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陽光堂主人の読書日記
アベクロミクスの目的は幾つかあるのですが、その主なものは次の通りです。
@ 意図的にインフレを引き起こして来年4月からの消費増税を正当化する
A インフレ傾向を加速させて実質増税とし、政府の債務を目減りさせる
B 低金利を加速させ、機関投資家に米国債を買わせることで米国の赤字を補填する
C 円安株高を演出して、大企業・富裕層に便宜を図る
D 大規模な公共事業を復活させ、かつての利益誘導・利権配分型の自民党政治を取り戻す
いずれも既得権益層を益するもので、一般国民には無関係です。インフレになると預貯金が目減りしますから、明らかに庶民イジメです。
そうした批判が起きることを政府は承知していて、今年度の税制改正として、500万円を非課税とする日本版ISA(非課税口座内の少額上場株式等に係る配当所得及び譲渡所得等の非課税措置)を創設するそうです。
インフレになっても、株式などに投資していればその影響を受けにくいのですが、もちろん損失を被ることもあります。余裕のある人しか手を出せないでしょう。政府は、税制面からも株高を演出しようとしているのです。
上記のアベクロミクスの目的の内、看過できないのがBの米国債の購入で、残念なことに既にそうした動きが生じています。昨日付の「日刊ゲンダイ」には、これに関する記事が掲載されています。やや長くなりますが、よい記事なので全文を引用します。
(関係箇所に下線を付しました。http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8530.html)
国債乱高下が始まっている 最悪の結末が予想される事態
さすがに、日銀の黒田東彦総裁(68)も慌てているらしい。日銀が「次元の違う」金融緩和を決定した途端、「国債」の価格が乱高下し始めているからだ。
日銀が「市場に流すカネの量を2年間で2倍にする」と次元の違う金融緩和を決定したのは、4月4日のこと。民間銀行が保有する国債を毎月7兆円分、バンバン買い上げることで市場にカネを流すと発表した。7兆円は、国が発行する国債の7割に相当する。
すると、前日まで0・550%だった国債の金利は、翌5日の午前中いきなり史上最低の0・315%まで急落。ところが、午後になると一転「売り」が殺到して金利は2倍の0・620%まで急上昇してしまった。
その後も、相場は「売り」と「買い」が激しく交錯。国債の先物市場では、値幅制限を超えて価格が乱高下したため、1週間で5回も売買停止の「サーキットブレーカー」が発動される異常事態になっている。
「相場が動揺するのは、当たり前です。日銀の大量買いが市場を壊してしまった。日銀が7割も買い占めたら、市場のメカニズムは働かない。日銀は“池の中のクジラ”のようになっている。これでは適正価格は見つけられませんよ。市場では『こんなに価格変動が大きくては、国債を持っていられない』という声も飛んでいます。黒田総裁は人為的に市場を操作しようとしているのでしょうが、この乱高下は市場の警告だとみるべきです」(債券ディーラー)
日銀は、国債を買い占めることで人為的に「金利」を下げ、企業が借りやすいようにするつもりだった。ところが、相場が混乱した結果、貸出金利は、これまでより0・05%高い1・20%へと1年7カ月ぶりに上昇に転じるというアベコベの事態になっている。
◆外国ファンドが「国債暴落」を仕掛けてくる
まさかの事態に真っ青になった黒田総裁は、力ずくで市場の動揺を押さえ込むつもりだ。
週明けのきょう(15日)、4兆3000億円もの資金を市場に供給すると先週、宣言している。1日の供給規模としては、3・11直後以来の規模である。国債相場の乱調に黒田総裁は手を焼いている。
それにしても、国債価格の乱高下ぶりは異常だ。これは国債が“暴落”する前兆なのではないか。
それでなくても日本は、GDPの2倍を超す財政赤字を抱え、毎年、予算の半分を国債で賄っている状態だ。いつ国債が暴落してもおかしくない、と以前から指摘されてきた。
ヤバイのは、日銀が「国債暴落」に火をつけかねないことだ。日銀は、国債の7割を引き受けると宣言している。もし、市場に「日銀は札を刷りまくって財政赤字の穴埋めをしている」「日本は財政規律を守る気がない」と判断されたら、日本の国債は信用を失い、一斉に売られ、暴落するのは間違いない。
どの国も「財政規律」を守るために、中央銀行の「国債」引き受けにはタガをはめている。
「日本は国債の90%を国内で消化しているので暴落しないという見方があります。しかし、ここ数日の乱高下をみれば分かるように楽観しすぎです。これまでも日本は、何度となく外資系ファンドに“日本国債売り”を仕掛けられてきた。絶妙のタイミングで仕掛けられたら、どうなるか分かりませんよ」(東海東京証券チーフエコノミスト・斎藤満氏)
黒田総裁は「財政赤字の穴埋めをする気はない」「財政規律は守る」と釈明しているが、このままでは、ほぼ全額、国債を引き受けることになりかねない。
「これまで国債が暴落しなかったのは、運用先のない金融機関が、せっせと買っていたからです。しかし、金利が0・3%まで下落すると逆ザヤになるので買わなくなるでしょう。すでに生保などは日本国債ではなく、米国債を買い始めている。となると日銀は、その穴埋め分も買わなければならなくなります。日銀の国債引き受けは、発行額の8割、9割と際限なくなっていく可能性があります」(斎藤満氏=前出)
黒田総裁は「次元の違う金融緩和だ」と胸を張っているが、日本は非常識な政策によって「国債暴落」という最悪の危機に直面している。
◆ハイパーインフレで庶民の預貯金もパー
もし、国債が暴落したらどうなるのか。
金利はハネ上がり、円は暴落し、ハイパーインフレが起こる。国の借金はハイパーインフレによって実質的に帳消しになるが、庶民が貯めた預貯金もパーだ。キプロスのように「預金封鎖」も行われるだろう。財政が破綻するから社会福祉も大幅にカットされる。
大手メディアは「アベノミクス」を絶賛しているが、こんな危険でバカな政策は、いますぐやめさせないとダメだ。
そもそも、民間銀行が保有する「国債」を日銀が買い上げ、カネをジャブジャブにすれば景気がよくなるという発想が間違っている。黒田総裁は、「円安」と「株高」にすれば、デフレ不況から脱出できると信じているようだが、勘違いもいいところだ。
2006年後半〜2007年前半の安倍内閣の頃、日経平均は1万7000円、為替は1ドル=120円だった。だが、小売販売額は年間135兆円と、昨年の138兆円よりも低かった。「円安」「株高」でもデフレ不況からは脱出できなかったのだ。経済評論家の広瀬嘉夫氏が言う。
「日銀は国債の購入によって、資金供給量を2倍に増やすと言っていますが、大事なことは、どこに資金需要があるのかということです。すでに民間企業は270兆円もの内部留保をため込んでいる。カネはあるのです。問題は、設備投資するマインドがないことです。日銀がカネをバラまいても、企業に資金需要がなければ、実体経済には回らず、株だ、不動産だ、とマネーゲームに使われるだけです。いま政府がやるべきは、成長戦略を掲げることです。なのに、いっこうに提示しようとしない。これでは、実体経済はよくならず、資産バブルを引き起こすだけです」
時事通信の調査によると、景気回復を「実感する」はわずか23%、「実感しない」は68%だった。アベノミクスを進めても、庶民の生活は絶対によくならない。いったい黒田総裁は、誰のために「異次元」の金融緩和をしているのか。
黒田日銀が異次元緩和したので、逆ザヤが発生しているのです。銀行は、預金者に支払う金利より国債の金利の方が高かったのでこれまでせっせと国債を買っていたのですが、これが逆転すると買う意味がありません。
この点は生保も同じで、顧客から集めた掛け金を運用するにの国債では利益が上がらず、相対的に金利の高い米国債へ資金が流れているのです。しかし米国は実質破産していますし、円高に転じたら莫大な損失を被ることになります。(現に円高が進んでいます)
記事では、たまたま米国債購入の動きが出て来ているという感じで書かれていますが、実際には政府・日銀はそれを見越して金融緩和しているんじゃないかと思います。そういう裏取引がなければ、日本の円安誘導に対して米国は直ぐ様噛み付いたことでしょう。
円安株高傾向は一直線には進まず、一進一退を繰り返しながら、夏の参院選までは続くと見られています。それまでは政府はあらゆる手を使って好景気を演出するでしょうが、金の価格も暴落しており、先行きは楽観できません。
グローバル化により、世界の片隅で起こったことが大きな影響を与えることがあります。周到に計画したつもりでも、思わぬ展開になる可能性が大です。
誰も先のことを見通せない厄介な時代ですが、逆に救いでもあります。大自然の摂理に反した企みは貫徹できず、最後には頓挫すると思われますが、無辜の人たちが犠牲にならないよう願いたいものです。
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