http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/330.html
Tweet |
http://asumaken.blog41.fc2.com/blog-entry-8488.html
2013/4/10 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
誰にも先が分からない実験といわれている危険過ぎる日銀政策の当否
凄まじい勢いで上がっている株価。が、それ以上なのが、「金」だ。
先週4日に日銀の黒田新体制が「次元の異なる金融緩和」を発表した翌日から、金相場(円建て)は一気に上昇。きのう(9日)は5302円と年初来高値(5325円)をうかがう展開になった。たった3営業日で394円の高騰だ。
金高騰の理由はハッキリしている。黒田日銀が「量的・質的金融緩和」を打ち出して以来、為替市場では円安が加速。アッという間に1ドル=100円直前に迫った。この先も円安が進めば日本円の価値は目減りするばかり。それで、富裕層ほど手持ちの現金をゴールドに換えているのだ。
果たして、金持ちを慌てさせるほどの円安進行は、日本経済全体にとってプラスなのか。
安倍首相と黒田総裁の「アベクロ」コンビがやろうとしていることは、「デフレ脱却」に名を借りた過去に例のない金融の一大実験である。
黒田日銀は「市場に供給する通貨の量を2年間で2倍にする」と宣言した。つまり日本円の実質価値を半分に減らし、「今、お金を使わなければ損だ」というムードをつくり上げるということだ。手品のような手法で消費者の購買意欲に火を付け、デフレ脱却を狙っている。それがいかに危険なことか。
◆専門家も結末予想できない危険なバクチ
日銀がジャンジャンお札を刷ってばらまけば、為替はどんどん円安に振れる。そうなれば輸出産業はよみがえり、サラリーマンの給料も上がって万事がうまくいく――。安倍首相や黒田総裁もそんな思惑なのだが、それじゃあ通貨は安くなった方が良いのか。
それはとんでもない話で、日銀OBで大商大教授の佐和良作氏(経済学)はこう言った。
「円が強ければ海外の資源も安く買えるし、海外企業のM&Aも低コストで済む。ソフトバンクが昨年、全米3位の携帯電話会社を買収できたのも、1ドル=78円台の円高だったからです。円安が加速すれば日本企業は買収もままならなくなる。海外への設備投資も確実に鈍化する。悪い円安の典型になるのです」
そもそも通貨は国力のバロメーターだ。基本的には強い方がイイに決まっている。通貨政策の基本に逆行し、国力をわざと落とすようなアベノミクスは到底容認できない。国民はさほど自覚しないうちに危険なバクチに巻き込まれてしまったのだ。
◆円安が日本経済にプラスなんて過去の神話だ
このままの勢いで円安が進み、1ドル=100円の壁を一気に越えてしまったら、日本経済はどうなるのか。マイナス面ばかりがクローズアップされ、庶民の生活を直撃する事態になる。
日本総研チーフエコノミストの山田久氏は「国内総生産で見れば1ドル=90円台前半の時に円安によるプラスの影響が強くなる」とし、「それ以上に円安が進むと輸入のマイナスの影響が強くなる」と警告していた。
安倍ブレーンの浜田宏一エール大名誉教授だって「1ドル=100円くらいがちょうどいい」と言っていた。今の水準で円安が止まる保証はない。1ドル=110円、120円という具合に円安が急激に加速すれば万事休すだ。
「円安が輸出企業に恩恵をもたらすなんて、もはや過去の神話です。ここ数年の円高の間に、多くの輸出企業は海外に生産拠点を移し、『輸出依存型』から『現地生産型』にシフトしています。代表格の自動車企業の国内生産比率は今や4割を切っている。輸出割合が減る中、円安のメリットは薄れるばかり。円安で多少の為替差益が生じても海外に一度移した生産拠点を国内に戻すのは至難の業で、雇用の増加にもつながりません」(経済評論家・吉見俊彦氏)
それどころか、輸出産業には海外からの資材調達コスト増という円安デメリットが襲い掛かってくることになる。海外生産比率が7割と高水準のパイオニアは、対ドルで1円の円安が進めば年間約2億4000万円もの減益要因となるという。
そもそも日本の電機メーカーは世界市場で韓国勢に押されっぱなし。競争力自体を失って製品が売れない中、円安のメリットもクソもないだろう。前出の吉見俊彦氏はこう警鐘を鳴らす。
「円安は燃料コストの上昇も招き、さらなる電気料金引き上げは避けられない。これが、産業界や家計の足を引っ張ることになるのです。この燃料コスト増こそが日本の貿易収支を赤字に変えた原因で、円安は貿易赤字をますます膨らませ、日本は双子の赤字が固定化することになる。今の円安は日本の国力衰退の表れです。金融危機を抱えるユーロよりマシと思われた円がどんどん下がっているのは、日本経済沈没の前兆かもしれないのです」
それなのに、一国のトップと中央銀行の総裁が自国の通貨下落を喜んでいるなんて、有史来初の異常事態ではないのか。
◆日本人の美徳を破壊する悪魔の政策
円安は庶民の暮らしにも暗い影を落とす。すでに原油高に伴うガソリン価格の高騰や電気料金の引き上げ、小麦や食用油の値上げなどが相次いでいるが、輸入インフレはこれからが本番だ。いずれも生活必需品だから、庶民生活は円安のデメリットに押し潰されてしまうだろう。
ハッキリ言って円安なんてロクなもんじゃないのだが、メディアは「黒田相場 世界をリード」ともてはやす。株式市場も期待ムードに乗せられて過熱の一途だ。すでに明らかな資産バブルも進行中だ。今や都心に広大な土地を持つ企業の株価が、理屈を超えて急騰している。もはや実体経済を反映していないのは明らかで、完全にバブルだ。だとすると、はじけた後が恐ろしい。
筑波大名誉教授の小林弥六氏(経済学)はこう言った。
「バブルはいつか必ずはじけ、その後の悪影響が予想できないから怖いのですが、アベクロコンビは後は野となれ山となれ。経済はムードで上向くと本気で信じているフシがあります。だいたい流通する通貨量を2倍に増やして円安に誘導するなんて、正気の沙汰とは思えません。庶民が必死で貯めた預貯金の実質価値が半分に目減りしてしまうのですよ。価値が減った分だけ給与が上がらなければ、国民の生活水準は沈んでいく。生活費を年金に頼る老人世帯は即、火の車でしょう。アベクロコンビの円安誘導は極端な話、今の1000円がたった1円の価値になってもおかしくない。アベノミクスは悪魔のような発想だと思います」
今日より明日の方が、手にしたカネの価値が下がると、社会全体もおかしくなる。まじめに働いてコツコツ貯金に励んでも仕方がない。汗水かかずに儲かるマーケットにジャンジャン資金を流せばいい。こうやってバブルは過熱していくのだ。
前出の小林弥六氏は「アベノミクスは勤勉さが美徳とされた日本人のモラルまで破壊する」と断じた。果たして、そんな社会の出現を本当に国民は望んでいるのか。浮かれている場合ではないはずだ。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK146掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。