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★孫崎享氏の視点ー(2013/04/10)★ :本音言いまっせー!
9日、産経新聞は次のように報じています。
「安倍晋三首相は9日朝、北朝鮮が
「10日にも日本側にミサイルを発射する」と平壌在住の一部外交官へ
通告したことについて「日本政府として国民の生命と安全を守るために
万全を尽くす」と述べた。」
さらに9日、産経新聞は次のように報じています。
「北朝鮮の新型弾道ミサイル発射に備え、防衛省は9日未明、
航空自衛隊の地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を
東京・市谷の同省敷地内に運び込んだ。」
多くの国民は北朝鮮のミサイルに政府は然るべき対応をした、
頼もしいと思っていることでしょう。
しかし、ミサイル防衛システムで国民は守られないのです。
ここでも嘘と詭弁です。
著書『これから世界はどうなるか』を下記に引用します。
首都圏の朝霞(埼玉県など)、習志野(千葉県)の自衛隊施設にも配備。
首都圏への配備は、北朝鮮が沖縄付近を飛行経路と予告した
昨年4月と12月のミサイル発射でも、政治経済の中枢を守るとの
理由で行われた。
2012年北朝鮮の“人工衛星”発射で、ミサイル防衛の必要性が説かれました。
ではサイル防衛で丸の内や銀座や新宿が守られるでしょうか。
そんなことはありえません。守られるとお考えでしたら大間違いです。
ミサイル防衛という難しい問題が、突然政治の中心に踊り出ました。
きっかけは北朝鮮の“人工衛星打ち上げ”予告です。
2012年3月16日、北朝鮮は金日成主席の生誕100年に合わせて、
4月12日から16日までの間に「ロケットを使って人工衛星を打ち上げる」と
発表しました。この「ロケット」は軍事目的にも利用出来ます。
その際には軍事ミサイルになります。
これに対して日本の対応策が出ました。
政府は、一部が日本国内に落下する場合に備え、3月30日、
田中防衛大臣がミサイル防衛システムで迎撃する
「破壊措置命令」を自衛隊に発令しました。
「防衛省はイージス艦3隻を東シナ海と太平洋、日本海に展開するとともに、
地対空誘導弾パトリオット・ミサイル3を沖縄県内を中心に配備し、
『二段構え』で備える」
北朝鮮は「核の枢軸国」と呼ばれた国です。
その北朝鮮が軍事ミサイルを発射しました。そして日本の自衛隊は
「破壊措置命令」を発動しました。「自衛隊は頼もしい」と感じた人も
多かったのでないかと思います。
でも、ミサイル防衛は全く役にたちません。
「そんな馬鹿な。ミサイル防衛は日本の防衛政策の柱になっているでは
ないか」とお思いでしょう。確かに「防衛大綱」では、
「弾道ミサイル攻撃への対応」が重要な項目になっています。
でも役にたたないのです。
その理解は極めて簡単です。小学生でも、中学生でも解ります。
弾道ミサイルは打ち上がると数百キロメートル以上の上空を飛びます。
通常の地対空ミサイルや空対空ミサイルで迎撃できる高度はせいぜい
数十km程度です。届かないのですか当然撃墜できません。
そして、ミサイルは目標に向かって下降します。この時のスピードは
大陸間弾道弾(ICBM)クラスでは秒速約7km程度、中距離弾道ミサイル
(IRBM)で秒速約2km程度です。ミサイルの長さを20メートル位として、
これが一秒に2km移動します。
こんな物を撃ち落とせるはずがありません。
これを私達の身近な世界と比較してみたいと思います。
これを野球とサッカーに例えて考えて見よう。
野球でピッチャーが時速150KMで投げる時は、秒速42メートルです。
サッカーでペナルティを得てゴールに蹴る時は初速で秒速30メートルです。
ミサイルが落下する時はピッチャーの球の50倍以上の速度です。
こんなものを撃てるはずがありません。
さらにバッターはホームプレートの上を通る球を打てばよいのですが、
ミサイルで東京を守るとなると、守る範囲は何十KM四方です。守る事は
ありえません。
もっと重要な点があります。
敵国がミサイルを撃つ時、目標がどこか解りません。
北朝鮮が日本を攻撃するとして、それが東京を狙うのか、大阪を狙うのか、
福岡を狙うのか、沖縄を狙うのか。
東京を狙うとして、国会議事堂を狙うのか、防衛省のある市ヶ谷を狙うのか、
銀座、新宿の繁華街を狙うのか、ビジネスのセンターの丸の内を狙うのか。
狙う場所が解らなければ軌道が解りません。
どこを飛ぶか解らないミサイルをどう打ち落すことができるでしょうか。
全く、意味のないことをさも、意味ありげにしているのがミサイル防衛です。
多分反論があります。ミサイル防衛は米軍が真剣に対応している
一大国家プロジェクトです。巨額の資金を投入しています。
意味のないことにお金を注ぐとは信じられない。
実はミサイル防衛が軍事的に意味のある時があります。
敵がミサイルを撃ってくる時には2種類あります。一つは政治経済の中心地に
撃ち、戦闘意欲を削ぐ時。今一つは自国のミサイルを防衛する時。
敵が政治経済の中心地を狙う時には、どこを目標にするか解りません。
だから防衛のしようがありません。しかし配備されているミサイルを
めがけてくるなら、かつ正確に目標を捉えられるなら、その軌道は正確に
解ります。ここにはミサイル防衛の可能性があります。
しかし、我々日本人が北朝鮮や中国のミサイルから防衛すると言った時に、
人々が思うのは、一般の日本人が活動している政治、経済、社会の中心地の
防衛です。その時にはミサイル防衛というのは全く役にたちません。
我々は仮想敵国として北朝鮮と中国を持っています。北朝鮮が日本に届く
距離のミサイル・ノドンを200から300配備していると言われています。
中国は中距離弾道ミサイル東風21号を300保有しているとみられます。
これらにとても対応出来ません。
ミサイル防衛は単なる戦争ごっこの玩具です。それも全く性能が悪くて、
ほとんど意味をなさない玩具です。
でも、不思議にまともそうな人もさもミサイル防衛が成功するようなことを
いうのです。例えば石原東京都知事は、「(ミサイルが)もう少し飛んで、
日本領空に来たときに撃ち落とせばよかった。
それは、日本の防衛力の顕示になった」と強調しました
(2012年4月14日付産経新聞)。
物理的に思考出来る軍事の専門家なら、ミサイル防衛が意味をなさない
ことはわかります。それなのに、何故ミサイル防衛が有効だと言う
のでしょうか。
一つのヒントがあります。私はツイッターをしています。
現在約3万6千名がフォローしています。その内の一人からの情報です。
「1993年夏の細川連立政権成立直後の初秋に、米側はミサイル防衛の
ために14兆円を出せと要求して来ました。
中西啓介防衛庁長官がこれを断りました。この時期中西氏の政治資金をめぐる
『スキャンダル』報道が激増します(紀陽銀行の不正融資への関与や、
関西国際空港建設に関連し業者から献金受理の疑惑)。
中西氏は、自ら不規則発言(「半世紀前に出来た憲法に、後生大事に
しがみつくのはまずい」との発言)をして、その責任を取る形で、
同年12月初めに大臣辞任します
(1995年、長男が大麻所持で逮捕されたため、衆議院議員を辞職する)。」
中西氏はダーティな政治家というイメージが定着しました。
ミサイル防衛は多額なお金が米国に流れるシステムの一つです。
そして何故、ミサイル防衛が有効だという論が流布しているのでしょう。
企業は販売に宣伝費をのせます。自動車産業は1−2%と言われています。
14兆円だと、1000億円近い金を宣伝に使ってよいことになります。
1000億円近い金をかけて、「ミサイル防衛は必要だ」と宣伝しても
元がとれるのです。
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