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2013/4/12 晴耕雨読
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以下、連投。 2013年4月11日(木)16時頃〜、岩月浩二弁護士インタビューの模様を実況ツイートします。
岩上「岩月先生がTPP、またISD条項の危険性に気づかれたきっかけは何でしょうか?」
岩月氏「弁護士制度が危ういのではないかと最初感じました。実際、日弁連とも話をしましたが、なしのつぶてでした」
岩月氏「ISD条項がTPPの要になっている。たかだか4カ月くらいしか勉強していないが、多くの問題があった。大変恐縮なのですが、本来は憲法学者や日弁連のしかるべき立場の人が言うべきことです」
岩上「ISD条項の本来の目的は、途上国の司法制度の不備を理由として、途上国の司法を排除することを目的とする制度だと。このISD条項を認めるのであれば、憲法76条や41条、99条など多くの条文に違反することになる」
岩上「岩月先生がおっしゃるには、憲法21条や25条、27条には、『但し、外国投資家の利益を害する場合はこの限りではない』という但し書きが必要になると」
岩月氏「外国投資家ができるだけ儲かる仕組みにしていく。そのためには、外国のルールを訴えることが手っ取り早いが、これは、戦後の国際秩序と完全に矛盾します。投資家に内政干渉を強制させる制度」
岩月氏「国連憲章では、内政干渉が認められていません」
岩上「資本が徹底的に有利になり、国家が空洞化していくような……」
岩月氏「クーデターに近いですね」
岩月氏「ものすごい速さで、投資家に有利な制度が進行している。最近では、投資をする前から、外国人投資家に対して、公平で公正な待遇をしなければならない。その中身も、投資家にいいように進化している」
岩月氏「1995年頃までは、(ISD条項を使った事例は)年間にあって1件か2件でした。NAFTAで初めて、先進国同士がISDを結び、訴訟が活発になってきた」
岩月氏「1番最初の事件は、カナダ政府がアメリカ企業に訴えられた『Ethyl事件』です」
岩上「ここで使われた論理が『間接収容』というもの」
岩月氏「例えば、町並みを少し整えるために、都市計画の規制を強化するとき。当然所有権の行使が阻害されるが、憲法21条『公共の福祉に反しない限り』という文言によって訴訟を起こされることは通常考えられない」
岩月氏「しかし、間接収容という考え方では、個々の所有権が損害を受けたといって、自治体を訴えることができる」
岩月氏「鳩山政権の施政方針演説には色々な批判もあったが、私は単純に感銘を受けた。それは、『経済のための人から、人のための経済へ』という言葉があったからです」
岩月氏「私は31年弁護士をやっているが、誰の相談にも応じるという姿勢でやってきました。最近の裁判事例で、お金を払えないケースが増えている。また、労働時間が過密で、打ち合わせの時間が取れない」
岩上「ISDというのは市場奴隷制だと言われていますよね?」
岩月氏「投資家にとって都合の悪いものをできるだけ排除するものですから、リアルな世界に住んでいる人の収入は減り、労働条件は悪くなるでしょう」
岩上「力ずくの奴隷ではなく、気づけば国家によって保護されることのない奴隷のような存在になるということですね。非常に恐ろしい」
岩月氏「法的な措置ですから、後戻りできない」
岩月氏「3人の仲裁人は、国民に対して何の責任もない。国民主権ではなく、投資家主権。これはクーデターだと思いますが、それに対しては何も言われない」
岩月氏「まず憲法学者が言って当然でしょう。国際法の学者も言って然るべき。国際法が、国連憲章から世界銀行を中心に見る視点へと変わりつつある。今後そう形成されようとしている」
岩上「憲法を論じるとき、基本的人権を侵されるとなると、理解しやすいからそこには反応する。9条の議論もそうです。ところが、新たに突きつけられたものに対しては、不勉強で不意打ちなため、怖じけることがある」
岩月氏「それはあると思います。教科書に載っていない、蓄積がないところで問題を論じるのは、学者としては怖いと思います」
岩上「日弁連の中にも国際委員会というものがありますが、そういう方たちはアメリカ寄りだと聞いたことがあります。日本国内の利益を守る人たちが少なくなっているのか、あるいは頼りなくなっている」
岩月氏「今は弁護士自体の所得が下がっています。どちらかというと(人権系の弁護士よりも)ビジネス系の弁護士の発言権が強くなっている」
岩上「民法が変えられようとしているという話があります。これはどういうことなのでしょう?」
岩月氏「中核は、外国人に分かりやすいかどうか。また、契約法をアメリカ法の発想に変えるということ」
岩月氏「契約の概念を非常にアメリカナイズされた内容に変えようという提案」
岩上「明治以来、西洋文明を色々租借して国の形を作ってきた。しかし、民法は継続性があり、膨大な積み上げがある」
岩上「これをガラッと変えるという話になれば、交通ルールが急に変わるような話で、あらゆるところで衝突が起こる。悪いことをした認識がなくても違法だといわれかねない。かなり唐突です」
岩月氏「民法改正については、東大の内田先生が中心になり、法務省も後押しをしている」
岩月氏「貿易について、アメリカでは大統領に交渉権がありません。今までは『大統領貿易促進権限(TPA)』というもので権限が与えられてきたが、2007年に失効している」
岩月氏「恐ろしいことに、2002年の『貿易促進権限法』は、『国際貿易の拡大は、米国の国家安全保障にとって必須のものである』という文言から始まっている」
岩上「さかのぼって日米安保から碇が下ろされていたと」
岩月氏「日本は国家賠償は、アメリカが物品と役務で賠償すればいいといったので、実質的には公共事業として痛まずに行ってきた」
岩月氏「それが今になって、アメリカに『借りを返せよ』と言われている。それがTPPですし、日米安保です」
岩上「日米安保とTPPがセットであると。一緒にして考えないと意味がない」
岩上「昨日、柳澤協二氏へインタビューに行いました。イラク戦争を反省され、アメリカに追随していくことが果たしていいのかと疑問をもたれている。冷戦の間は優しくしてくれたおじさん(米国)が、今収奪しようとしていると」
岩上「さらに、日本を盾にした軍事戦略を計画している」
岩月氏「軍事と経済が一体なんです。アメリカはこれらを一体にして突きつけてきている」
岩月氏「おそらく、アメリカの最盛期は90年頃。今は財政破綻している」
岩上「90年以降、アメリカは必要のない戦争をし、巨大な軍事国家となった。それは(当然)崩壊する」
岩上「TPPを日米安保と一体で考えるとなると、アメリカは冷戦まで太らせてきた日本と抱きつき心中しようとしているようなもんですよね?」
岩月氏「その通りです。自分が潰れる前に日本を潰そうとしている」
岩月氏「一番強調しておきたいのは、韓国の法務省などが、米韓FTA締結前にISD条項を認めるとどうなるか真剣に検討した資料があります。その中で法務省が、ISD条項を非常に真剣に憂えている」
岩月氏「そして、この条項を使われる限りは、あらゆる政府・地方政府の不作為が提訴の対象となると考えなければならない、という結論を出している。だから、なんとかISDを入れない協定を結ぼうとした」
岩上「つまり、ISDで実際に訴えられて敗訴する場合もあるというだけではなく、投資家の利益を第一に考えるという状況が日常化すると怖れているわけですね」
岩上「韓国政府がエコカー減税をやろうとしたが、米国企業に訴えられるのではないかと考え、先延ばしにしていた。しかし国民には違う理由を言っていた」
岩月氏「韓国法務省は『萎縮効果』といっていますね」
岩上「韓国はなぜ跳ね除けられなかったのでしょうか?」
岩月氏「……それは難しい。私には分かりません」
岩上「オバマが直接圧力をかけたり、交渉官が安全保障を盾に脅したりしたという報道があります」
岩上「憲法99条『公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負う』。これに、外資の利益を最優先にするという但し書きが入ることになる。まさに属国ではないですか」
岩月氏「法的な枠組みで絞り上げようとしている。本来は認めないという態度を貫くべき」
岩上「国益が損なわれるだけではなく、国民主権、民主主義が奪われる」
岩月氏「奪われます」
岩上「Metalclad社のケースをお話いただけますか?」
岩月氏「有害廃棄物処理場をめぐって争われたケースです。もともとは、メキシコ政府が、国内企業に処理場の建設許可を出していた。
Metalclad社は、そのメキシコ企業に出資し、廃棄物処理事業を請け負った。しかし、水質汚濁の懸念から、処理場建設反対運動が起こった。
市当局は、市からの許可を得ていないとして建設中止を求めたが、Metalclad社は、連邦政府からの許可があるとして、処理場を完成させた。
しかし、住民の妨害行為によって操業ができず、Metalclad社は2000万ドルの賠償を求めて提訴し、1700万ドルの賠償を得た。国と地方自治体の判断が違うというのが、このケースのポイントです」
岩月氏「日本人投資家と外国投資家が同じ商売をしているとき、外国投資家の財産に関しては、国際投資仲裁に訴えを起こすことができるが、日本人はできない」
岩月氏「NAFTAにおけるISD条項を使った訴訟は45件ある。メキシコがアメリカを訴えたのが1件、カナダがアメリカを訴えたのが14件です」
岩上「今我々がいるのは名古屋、愛知です。2010年、トヨタがリコール問題をめぐって、アメリカでいじめられました。アメリカは企業をいじめるんですよね」
岩月氏「(企業に)根性があれば、アメリカでも戦えると思いますよ」
岩月氏「医療でいうと、今日本では混合診療が禁止されているが、こんな制度はアメリカにはない。これは投資家にとっては、『公平で公正』ではない。確実に裁判になると思います」
岩月氏「解雇による社会権の侵害、労働者としての働く権利の侵害を韓国法務部は深刻に見ていた」
岩上「これは、そうなっていくということですか?」
岩月氏「はい」
岩月氏「薬価の高騰によって、健康保険の中身が貧しくなっていくでしょう」
岩上「コメと国民皆保険は守りますといっていますが、先ほど言ったようにオバマ側は空手形」
岩月氏「以前、『弁護士が多ければ社会がよくなるか』と言うアンケートをアメリカの弁護士協会が行った。結果はノーが51%。また、信用できる職業のアンケートでは、公務員が5割くらいなのに、弁護士はたった18%」
岩月氏「ロナルド・レーガンの乗組員が東電を訴えていますが、片や、アメリカの弁護士が、イラク戦争などで、劣化ウラン弾によって被曝した米兵の訴訟を起こしているかというとそんなことはない」
岩月氏「ビジネスを主眼に考えると、劣化ウラン弾の使用すら認めないアメリカ政府と戦うよりも、東電を訴えた方が賠償を取りやすいと考えたのでしょう」
岩上「北朝鮮がミサイルを撃つといってきているが、SM3やPAC3では日本中を守ることなどできない。また日本中に原発が立地している。こういう攻撃で米軍基地が被弾し、被曝などしたら訴えられるのでは?」
岩月氏「訴えられるでしょうね。『トモダチ作戦』で訴えられるのですから、戦闘では当然あるでしょう」
岩上「北朝鮮よりも訴えやすい日本政府が対象となる可能性がある」
岩月氏「アメリカが、これまでWTOも、NAFTAも、米韓FTAもそうですが、国内でどう履行するのかを考える過程で、連邦法・州法に反する条項は無効だと。議会は、米国内には効力が出ないという姿勢です」
岩月氏「現実にカナダが14件も訴えていますから、その判決の中身を見ないと実際の判断はできませんが、米国議会はそういう姿勢だということです」
岩月氏「(日本側が)暴れる覚悟でやらなければ、これは絶対に不平等条約です」
岩上「日本の資本家で、自分たちは儲かるんだといっている人もいますが…」
岩月氏「大勘違いですね」
岩月氏「『主権回復の日」を祝うという話がありますが、時代錯誤もはなはだしい。そのときからアメリカに押さえられているのに」
岩月氏「今まで沖縄に押し付けて、(本土の国民が)味わわなかったことを、今度は日本全国で負担しなければならない」
岩上「日米安保やTPPをどう振り払っていくことができるのでしょうか?」
岩月氏「それは、『主権回復の日』を祝うということと全く反対の精神をどう国民に広めていくのかということでしょう」
岩上「国内法や地方自治であれば、国民の意思があります。一番失ったら困るのは当然民主主義です」
岩月氏「地方自治という問題をどれだけ重く見ていくのか」
岩月氏「特に、基礎自治体の考え方。自分たちの生活圏をどう作っていくのか。それをもうすこし考えていくことが、グローバリズムのアンチテーゼとしては一番強いのではないでしょうか」
岩上「金儲けを阻害することが一番不当であるというのが……」
岩月氏「そうです。それがISD条項です。おそらくWHOも機能しないでしょう」
岩上「製薬会社などのお金で成り立っている」
岩月氏「2月20日のレジュメを作ったあとに、オバマ大統領が無権代理人であることに気づきました。それほどまでに私たちは馬鹿にされている。(抵抗のためには)知ること、疑うことが大事です」
岩上「韓国は条約を批准してしまいました。しかし、それをなんとか覆そうとする動きがあります」
岩月氏「全世界の国民同士の連帯の運動であると思います。(覆すことは)可能であると信じます」
以上で、実況ツイートを終了します。
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