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2013-03-30 陽光堂主人の読書日記
『独りファシズム』の著者、響堂雪乃氏の新著が刊行されました。前著は先鋭的な内容でしたが、今回も同様で、この国及び世界が絡め取られている支配の構造が目前に迫ってくるような迫力に満ちています。
副題は、「支配を構造化する210の言葉たち」となっていて、支配者たちの言葉を中心に、各ページごとの読み切りとなっています。読書離れが進み、コンパクトな記述が好まれる傾向がありますから、時流に合った体裁と言えましょう。
著者がまえがきの中で述べているように、グローバリズムとは畢竟、16世紀から連綿と続く欧米支配層による有色人種支配に外なりません。日本の近現代史を見てもそれは明らかで、偽りの明治維新から大東亜戦争敗北、主権完全放棄のTPP参加の至るまで、欧米(特に米国)による支配が着々と進んでおり、今や最終段階に到達しつつあります。
自由貿易とか規制緩和とか、表向きの綺麗事やスローガンを取り除けば、残忍な弱肉強食の相貌を表します。人々はそうした実態に暗々裏に気付いていますが、認めたくないが故に買弁にすぎない政治家たちの善意に縋ろうとしています。
ダチョウは危険が迫ると身を伏せ、目立たないように長い首を地面に押し付けると言われていますが、今の日本人の有様はこのダチョウと同じで、捕まえられて料理されるのは時間の問題です。警告しても、聞きたくないと耳を塞ぐ人が如何に多いことか。
顔を上げて事態を見据えればどうなるか、その一つの答えが本書で、臆病な人は最後まで読み切るのは難しいかも知れません。しかし真相を見ないで解決は図れません。まずは現状を認識することから始める必要があります。
本書の中から一つだけ紹介します。ローリング・ストーンズの「悪魔を哀れむ歌」の一節を引きながら、著者はこう記しています。
原子力発電の莫大な環境コストやリスクが明らかとなりながら、米国が今なお固執する背景には多層的な利権構造がある。オバマ政権の基盤であるエクセロン社は米国で最多の原発施設を運営し、さらに政権顧問であるW・バフェット率いる投資会社は、NRGエナジー(米国内で10カ所の原発を運営)の株式を大量取得するなど、電力業界と政界中枢の癒着は深い。そのうえ日本国は経済産業省の所轄において「地球環境保険」を創設し、米国における原発の建設費用20%を拠出している。これにより、三菱重工や東芝などが米国にプラントを輸出し莫大な利益を担保する構造だ。かくも経済現象は相互作用的であり、各々が公益性と私益性という矛盾した位相を内包しつつ、抑制不能な世界を構造化している。
安倍内閣が原発ゼロ方針をあっさり撤回したのは、オバマ政権が原発利権にどっぷり浸かっているからなのです。御用マスコミは、この醜悪な構造を報道しようとしません。
文中の「地球環境保険」は耳慣れない保険ですが、独立行政法人日本貿易保険(NEXI)が扱っていて、そのHPには、「省エネルギー、新エネルギー、原子力、ウラン開発、CDM、CCS、植林の7分野に係る機器の輸出およびプロジェクトについて、企業総合保険を付保する際に、「地球環境保険」適用を希望する旨、申告して下さい。適用可能な場合は、地球環境保険特約を付してお引受け致します」などと書かれています。(http://nexi.go.jp/product/enterprise/environment/)
何とまあ、経産省が「地球環境保険」という名目で米国の原発建設を援助しているのです。そこに原発メーカーがたかっているわけで、国境をまたいだ癒着構造が存在しています。原発ムラが国内を超えて、米国にまで広がっていることが判ります。と言うより、米国の原発ムラが本家本元で、その出先機関と表現した方が正確ですが…。
この国の支配構造は堅固かつ重層的で、取り除くのは容易ではありません。欧米の金融破綻は秒読みで、アベノミクスで日本もその仲間になる日も近いでしょう。こうなったら一度破綻して一からやり直した方がよいかも知れません。本書を読むと、その感を深くします。
破綻した際はもちろん、旧支配層は断罪の上、退場を迫られることになります。その時に備えて、本書を読みながら爪を研いでおくのも一法です。極めて深刻な状況を描きながら、戦う意欲も湧いてくる不思議な一書です。
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