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サラリーマンは全員アルバイトになる 首切り法案 戦慄の中身と進行状況
http://gendai.net/articles/view/syakai/141966
2013年4月16日 日刊ゲンダイ
閣僚答弁を信じちゃいけない
高支持率に浮かれている安倍内閣がとうとう、悪魔のような正体をあらわにしてきた。サラリーマンいじめの首切り法案が着々、進行中なのである。カネで首を切る「金銭的解決」だけでなく、いわゆる解雇の4要件、(1)経営上の必要性(2)解雇回避に向けた努力(3)合理的選定基準(4)労使協議の必要性――もなし崩しにしようという動きが急ピッチで進んでいる。こんなものを見逃していたら、サラリーマンは全員、アルバイトにされて、経営者の下僕にされてしまう。
15日の衆院予算委員会の分科会。首切り法案を徹底追及する山井和則衆院議員(民主党)が30分間にわたって甘利経済再生相を攻め立てた。
この間、山井がしつこく聞いたのは「安倍内閣は解雇4要件の見直しを成長戦略の中に入れる可能性があるのではないか」ということだ。産業競争力会議や規制改革会議で、こうした解雇ルールの見直しが公然と議論されているからである。
甘利は国会答弁で「使用者側の勝手な都合で金銭の支払いによって解雇することは検討しない」と言っているが、いつもこうやって、「使用者側の勝手な都合で……」みたいな“条件”付きで答える。果たして、15日も明確な否定答弁はなかったのだが、その裏では、えらいスピードで首切り法案の議論が進んでいる。
それが資料で裏付けられている。例えば、第4回、産業競争力会議で配られたペーパーにはこうある。
〈現状では大企業が人材を抱え込み、「人材の過剰在庫」が顕在化している。大企業で活躍の機会を得られなくても、他の会社に移動すれば活躍できるという人材も少なからずいるはずであり、「牛後となるより鶏口となれ」という意識改革の下、人材の流動化が不可欠である〉〈雇用維持型の解雇ルールを世界標準の労働移動型ルールに転換するため、再就職支援金、最終的な金銭解決を含め、解雇の手続きを労働契約法で明確に規定する〉
労働者を「過剰在庫」呼ばわりだから、ヒドイ話だが、規制改革会議のペーパーも露骨だ。
〈勤務地や職種が限定されている労働者についての雇用ルールの整備〉が「優先的検討事項」として書かれているのだ。
正社員ではなく、限定社員という新概念を導入しようというものなのだが、「雇用ルールの整備」と言いながら、この文章のタイトルはズバリ、「解雇ルールのあり方」とある。つまり、正社員を限定社員にして、首切りをしやすくしようというたくらみなのだ。
15日明らかになった規制改革会議の雇用ワーキンググループの第1回会合の議事録にもあきれ返った。
3月28日の会議の議事録が今頃出てくること自体がフザケているのだが、中身を見たら民間の委員が「解雇規制のあり方とか、こういう表現でいいのか。労働契約のあり方とか働き方のあり方とかと変えて出した方がいい」なんて言っていて、要するに最初から「首切り法案をいかに、ごまかすか」に腐心していたのである。
「結局、この内閣は大企業のための内閣なのですよ。産業競争力会議に入っているのは経営者だけですからね。甘利大臣は労働問題を話し合うときは労働者の代表を入れるべきだ、と言っていましたが、だったら、すぐにやって欲しい。それをやらずに解雇のルールづくりを話し合っている。いまは慎重答弁ですが、参院選が終わったら、首切り自由な国になってしまう可能性があります」(山井和則衆院議員)
庶民も株高に浮かれ、安穏としていると、とんでもないことになる。
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