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http://www.labornetjp.org/news/2013/0329yano
大阪府労委が不当労働行為認定
なかまユニオン大阪市職員支部長 矢野幸一
大阪市が昨年2月に全職員を対象に実施した、「政治・組合活動に関する職員アンケート」は、労働組合法が禁止する不当労働行為に当たるとして、大阪府労働委員会は3月25日、「今後はしない」との誓約文を組合側に渡すよう大阪市に対して命令しました。
橋下市長はこの命令を受けて記者団に対して、「大変申し訳ない。法に基づいた行政運営をしていく」と謝罪し、不服申し立てをしない意向を表明しました。しかし、同日夕方になって一転して、「組合の振る舞いを全部棚に上げて、鬼の首を取ったように謝れというのは違う。争うべきところは争わないと、全部組合の主張が通ってしまう」と態度を一変させました。
命令書によると、組合活動の有無や加入のメリット、加入しない(脱退する)デメリットなどをアンケートで尋ねたことについて、「組合員に動揺を与え、加入していない者にも加入をためらわせかねない」と指摘しています。
また、争点であった「アンケートの実施主体」については、市側が「調査主体は第三者チームで市長ではない」と主張していたのに対して、府労委は「同チームは市の影響下にあり、調査主体は市だった」と判断しました。
さらには、市は「アンケートは不適切な組合活動の解明が目的」などと正当性を主張していましたが、府労委は「アンケート自体が支配介入に当たる」として、市の主張を退けました。
府労委は、昨年2月22日に大阪市に対して、アンケートが不当労働行為に当たるかの判断を下すまでの間、中断するように勧告しました。そして第三者調査チームの責任者である野村修也弁護士は、4月6日にアンケートを開封しないまま廃棄したのです。
今回の府労委の命令は、一連の橋下市長による労働組合に対する不当労働行為を断罪したものであり、橋下市長はこの命令を受け入れて、直ちに不当労働行為を中止するべきです。
不当労働行為は成立しない?
今回の府労委命令は、職員アンケートの作成・実行責任者である野村修也弁護士に対する懲戒請求の審議にも大きな影響を与えます。
なかまユニオンの組合員、支援者129名が請求した懲戒請求の審議は、請求から1年を経過しましたが、未だに継続中です。
請求代表者である私のところに、今年の3月に当該弁護士の弁明書(2)及び(3)が届きました。そこで展開されている主張は、府労委審議の過程で大阪市が主張した内容と同じです。
つまり、「請求者らの主張は本件調査の主体、依頼者と対象弁護士との関係及び本件調査の必要性の点において請求の前提を誤っている」として、「本件アンケートの実施主体はあくまで第三者調査チームである」「憲法第28条や労働組合法は、使用者と労働者の関係を規律するものであるから、第三者調査チームは使用者ではないので不当労働行為は成立しない」と主張しています。
誰が聞いてもこの理屈がおかしいことは分かると思います。このアンケートを直接作成し実施したのは第三者調査チームかもしれませんが、「この調査は、任意の調査ではありません。市長の業務命令として、全職員に、真実を正確に回答していただくことを求めます。正確な回答がなされない場合には処分の対象となりえます」とまで書いた業務命令書を出したのは、橋下市長だったのです。
そして、このアンケートは、橋下市長が市長就任直後から繰り返している労働組合に対するバッシング(本庁舎からの組合事務所の退去、組合費のチエックオフの廃止など)の過程で行われたことを見れば、橋下市長がアンケートの実施主体であると認定した府労委の判断は当然にして正しいと言わなければなりません。野村修也弁護士の弁明書における主張は、府労委命令によって完全に否定されました。
入れ墨調査拒否者への処分撤回の闘いへの支援を大きく広げることによって、さらに橋下市長の職員への管理統制を跳ね返していきたいと思っています。
*写真は橋下アンケート問題を報じる「東京新聞」(2013年3月28日)
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