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2013/4/4 日刊ゲンダイ :「日々担々」資料ブログ
次の駐日米大使への指名がほぼ確実な故ケネディ大統領の長女キャロライン・ケネディ氏(55)。
父が暗殺された悲劇は5歳の時。そして1969年、11歳の時に彼女をモデルにしたニール・ダイアモンド作の「スイート・キャロライン」がヒットした。
弁護士にして作家、そして与党民主党の有力者。まさにアメリカを代表する超セレブだ。
菅義偉官房長官は「日本でケネディ大統領は非常になじみがあり、あこがれを持っている」と歓迎を表明した。日本側の受け止め方はいつも、そんなふうに情緒的だ。だが、彼女は単なる名家出身のエリート女性ではない。自立心が強く、政治的には非常にリベラル。歯に衣着せぬ発言が時に物議をかもす。
2008年米大統領選予備選ではクリントン氏を支持せず「人々をこれほど鼓舞したのは父親以来」とオバマ氏を支援した。
しかし就任後のオバマ大統領は、期待したほどリベラルではなかった。彼女は失望し「彼の声に我慢できない。彼は嘘つきより悪い」と語った、とホワイトハウスの内幕を描いた本「アマチュア」(2011年)で紹介された。
09年クリントン上院議員が国務長官に転出後、空いた議席を狙ったが、選挙区のニューヨーク州内で反対も出て、断念。オバマ大統領に教育に関する提言を出したが、無視されて不満を募らせたとも伝えられていた。
そんな中での大使起用。大使人事は通常、論功行賞か邪魔な大物を海外に放り出すかのいずれか。彼女はその両方、と言えるかもしれない。クリントン国務長官だと実現不可能だが、ケネディ家に近いケリー国務長官の就任で本人の希望と大統領の意向がうまくマッチさせられたようだ。
だが、彼女が日本で自民党政権とうまくやれるかどうかは別問題。
何せ彼女のリベラル姿勢は半端ではない。同性婚にも自動車産業支援にも全面賛成だが、自由貿易には条件を付ける。環太平洋経済連携協定(TPP)に対する姿勢は未知数だ。保守の自民党にどう対応するか、注目だ。
もうひとつの難問は、パパラッチ対策。3月中旬、デザイナーの夫(67)と2人の娘と過ごしたカリブ海の仏領の小島で水着姿を撮られ、英紙に掲載された。
大使公邸は東京・赤坂の大使館裏。警察の警備はさらに大変になる。
◇春名幹男 早大客員教授。1946年、京都市生まれ。大阪外大卒。共同通信ワシントン支局長、特別編集委員を経て現職。95年ボーン・上田記念国際記者賞受賞。「秘密のファイル―CIAの対日工作」など著書多数。
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