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(TPPのイメージ)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/04/post-084d.html
2013年4月 3日 神州の泉
TPPに関し安倍首相は、日米首脳会談以後、「TPP交渉は聖域なき関税撤廃は前提ではない」と、一点突破的な説明に執拗に終始していたことは記憶に新しい。これがいかに悪質な世論誘導であるか、いくら言っても言い足りない。自民党は選挙公約「J-ファイル2012」でTPP判断基準の6項目を掲げていて、安倍首相はその最初の項目にこだわり、交渉次第では例外的な関税もあり得るかのような強弁に終始していたが、これはIWJの岩上安身氏の取材によって突き崩れている。
結論的に言えば、自民党が掲げた「J-ファイル2012」のTPP関連6項目は、アメリカに対し何の効力も持たなかったということであり、総選挙向けの詐欺公約であったことがはっきりした。注意しなければならないことは、われわれがTPPについて語る時、アメリカという国家とグローバル資本(=国際金融資本、多国籍企業、無国籍企業、国際金融マフィアなど)という二つの言葉が出てきてしばしば混乱する。
これについてはTPPを生み出している元凶(正体)が何であるかを認識したほうがいいと思っている。われわれは今まで、小泉政権以降に導入された得体の知れない“外圧”を、「新自由主義」という一種の思想用語で捉えてきたが、これはたしか本質を捉えている。だが、TPPやグローバリズムを世界に向けて拡散している当の本人と言うか、その具体的な正体については、しばしば混乱があるような気がするが、強いて言えばジャーナリストの堤未果女史が『政府は必ず嘘をつく』(角川新書)で言及しているように、グローバル企業によるコーポラティズムというのが、現在最も事の本質を捉えていると思う。
ウィキで「コーポラティズム」を見ると、説明が衒学的すぎて頭が混乱するが、堤未果女史の説明である“想像を絶する経済界が政府と癒着したもの”という単純明快な概念が今の時点で一番その属性を捉えている。グローバル企業の権限が政府や国家の枠を超え、“モーゼの十戒”よろしく、非人間的な企業憲章を上から人類に押し付けるのである。グローバリズムがその本性を現し牙を剥き出した姿である。
グローバリズムやTPPを創出する意思の所在が、国家としてのアメリカなのか、あるいはグローバル資本なのか、はたまた、その混合体なのかという考えは多くの人が持つ疑問だと思われるが、堤未果女史によるコーポラティズムの概念がしっくり来る。2006年に、シンガポール、ブルネイ、チリ、ニュージーランドの4か国間で始まった極めてローカルだったTPPが、2010年にはアメリカ、オーストラリア、ベトナム、ペルー、マレーシアの5カ国が加わり、9カ国になった。
9か国参加の経緯を表層的に眺めると、何となく普通の多国間貿易交渉のように見えてくるが、実際は2010年にアメリカが加わった瞬間に、TPPは単なる国際的な多国間貿易枠から“コーポラティズム・スタンダード枠”という、危険極まりないモンスターに変貌している。しかもこれは徹底した秘密の中で策定された。“コーポラティズム・スタンダード枠”なる奇怪な新造語を勝手に作る気持ちはまったくないのだが、TPPの劇的な変容を言い表すにはこの種の新造語が本質を捉えるのではないだろうか。
われわれは自由貿易や開放経済という言葉を聞くと、自動的にそれらの言葉が有意義で健全な国際間貿易交渉を表していると思い込む。TPPにもそのイメージが色濃く喧伝されている。TPPはGATTやWTOなどのラウンド交渉から、FTAやEPAのような国際ルールの取り決め交渉などのように、これまでのような耳慣れた国際条約の一つとして出てきたような印象を植え付けられている。
もっともGATTやWTOなどは、IMF(国際通貨基金)などと同様に戦後体制の一環として敷設され、これらが各国間の健全な貿易要請の平均値と出てきたというよりも、国際金融寡頭勢力の思惑が反映して出来上がったものだと思う。それでもこれらは世界の貿易事情を制約する既存の条約として定着している。TPPはアメリカが加わって主導的地位に立った瞬間から、今述べたような国際間の既存条約とはまるで異質なものに変容したと認識すべきである。
特に日本はTPPが内包する圧倒的な経済収奪性を認識する必要がある。経済上の国際条約というのは、各国の自主性や内国制度が尊重されるという前提が担保されて成り立っているが、TPPの最大の異質性はこの担保が最初から存在しないという点に表れている。それはISDS条項の治外法権性格に最も端的に出ている。投資行為を阻害すると判断されたあらゆる事柄が非関税障壁として訴訟対象になり、投資家の利益のみが判断基準となる。しかも非公開の秘密法廷でジャッジされ、訴えられた側には控訴権がないという。まるで私設法廷ではないか。
これには日本のあらゆる制度が対象となる可能性が高い。つまり外圧による合法的な内国制度の大破壊である。事実上の国家解体である。アメリカがTPPに加わった時点で、日本だけを狙っていたと考えるのが妥当であろう。以前、弊ブログに書いた記事の表題通り、『TPPのどす黒い問題点は「秘密主義」「ISDS条項」「ラチェット規定」に集約される』が、TPPがなんであるかを示している。米国市民団体「パブリック・シチズン」が言うように、TPPの内容には米国の両院議員でさえアクセスできず、閲覧できるのは企業顧問の約600人だという。
このような徹底した秘密主義とISDS条項という治外法権条項や、一旦決めたら元に戻れないラチェット規定などは、TPPが既存の国際条約とは全く違うものであることを示している。国会答弁で茂木経産相が、「ISDS条項が濫用されないことの検討で話し合いが行われているという情報を得ている」というようなことを言っていたが嘘に決まっている。なぜなら、ISDS条項はTPPの絶対要件として屹立し、その最大の目的は日本の自主権を奪うことにあったことは間違いない。したがって、これについて交渉の余地は最初からないはずである。
TPPは日本側の貿易上の安全を消滅させるための条約であり、その核心にISDS条項である。TPPにアメリカが加わったのは、グローバル資本が日本の完全収奪を意図し、従来から日本市場のあらゆるデフェンスを取り払えという要求を、条約締結によって強制執行しようという企みである。これを従来貿易条約の延長であるかのように見せかけているのが悪質なペテンなのである。この戦略はグローバル資本と米国政府が結びついたコーポラティズムであり、それはISDS条項の理不尽さに見えている。
以下の記事は「おーい、とらちゃん出番だよ!」さんからお借りしたが、NHKがISDS条項をタブー視(放送禁止用語に)している事実は、コーポラティズムの特徴の一つとして、狙った国のメディアに手を回し経済侵略の真相を覆い隠す手腕の一つである。日本の大手メディアはISDS条項が禁句中の禁句なのである。
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