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http://zasshi.news.yahoo.co.jp/article?a=20130410-00000000-sundaym-pol
サンデー毎日 4月10日(水)17時0分配信
◇岩見隆夫(いわみ・たかお=毎日新聞客員編集委員)
いや、いや、恐れ入りました。とにかく、次の自民党礼賛論をご一読いただきたい。
「好き嫌いに関係なく、自民党はどこか日本人の心のよりどころになっていると思います。情があるんですよ、自民党には。情はしばしば腐敗に結びつくのでやっかいですが、支持者を含めてあたたかい。
金遣いは荒いし酒も飲む、困ったもんだけど、でも、我が家がもっているのはお父さんのおかげだねと。自民党は父性的な強さと、母性的なあたたかさを両方持っているから強いんです」
恐れ入るのは、発言者が自民党支持者でなく、民主党政権の初代首相、鳩山由紀夫さんだからだ。先月、某紙のインタビューに答えていた。
ユニークな自民党論と言っていい。鳩山さんがいつごろからこんな見方をしていたのかわからないが、自民党に完全に位負けしている。せっかく政権を取っても、長く持つはずがない。鳩山さんは続けて言っている。
「翻って民主党は理論的だけど冷たい。労働組合と松下政経塾出身者が多く、理屈には強いんだけど、より優秀な官僚の理屈に負けたと思うとポキッと折れ、屈してしまう。あたたかくて柔らかければ曲がるんですけどね。自民党の柳のような強靱さはやはり政治には必要です」
これも面白い。しかし、民主党批判がすぐに自民党礼賛につながっていくのだから、いま細腕で民主党を死守しようとしている海江田万里代表以下の現職議員が聞けば、やりきれない。いい気なもんだ、と腹も立つだろう。
あたたかいか冷たいかは、政党論として情緒的にすぎるきらいはある。とはいえ鳩山さんの発言は、第一次安倍政権から第二次に至る、この五、六年の政界ドタバタ劇の一面をついている、と私は思う。
福田、麻生の両自民党政権にしても、あたたかいなんてものではなかった。あのころ、後期高齢者医療制度などという無神経な発想に批判が渦巻き、年金五千万件が宙に浮いていると知って、国民は開いた口が塞がらなかった。だから、この政党はもはや国民の味方ではないと見切りをつけ、お引き取りを願ったのだ。
ところが、あとを継いだ民主党政権は、鳩山さんが言うように理屈だけの砂上楼閣でしかなかった。〈コンクリートから人へ〉のスローガンが端的に示している。できもしないバラマキ政策を並べて国民の歓心を買おうとした。ポピュリズム政治の最たるものだった。民主党政権は消えるべくして消えたのである。
復帰した自民党政権は、安倍晋三首相、麻生太郎副総理らかつて挫折した時と同じ役者が采配を振っている。失敗から学ぶことはあるとしても、急に信条、体質、手法が変わるはずもない。ただ、アベノミクス効果で社会が明るさを取り戻したのは確かで、世間は不安を覚えながらも浮かれ気分が広がっているのが現状だ。
◇鳩山さんの民主解党論 そう気楽に言われても…
それでも鳩山さんが自民党礼賛をするのはなぜなのか。多分、こういうことだろう。老舗政党の自民党は、過去の遺産をまだ残している。なにしろ結党五十八年、このうち四年余を除いてずっと政権を占めてきたのだから当然だ。それは政権を転がしていく知恵、駆け引き、用兵術、包容力、さらに加えれば情報収集力などである。
たとえば、安倍さんは総裁選を争った石破茂、石原伸晃、林芳正の三人を党・内閣のポストに据えた。党内基盤が強くない安倍さんにしてみれば、そうせざるをえない面があったが、民主党を追われた身の鳩山さんには、〈あたたかい〉と映る。
安倍自民党があたたかいかどうかは、にわかに答えが出せない。政治があたたかさだけですむとも思えない。だが、あたたかさに欠ける政治が落第であることも確かである。
そのあたりのことを見極めていくのが野党の仕事だ。夏の参院選でも、安倍政権とアベノミクスの性格づけが争点の中心になる。人気の『毎日新聞』連載〈仲畑流万能川柳〉(4月1日付)には、
誤植かなクの字が欠けてアベノミス
という句が登場した。世間の不安感を代弁したものだろう。
しかし、野党勢力のパワーはいまのところまことに心もとない。このままでは、参院選も自民党の独走態勢が日々強まる。肝心の野党共闘が不発になりかけているからだ。第一党の民主党と第二党の日本維新の会の連携はもはや絶望的だ。維新の憲法観が破綻の直接のきっかけになった。民主の細野豪志幹事長は、
「維新は新綱領で、憲法について『日本を孤立と軽蔑の対象に貶め』と、戦後の日本のあり方を徹底的に批判する考え方は私どもとは異なる。安倍政権と酷似している」(4月1日、役員会)
として選挙協力を断念する方針を明らかにした。維新が荒っぽい発言で共闘を攪乱している。みんなの党とは選挙区調整を進めながら、民主との対決姿勢を強めているのは、場合によっては自民と組んででも民主をつぶす作戦、ということなのか。
このバラバラ状態では、民主、維新、みんな、生活の党、みどりの風など野党勢力の大同団結は望むべくもなく、自民の突出にまかせることになる。五五年体制下でも、社共、社公民などの野党共闘が再三組まれたが、自民の牙城に肉薄するところまではいかなかった。いままたそれを繰り返している。
鳩山さんは、
「民主党はいったん解党して、『強い日本』よりも『あたたかい日本』を目指す新しいグループとして再結集した方がいい」
と気楽に語ったそうだ。旗揚げした人から解党をすすめられたのでは、民主党も気合が入らない。
だが、野党は再編して新グループの結集を考えるべき時かもしれない。共産党を除くと野党はどの党も内部がゆるんでいるので、チャンスともいえる。すでに何人かが水面下で動いているようだが、とにかくメリハリある与野党の対決がないことには、政治が精彩を失うのだ。
<今週のひと言>
長嶋は遅過ぎ、松井は早過ぎ。
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