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安倍晋三首相が環太平洋連携協定(TPP)の交渉参加を正式に表明し、調整が本格化している。だがTPPだけでなく、日本を含む各国は多国間で経済協定の交渉を続けている。すでに発効した貿易自由化の枠組みは200を超える。日本が経済連携を進める時、TPPが唯一、絶対の道ではない。世界で進む交渉の枠組みを整理する。(編集委員・五味洋治、上野実輝彦)
TPPは12カ国が参加する大型交渉だが、他にも日本が参加する交渉が動き出した。ソウルでは日本、中国、韓国による自由貿易協定(FTA)締結に向けた初会合が3月26日から28日まで行われた。3カ国は昨年11月に交渉開始を宣言していたが、米国主導のTPPに刺激され、中韓が前向きになった。
日本と欧州連合(EU)の経済連携協定(EPA)は、3月25日、安倍首相とEUのファンロンパイ大統領が交渉入りを宣言、4月に初会合が開かれる。キプロス金融危機対応でEU側の訪日は急きょ延期となり、電話会談に切り替えられるハプニングはあったが、予定通りのスタートとなった。
日本とEU27カ国の自由貿易圏が創設されれば、世界の国内総生産(GDP)の25%をカバーする。
5月からは日本、中国や東南アジア諸国連合(ASEAN)など16カ国の広域FTAである「域内包括的経済連携(RCEP)」の交渉が始まる。人口34億人の巨大貿易圏実現が目標だ。
ASEANには日中韓を含めたASEAN+3、さらにインド、オーストラリア、ニュージーランドを加えたASEAN+6の枠組みがある。RCEPは、それらの枠組みを束ねる構想といえる。
日本は、昨年交渉入りしたモンゴル、カナダ、コロンビアとEPAの議論を進めている。
日本が加わらない枠組みもある。米国はEUとのFTA交渉を6月下旬にも開始する。世界貿易の約3割を占める世界最大の貿易圏となる見通しだ。
日本にいると米国はTPPばかりに力を入れている印象を受けるが、大西洋をはさんだEUとの協議も進めようとしている。
2国間、地域間の貿易連携協定が入り乱れて進む背景には、自由化の中心的役割を果たしてきた世界貿易機関(WTO)の新多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)が決裂したことがある。
まず連携しやすい国同士がチームとなって貿易や投資の新ルールを作ろうとしているのだが、それぞれの思惑が入り乱れてFTA構想は乱立気味で「統合が必要」との声もある。
◆経済研究所主席エコノミストの話
これまではWTOを通じて世界一斉に貿易自由化を進めようとしてきたが、難しいため1対1でやろうと、EPAがさみだれ式に始まり、TPPの枠組みが生まれた。TPPの狙いの半分は、米国を中心にした経済圏をつくり、中国に対抗しようという外交的なもの。日本がTPP交渉参加を正式に表明したことで、EPAやFTAが連鎖反応を起こして、進展する可能性も十分ある。
[「FTA」 「EPA」 「TPP」]
2国間や多国間で、関税や規制などの貿易の障壁を撤廃し、工業品や農産物の取引の自由化を目指す交渉の略称。自由貿易協定(FTA)は物品やサービスが主な対象。経済連携協定(EPA)はさらに幅広く、投資ルール、知的財産保護も視野に入れる。FTAでも物品の関税撤廃にとどまらず、対象分野を広範に定めるケースが多い。環太平洋連携協定(TPP)は、20以上の分野に及ぶ包括的なルールづくりを目指していて、関税を原則撤廃する高いレベルの自由化に取り組む。
2013年4月1日 東京新聞 朝刊
http://www.tokyo-np.co.jp/article/kakushin/list/CK2013040102000121.html
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