http://www.asyura2.com/13/senkyo146/msg/192.html
Tweet |
http://blog.goo.ne.jp/aibatatuya/e/a6bc9113de38962ca6959a197cbe122c
2013年04月06日 世相を斬る あいば達也
4日に黒田日銀総裁が「異次元金融緩和」を発表。下げで始まった東証日経平均は、後場、日銀の荒唐無稽な金融政策を受け、270円近い終値を示したが、下げ上げの振幅は500円以上のものとなった。5日も、この流れを受け興奮した買い注文が殺到、前場、600円近い上げ幅だったが、終値は200円を切って終わった。米紙ウォールストリート・ジャーナルは社説で、黒田東彦総裁の主導で日銀が新たな金融緩和策を打ち出したことについて黒田は「日本のバーナンキFRB議長」だと評価した。問題は、こうした政策転換を通じて民間経済にお金が回るかどうかだと論じているが、米国金融が、日本のバブルを期待しているのだから、当然の論評である。
経済成長が、構造的に無理になってしまった状況の国家経済に、無理やり食い物を食べさせるようなもので、北京ダックを生産するようなものである。つまり、マネタリストの幻想が現れたわけだが、百歩譲って成功したとしても、投機バブルが起きるだけで、実体経済を成長させる効果はゼロだろう。その投機バブル自体も、まったく腰が座ったトレンドを示しているわけではなく、一日の間に利食いが起き、一進一退の相場を形成しているのだから、それすらも怪しい。挙句に、どれ程の「異次元金融緩和」であっても、材料が出尽くしているわけだから、買い上がる材料の枯渇の方に目は向くだろう。一昨日に続き、安倍相場の危険性を憂慮する日経QUICKニュース編集委員・永井洋一氏のコラムを紹介しておこう。
≪ アベノミクス相場に小泉改革後型リスク 異次元緩和 市場好感、消費者は? 日経QUICKニュース 編集委員 永井洋一
前日の日銀の「異次元緩和」を好感した株式市場。日経平均株価は5日、一時1万3000円台を回復した。だが、就任100日を超えた安倍晋三首相の内心は複雑かもしれない。「消費者のことを考えれば、株高に浮かれてはいられない」と極めて冷静に眺めているのではないだろうか。
先月下旬発表になった2月の貿易統計。輸出数量指数が前年同月に比べ16%低下した。財政・金融・産業の各政策を総動員し、日本をデフレ脱却へと導こうというア ベノミクスにとって目下、最大の敵は輸出の減少だ。
■輸出減、アベノミ クスに最大の敵
1ドル=80円近辺から96円台へと、この5カ月近くで15円以上、下落した円の対ドル相場。円安が加速したのに輸出が減ったのはなぜか。中国や欧州を中心に海外景気が低迷しているためだ。 円安は輸出企業の手取り収入の増加をもたらすが、企業が販売計画を変更するのは、たやすくはないから、一般的には海外で日本製品が値下げされるまでには、半年から1年程度のタイムラグが必要とされる。
多くのエコノミストの間では、すぐに輸出は伸びなくても、いずれ価格競争力の向上による輸出数量の増加、いわゆる価格効果は表れるとみられている。これが期待されているアベノミクス効果の一つでもある。
ところが、SMBC日興証券の宮前耕也エコノミストは、「数量が回復する保証はない」と指摘する。円高だろうと円安だろうと、「海外の現地価格は大きく動かない」とみるためだ。
例えば、当時の小泉純一郎首相が唱えた構造改革を受けて円相場が1ドル=101円台から124円台に下落した2005年1月から2007年6月まで。海外に輸出される財の価格を対象とした日銀の輸出物価指数をみると、円ベースは112.7から125.8に1割あまり上昇したが、現地通貨ベース(契約通貨ベース)は100.8から99.7とほとんど変わらなかった。円安による手取り収入の増加を原資とした日本製品の「円安(ドル高)還元セール」が、 海外であまり広がらなかったことが読み取れる。
品目別で、この間の現地通貨ベースの価格推移をみると、輸送用機器(自動車)の値下がり率 は1%あまりにとどまった。大幅な値下げが難しいというコスト構造や電気機器などに比べ在庫として抱えても陳腐化しにくいという製品性が影響しているとみられる。
電気・電子機器は14%値下がりし、価格効果が働く余地がある製品といえる。しかし、スマートフォン(スマホ)販売の伸び悩みにより日本では、「電子部品・デバイス工業」の在庫が2年ぶりの水準に積み上がっており、当面は生産の活発化は見込みにくい。電気・電子機器は05〜07年 には国内でも値下がりしており、世界的に競争環境の厳しさがうかがえる。
円安でも現地価格を下げなければ、企業のマージン(利幅)は増えるため、1株利益(EPS)を重視する株式市場の投資家にとっては好都合だろう。
だが、輸出数量が増えなければ、日本経済全体には円安の恩恵は及ばない。その兆しはすでに表れている。日銀が1日発表した企業短期経済観測調査(短観、3月調査)は、大企業も中堅企業も中小企業も、さらに製造業、非製造業問わず、13年度の設備投資計画が前年度比マイナスだった。異次元緩和は、企業の設備投資意欲を刺激するのが狙いの一つだが、それが成功しなければ、国内景気の回復を伴わない資産バブルのリスクが高まる。
■資産バブル到来見越す市場関係者
電気料金、ガス料金、小麦粉、輸入家具、印刷用紙……。新年度に入り、値上げが予定されている品目を挙げれば切りがない。円安で輸入製品価格が上昇しているためだ。では05年1月〜07年6月の輸入物価はどうだったのだろうか。
日銀の輸入物価指数(円ベース)は4割上昇。品目別では、貴金属や非鉄金属などの金属・同製品が2倍、石油・石炭・天然ガスが9割、食料品・飼料が4割それぞれ上昇した。同じ期間の国際商品相場(ロイター・ジェフリーズCRB指数)の上昇率1割を大きく上回る。アベノミクス効果が実体経済に広がるまで、消費者はいったん、厳しい季節を迎えるかもしれない。
「何が何でもという意味ではない」。2日の衆院予算委員会で、円安の弊害を軽視してでも、日銀に2%の物価上昇率目標の達成を求めるのかと問われた首相の、こんな発言が市場に一瞬動揺を誘った。そのせいもあってか、市場との対話に積極的な黒田日銀。だが、QUICKの調査によれば、債券市場関係者の約8割が資産バブルがありうるとみている。市場に配慮しすぎれば消費者の負担が増し、消費者重視だと市場の期待が低下する。
07年以降の株式相場は、世界景気の悪化で崩れた。今回も海外景気の低迷が続けば、アベノミクス効果は半減する。アベノミクス相場に小泉改革後型リスクが潜んでいるのを一番知って いるのは、安倍首相本人かもしれない。 ≫(日経新聞:マーケット:コラム)
おそらく、5日辺りの株式相場の動きを見ていると、個人投資家が大量に買いを入れ出した傾向がみられる。あまりにも低すぎる金利と閉塞感で苛立っていた人々から見れば、仮に景気が一過性のバブルであっても、ひと儲けしたい気分が高揚する心理も肯ける。ただ、ここ二日間の日経平均の動きを見る限り、5日の終値が、ババだった可能性も否めない。その理由を明確に指摘は出来ないが、何故かここに来て、マスメディアが安倍・黒田相場に水を差すような解説記事が軒並み報じられていることだ。煽って買わせ、買い込んだ後で、アリバイ記事を書き出した趣きがある。
日経・朝日・毎日は、アリバイ記事の傾向は顕著で、産経・読売はピンと来ていない。おそらく、何が何でもアベノミクス神話を作ろうとするメディアと“知性ヅラ”したいメディアの差が出ているものと思われる(笑)。安倍・黒田の金融政策の思惑は、日銀が大量無制限に国債を買えば、金利の指標である国債利回りが下がる(金利低下)。つまり、借金しても目茶苦茶金利が安いのだから、家も買うし、設備投資もするだろう、と云うことだ。家を買おうとする人々の行動を早める起爆剤にはなるだろう。来年の消費増税も視野に入れれば、不動産の動きが活発になる可能性はある。しかし、エコポイント同様に、消費の先食いなのだから、数年スパンで見れば、平準化され元の黙阿弥である。需給のバランス(供給過多)が是正もされていないのだから、金利が安いだけで、設備投資が前向きになる可能性は少ない。
次に、国債利回りが、限りなくゼロに近づくので、金融機関は運営費用捻出の為にも、貸し出しを増やさざるを得ない。故に、市中にマネーが行き渡ると云う考えだが、2001年から06年に量的緩和を実施し、35兆円の資金を流し込んだ。しかし、銀行は貸し渋りを実行した。原因はバブルで傷んだ銀行自体が消極的だったから、と云う意見が多いが、当時は経済成長は健全だったのである。今回は、体質強化されている銀行だから、決断するだろうと云う思惑だが、困ったことに経済成長はマイナス、決断する条件は意味合いこそ異なるが、揃ってはいない。まして、現在の金融トップは、バブルで酷い目に遭っている人々が占めているのだから、期待する方が無茶である。
次が、値上げのトレンドが予感される事で、早目に設備投資をするとか、賃貸不動産投資が活発化するだろう、と云う思惑だが、年内の景気動向は善くなるとして、消費増税がしやすくなるだけのことである。また、財政出動で公共投資景気も生まれているが、減価償却に見合う期間の継続的注文が来ると云う見通しのない中で、設備投資が上向くと云うのは幻想だろう。その上、大企業の殆どは内部留保を抱え、安くても金利がつく借金を、敢えて取る必要性は高くない。
消費の先食いを、個人消費の範囲で誘発する可能性は高いが、企業にまで及ぶ可能性は乏しい。それこそ、社会主義市場経済ならいざ知らず、自由競争の民間企業に、そのリスクを強制することは出来ない。その内、劇薬的円安の副作用の方が顕著になり、グローバル経済の一大特長、「賃金はひたすら下降する」は、TPPの参加により拍車を掛けるだろうから、生活者目線では塗炭の生活苦が押し寄せる可能性は一層高まっている。NHKなどが、株価ボードを眺めている年金生活者の「良いね〜値上がりで真赤だよ!」等と云うインタビュー画像を流し、国民に提灯をつけさせ、ババを掴まさせる煽り報道などは、国民を罠に嵌めるような報道である。
世界市場は、安倍・黒田のバブル経済政策を他所目に、現実の地合いを眺めながら、昨日も下げ相場を形成している。ウォールストリート・ジャーナルは黒田総裁を「日本のバーナキン」だと褒めそやしているが、奴らが金融マフィアの仲間だからと云うだけで、実体経済になんの貢献もしない事は百も承知である。アジアも欧州も米国も、すべての株式市場が下げている現実を冷静に見つめて貰いたいものである。筆者は、5日の前場で、持ち株の殆どを手放した。その点では、安倍・黒田相場に感謝するが、このようなコラムを書いているように、うたかたの夢は、さっさと確定させておく方が賢明だと思う。
この記事を読んだ人はこんな記事も読んでいます(表示まで20秒程度時間がかかります。)
▲このページのTOPへ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK146掲示板
スパムメールの中から見つけ出すためにメールのタイトルには必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。