、安倍の経済政策を評価する人は67%、日銀の金融緩和策には54%が「評価する」だった。
安倍はさぞニンマリだろうが、つくづく庶民は本当のことを分かっていない。原因はハッキリしている。大マスコミが「景況感、全地域で上向き」(朝日)、「日銀短観、製造業が3期ぶりの改善」(NHK)などと、政府・日銀の発表をタレ流しているからだ。
しかし、ここにきて、アベノミクスは完全に陰りが見えてきた。限界、失敗、見込み違いが次々と露呈し始めている。大マスコミがそれをきっちり伝えていれば、こんな世論調査の数字が出るはずはないのである。
とくに、経済の専門家が「不気味」と口をそろえるのが、長期国債利回りの乱高下だ。10年物国債利回りは日銀の黒田総裁が金融緩和を発表した翌5日午前、史上最低の0.315%まで急落した。かと思えば15日には一時0.65%まで上昇。4日以降、0.335%の幅で揺れ動いた。これは昨年1年間の変動幅0.375%に迫る数値だ。
金融ジャーナリストの小林佳樹氏が言う。
「国債市場は4日以降、5回も売買停止の『サーキットブレーカー』を発動する異常事態です。日銀は毎月7.5兆円の国債を買い入れる予定ですが、あまりに常軌を逸した計画に、市場が国債相場を読み切れず、売買に二の足を踏んでいるのです。金利は上がり始めると早い。今は日銀が人為的に長期金利を抑え込んでいるが、何かのきっかけで金利が急騰、つまり国債価格が暴落すれば、一気に日本沈没という最悪のシナリオもあり得ます。いくら国債を増発しても日銀が受け皿になるから、国債を乱発してカネをかき集めた戦時中と同じ道をたどるのでは、という指摘もある。多くの関係者が国債の動きを危惧し始めています」
長期金利が急騰し、国債が暴落すれば金融機関も企業もバタバタ倒産する。庶民は住宅ローンを返せなくなる。一歩間違えれば、日本経済は大惨事になる。
<物価高どころか、ワンコインTシャツも>
アベノミクスの“限界”はまだまだある。安倍や黒田は物価目標2%をブチ上げているが、現実は、物価高どころか、熾烈な値下げ競争が加速中。企業は悲鳴を上げている。
「牛丼チェーンで最後まで値下げを踏みとどまっていた吉野家も、18日から並盛りを280円に100円値下げします。13年2月期の連結決算が3期ぶりに赤字転落し、追い込まれた格好です。スーパーの西友は、先週からTシャツやポロシャツなど1132品を490円からのワンコイン価格で発売。株高で多少の小遣い銭が入っても、庶民の財布のひもは固い。一点豪華主義で高額商品の消費は多少増えたものの、生活必需品は相変わらず伸び悩んでいます。値下げしないと売れないのです」(流通業界関係者)
実際、消費者物価指数は変動の激しい食料とエネルギーを除くと、今年2月も0.9%下がっている。この国は、いまだデフレ不況の真っただ中なのだ。それなのに、大メディアの手にかかると、「景気は良くなるゾ」となる。一体、どこの世界の話をしているのか。ヘソが茶を沸かすのだ。
<アベノミクス春闘、平均賃上げ67円のア然>
安倍の異例の賃上げ要請で注目された今年の春闘も、フタを開けたら、ズッコケそうな内容だ。連合が16日公表した春闘の回答結果(第4回集計)にはア然で、傘下2139組合の平均賃金の上げ幅は、前年比で月額わずか67円! これじゃあ、缶コーヒーも買えやしない。労働総研研究員の木地孝之氏が言う。
「ボーナスが上がった企業もありますが、賃金は今年もほとんど上がっていません。大企業はこの10年間で計260兆円もの内部留保をため込んでいる。給料を2万〜3万円くらい上げてもどうってことないが、内需への不安が払拭できないから、設備投資にも賃上げにも踏み切れない。だから、ますます需要が冷え込むという悪循環です。要するに、アベノミクスは企業経営者からも信用されていないのです。来年、消費増税が強行されれば、ますます内需は冷え込みます。そんなところに、安倍政権は正社員のクビ切り法案なんて検討している。労働組合も情けないから、来年以降も賃上げは期待できません」
サラリーマンの給料は上がらないのに、円安による輸入インフレは確実に押し寄せている。
燃料価格の高騰で5月から関電が電気料金を平均9.75%、九電が平均6.23%アップするほか、東京ガス、大阪ガス、東邦ガス、西部ガスが使用料金を98〜140円値上げする。ツナ缶は最大6.1%の値上げ。オレンジなどの輸入果実の卸価格も昨秋と比べ、最大6割ほど上昇している。日本製紙や王子製紙は、ティッシュやトイレットペーパーの値上げに向け、スーパーと価格交渉を進めている。円安の負の側面ばかりじゃないか。
<安倍晋三はハーメルンの笛吹き男>
頼みの株価の行方も不透明だ。16日の東京市場は、NYダウの大幅続落を受けて、3日連続で下落した。平均株価は11日に1万3500円台を突破して以降、利益確定売りが相次ぎ、ジリジリと下がり続けている。
加えて、安倍政権の円安政策に海外から厳しい目が向けられ始めている。株価が下落に転じたのも、米財務省が12日に公表した為替報告書が「日本の円安政策を牽制した」と受け止められ、円高に振れたのが一因だ。
ほころびが新たなほころびを生み、アベノミクスの欠陥はどんどん広がっている。もう、書き出したらキリがないくらいだ。筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)がこう言った。
「そもそもアベノミクスによる株価や不動産価格のつり上げ、円安誘導、日銀によるリスク資産買い取りなどは、すべてが“禁じ手”です。とにかく見せかけの景気回復を演出し、参院選や消費増税のためなら何でもありで、国民を惑わせている。大マスコミもそれをはやし立て、国民に共同幻想を抱かせているが、その先に何が待っているのか。私は今の状況を見ていると、『ハーメルンの笛吹き男』という童話を思い出します。ネズミ退治を買って出た男が笛を吹いて歩くと、街中のネズミがついてきて、みんな川に落ちて溺死する話です。男は最後は子供たちまで連れ去ってしまいますが、安倍政権もこの国と国民を破滅に追いやろうとしているとしか思えません」
何度でも言うが、安倍のリフレ政策は危険なバクチだ。国民生活を実験場にする試みである。その証拠に、安倍ブレーンでリフレ派の代表格、浜田宏一・エール大名誉教授は、黒田日銀の金融緩和を評価し、「こんなに大規模な“実験”は世界でもそれほど行われてない」と高揚していた。
国民は、こんな連中をノーテンキに支持していていいのか。大メディアの書くことをうのみにしてはいけない。
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