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http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/04/post-e20a.html
2013年4月13日 神州の泉
本ブログ4月5日に『TPPは日本の“完全エンクロージャー(囲い込み)”を狙っている!!』を書いた。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/04/post-07cc.html
ここでは諸説ある資本主義発生史の中で、18世紀から19世紀にかけて起きたイギリス産業革命前夜に近代資本主義の淵源、つまり祖形ができあがったという解釈に立った。もう少し詳しく書いてみる。
重要なことは清教徒革命からビクトリア朝初期まで、数次にわたり「囲い込み(enclosure)運動」というものが生まれ、これが現代資本主義の形成に強い影響を与えていることだ。囲い込みとは、大土地所有者である領主・大地主による国土の私有化であるが、開放耕地や共同放牧場などを文字どおり囲い込み、そこで働いていた農民を追い出し、農地を排他的・集約的に使用したことを言う。
その際、追い出された農民は土地を持たない農業労働者となった。この時、農業形態は大地主、借地農、借地農に使われる農業労働者の三分制となった。資本主義的農業経営の始まりである。集約農業や生産効率の飛躍的発達で農民に剰余層が生じ、彼らが都会に出て工業労働者になったという説があるが、工業労働者人口はイギリス全体の人口増加によるという考え方もあるようだ。
この時の農業形態の三分制は農業革命と言われるが、本来の農業革命はアルビン・トフラーが『第三の波』で定義したように、15000年前に人類が狩猟採集生活から農耕生活に移行した時期を言う。しかし、資本主義の発生史では開放農地の囲い込みが起きた辺りを農業革命というようだ。
イギリスでは綿織物の需要が増大し、機織り機の発明を契機にして紡績産業の飛躍的な増産が起きた。これが刺激となって、様々な機械が考案され、ついには蒸気機関が発明されることによって、工場の動力は水力から立地場所を限定しない石炭火力に移行した。木綿工業のイノベーションは種々の新産業機械を誘発し、瞬く間にイギリス全土が、マニュファクチュアリング(家内制手工業)から近代型生産工場に変わっていった。この一連の激動を産業革命と呼ぶ。
この時期に、低賃金や長時間労働を強いられる労働者階級が生まれ、彼らの生活は酸鼻を極めるものだったという。昔、ある作家さんに聞いたことがあるが、この頃の労働者階級は衣食住ともに、家畜並みの生活を強いられていたらしい。仕事は安全や健康を無視した強制労働であり、人間としての自由は全くなく、狭くて不衛生なタコ部屋のような住居に家族ごと押し込められ、寝返りも打てないような状況があったらしい。狭い部屋に男女が密着して寝ていたから、近親相姦も頻繁に起きていたという。この頃の経営者は労働者を人間と見なしていなかったようである。
この悲惨な状況に不満が噴出し、結果的に政府は資本の暴力が横行する国家の在り方を替えざる得なくなってきた。それがセーフティネットを設けた修正資本主義国家に繋がったのである。原理的(塑像的)な資本主義というのは飢えた猛獣に等しい。それはあらゆるものを食らいつくす。だから、国家は社会福祉というケインズ的な機能を持たせて安全装置を設けるのである。これは原子炉の核反応を中性子を吸収する制御棒でコントロールすることと似ている。制御棒を外したら原子炉は暴走する。だから、資本主義に社会主義的な機能を取り入れたものを修正資本主義と言う。
グローバリズムはこの修正機能を取っ払ってしまう内在論理を持つ。派遣切りはその一つの表れである。修正資本主義、あるいは混合資本主義という概念は重要である。フリードマンの言うように、政府の機能を極小化して市場をレッセフェールに任せた場合、見え ざる神の手が市場をバランスよく理想的に運営するというのはおとぎ話であって、市場原理至上主義は資本強者が独り勝ちをするだけではなく、社会の公共空間を破壊し人間性を荒んだものにする。
日本では小泉政権がこの考えを取り入れて構造改革をやったが、当時の閣僚は誰一人として、小泉・竹中構造改革路線が新自由主義であるとは言わなかった。というよりも、彼らは理解していなかったようである。唯一、当時の中川秀直幹事長が、大企業を強くすればその余力は様々なところへ波及し、全体として経済のボトムアップに繋がるという意味のことをテレビ会見で言っていたが、これはトリクルダウン理論である。
シカゴ経済学派(シカゴ・ボーイズ)が創ったグローバリズムは南米チリを皮切りに多くの国に甚大な荒廃をもたらしてきたが、いまそれはTPPという津波と なって日本に迫ってきた。前にも書いたが、TPPとはグローバル資本による、国家丸ごとの囲い込み(エンクロージャー)なのである。これがどれほど恐ろしい事態であるか、お分かりだろうか。
安倍晋三氏は日本開闢(かいびゃく)以来、最悪の宰相である。彼は『TPP参加』、『原発再稼働』、『消費税増税の実施』をCSISと密約して首相になったと思われる。TPP参加は経済合意ではない。これは米国に籍を置くグローバル資本に日本を丸投げする国家転覆行為である。TPPに参加すると、日本国民はイギリス産業革命直後の労働者たちと同じ境遇に陥ることになる。TPPは絶対に参加してはならない。
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