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週刊ポスト2013/04/26号 P123 ニュースのことばは嘘をつく :大友涼介です。
朝鮮半島情勢が緊迫している。
北朝鮮が弾道ミサイル発射の可能性を含めて威嚇発言を続ける中、日本と米国、韓国はそれぞれイージス艦を日本海と太平洋に展開した。加えて小野寺五典防衛相は4月7日、北のミサイル発射に備えて、迎撃するための破壊措置命令を出した。ただし具体的中身は公表していない。
こういう状況に直面して、すぐ思いつくのは、もし北が実際に米国を標的にしたミサイルを発射して、日本がそれを撃ち落そうとすれば、集団的自衛権の行使に当たるのではないか、という問題である。
今の事態は、まさしく「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇、柳井俊二座長)が2008年6月に出した報告書で想定した「集団的自衛権関連の4類型」のうち、2番目の「米国に向かうかもしれない弾道ミサイルの迎撃」というケースに相当するようにみえる。
報告書の論理は単純明快だ。
つまり「我が国に向かうミサイルは個別的自衛権の発動で撃ち落せるが、米国に向かうのは集団的自衛権の行使に当たるから撃ち落せない。そうだとすれば、寸秒を争う対応は難しくなる。もしも米国に被害が出れば、日米同盟は根幹から揺らぐ。だから、集団的自衛権を見直すべきだ」。
この懇談会は第一次安倍政権で発足したが、政権が倒れてしまったために報告書は棚上げされ、今年2月にあらためて安倍晋三首相に提出された。再開した懇談会は4類型以外にも集団的自衛権の見直しを進め、この夏前にも報告書を出し直す構えだ。
政権が見直し議論を始めた矢先に、現実の脅威が想定を追い越してしまった。日本が政府の選択肢を広げる法的基盤を整える前に、本当に危機が起きてしまったのである。
法的基盤が整っていないからといって、危機を無視するわけにはいかない。だからイージス艦を派遣したり破壊措置命令を出したものの、配備先などについては非公表としたのではないか。「軍事的理由で公開できない」という説明も理解できるが、私にはもっとナーバスな政治的理由にも配慮したように思える。
そういう視点でみると、破壊措置命令について各メディアの第一報は物足りなかった。日本の集団的自衛権行使との関係について、ほとんど触れていなかったからだ。
今回はこれまでの「人工衛星打ち上げ」と違って、北朝鮮は米国と日本、韓国が標的とはっきり宣言している。本当かどうかはさておき、相手は「武力行使」と言っているのだ。そうだとすれば、日米の対応も根本的には自衛権に基づいた行動になる。
それにもかかわらず、新聞がミサイル迎撃に関して「集団的自衛権との関係はどうなるのか」を追及しないのは、どうしたわけか(11日現在)。まさか「政府が説明しないから」という話ではあるまい。
ちなみに、防衛相も経験した防衛問題の専門家に聞いてみると、彼は「ミサイルが公海上にポトンと落ちたくらいで、米国への武力攻撃とみて日本の集団的自衛権の話になるとはいえない」という見解だった。
本当にそうだろうか。そんなことを言ったら、現状でミサイルを撃ち落したって集団的自衛権の行使にならないのだから、見直し議論そのものが無意味になってしまいかねない。北が日米両国に対して明白な攻撃の意図をもってミサイルを発射したとき、日本はどう対応するのか。新聞の立ち位置が問われる。
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