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数日前、産業競争力会議で竹中平蔵氏は、空港や高速道路、上下水道といった公的な資産に目を付け、これらインフラの「運営権」を売却すれば「最低でも数十兆円になる」から、公的施設などの民営化を急ぐべきだと提案したらしい。竹中平蔵氏は郵政民営化という、総額340兆円という郵政資金を米国へ投げ与える法案を成立させた国賊政治家だったが、彼の立場は民間人になった今も、グローバル資本の犬となって日本にコーポラティズムを敷設する先導役を務めているようだ。まさに度し難い人物だ。
そもそも、小泉政権時代の「経済財政諮問会議」は民間と称する輸出大企業の有力者がメンバーとして出席し強大な発言権を得ていたが、今次安倍政権の「産業競争力会議」も同様に典型的なコーポラティズム布陣となっている。すでに日本の国政は小泉政権以降、大企業の旗振りで行われているのである。これは本来日本政府が持つべきガバナンスが、米系外資に経営権を掌握された日本の大企業群に移ったことを意味している。
つまり、今次安倍政権の実質的な政府は経団連ということになり、実質的な首相は安倍晋三氏ではなく経団連会長の米倉弘昌氏であるということに他ならない。今、日本の総理大臣はモンサントの危険食品を日本人に喰わせて大儲けを企んでいる米倉会長なのである。 こういう信じがたい政治構造の中で、アメリカに魂を売り渡した竹中氏が再び国政に登場した。彼はエクソン・フロリオ条項を持たない我が国にレッセ・フェール(自由放任)的な外資参入策を実行し、小泉政権以降、我が国の大企業、優良中堅企業はことごとく外資に経営権を掌握されている。
今さら説明するまでもないが、竹中氏が小泉政権時代に実行した売国政策の数々によって、日本は外国資本の株主の意向を反映させる政治形態に様変わりしたのである。日本は典型的なコーポラティズム国家に変容し、国政のベクトルはすべてが企業重視になっている。小泉政権の構造改革で格差社会は固定化され、国民所得は株主への傾斜配分でじり貧になっている。格差は教育の機会均等権さえ無効化し、貧乏な家庭の子どもは良い教育を受けられずに生涯奴隷労働者階級となるべく運命づけられる。
国政がコーポラティズムだから、庶民の生活向上はもはやあり得ず、絶望を噛みしめて生きてゆくしかない社会がすでに始まっている。このような現状で、国賊的な民間学者である竹中平蔵氏は、ついに日本社会の重要なインフラまで外資様に差し上げろと言い始めた。
TPPがなぜ国家破壊を招来する自主権の侵害であるかというと、ISDS条項が内国制度の崩壊をもたらすからである。
制度主義こそ、すべての人々の人間的尊厳が守られる最後の砦であり、国家が存続する限り、これは時代を超えて普遍的に守られ発展させるべき概念である。経済学者の宇沢弘文氏が12年前に著した「社会的共通資本」(岩波新書)には、制度主義の考えを具体化した“社会的共通資本”という概念が語られている。要するにインフラストラクチャーのことである。この制度主義の概念は植草一秀氏がよく語るプログラム支出の考え方と通じているところがある。
小泉政権以降、マスコミや御用学者が印象操作し続けているものの中に、この社会的共通資本を市場を行き交う物品類と同一次元で扱っていることをご存じだろうか。この理由は明白である。コーポラティズムに従って、安全、環境保全、道路行政、鉄道、航空路線など、人々を守り、社会を安全に運営していくための公共資本財が、流動的な市場経済対象物として位置付けられてきた。企業が儲けの対象として社会インフラまで手を伸ばしてきたからだ。
社会的インフラは市場経済にカテゴライズされずに、国権という強力な力に支えられてその本領を発揮する。これを市場経済に委ねれば、国民生活の安全や社会秩序の安定が保たれないことは小学生でも分かる道理である。宇沢弘文氏が解説する社会的共通資本には、自然環境、社会的インフラ、制度資本の三つの領域がある。
今回、竹中平蔵氏が提案した社会的インフラの経営権売却、とくに水道事業の民営化は、水道料金の高騰と安全の崩壊を招き、ボリビアやウルグアイの悲惨な轍を踏むことになる。儲けさえ出るなら、水質安全基準の保持やその他の公共財ならではの体制にほころびが出るのは当然である。公共インフラを企業に委ねたら、それはもはや公共としての属性を失うのは自明の理である。この考えに基づけば、TPPに参加して混合診療が解禁されれば、市場原理によって医療技術や薬価体系が自由診療に傾斜し、国民皆保険制度が実質上形骸化することは目に見えている。アメリカと同様に金持ちだけの医療に変質するのだ。
竹中平蔵氏の公共インフラ民間売却は、外資参入のための制度破壊である。民営化以前の郵政は、事業として郵便事業、郵貯、簡保の営利事業だけではなく、地域インフラの重要な役目もあったから、立派な社会的共通資本の一つだった。竹中氏が行った郵政民営化は、郵政資金を外資に丸与えするばかりか、地域インフラの破壊も招く拙速な行為だったことになる。 以上のように、竹中氏提案による公共インフラの民間丸投げは、グローバル資本がTPPで目論む日本国富完全収奪の前哨戦として認識できるのである。まさに国賊提案である。
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/04/post-b708.html
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