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http://ameblo.jp/shimarny/entry-11500031661.html
2013-03-28 21:20:30NEW ! Shimarnyのブログ
経済連携協定で最も重要なことは参加することでなく国益を勝ち取ることである。
昨日の日経新聞と毎日新聞も含め既存メディアは、日本がTPP交渉に参加表明したことで、日中韓FTA、日欧EPA、RCEPなどの経済連携協定が動き出したと、日本のTPP交渉への参加の正当性を強調する。
そして、EUが経済連携でTPPに出遅れたことを焦っている、中国がアジアの枠組みで米国に出遅れたことを焦っているから、日本は交渉を同時並行で進めて相乗効果により存在感と発言力を発揮すべきと強調する。
しかし、EUと中国が焦っている理由は日本がTPP交渉に参加したからでない。
日本がTPP交渉に参加したことから引き起こされる事態に焦っているのである。
EUから見ても、中国から見ても、世界のどの国から見ても、TPPは米国によるアメリカンスタンダードを押し付ける経済連携協定に映ることだろう。
おそらく、この見方をしない国は既存メディアの影響力が絶大な日本だけだろう。
このようなTPPに日本が交渉参加を表明したことは、日本が経済でもアメリカンスタンダードを受け入れる可能性を全世界に示したことになるのである。
つまり、日本が名実ともに米国の属国となる可能性を表明したと見えるのである。
そして、日本が経済も米国の植民地になることに世界が危機感を覚えたのである。
EUとしては、世界第3位の経済大国である日本が、米国の経済的な支配へ完全に取り込まれる前に、ある程度の利権を確保したいと考えるはずである。
中国としては、日本が米国の経済的な植民地化により、影響がアジア地域へ拡大することを防ぐため、アジア別枠のルールを設けたいと考えるはずである。
つまり、EUは日本を割譲するために日欧EPAの交渉を開始したのであり、中国は米国の植民地化を防止するため日中韓FTAの交渉を開始したのである。
本日の読売新聞の社説でもTPPが正義論、自由貿易が正義論に満ち溢れている。
しかし既存メディアのガラパゴス化した国内限定の論調に惑わされてはならない。
[3月28日 読売新聞]経済連携交渉 日本主導で自由貿易圏加速を
http://www.yomiuri.co.jp/editorial/news/20130327-OYT1T01679.htm
日本が環太平洋経済連携協定(TPP)交渉への参加を正式表明したことを契機に、広大な自由貿易圏の構想が次々と具体的に動き出した。日本、中国、韓国3か国の自由貿易協定(FTA)の第1回交渉がソウルで始まった。日本は、欧州連合(EU)との経済連携協定(EPA)交渉を4月に開始する方針でも合意した。日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)などが参加する東アジア包括的経済連携(RCEP)の交渉も5月にスタートする。
各国・地域が自らに有利な自由貿易圏を競う潮流が、さらに鮮明になってきたと言えよう。複数の交渉に加わる日本にとって、貿易ルール作りに積極的に関与できるチャンスである。各交渉の早期合意を実現し、成長に弾みをつけなければならない。韓国が米国やEUとのFTAを発効させたのに比べて、日本は出遅れが目立つ。打診していた中韓両国や欧州との交渉を開始することすらできずにいた。
ところが、日本のTPP交渉参加の動きを受けて、EUと中韓が対日交渉開始へ軟化に転じた。EUには、日本との協定をTPPへの対抗軸にする思惑がうかがえる。米国ともFTA交渉開始で合意し、近く交渉を始める。世界の動きからEUが取り残される事態を警戒したのは明らかだ。日中間では尖閣諸島の問題がくすぶるが、中国も日中韓交渉の開始により、アジアへ関与を深める米国を牽制けんせいする狙いがあろう。
日本の課題は、貿易ルール作りを主導できるかどうかだ。EUとの交渉では、EUによる自動車などの高関税の撤廃とともに、日本の自動車、医療機器市場などの規制緩和が焦点になる。早期合意へのハードルは高い。日中韓交渉も、知的財産権や競争政策などが交渉分野になるだけに、先行きは不透明だ。TPPでは、コメなど農産品を関税撤廃の例外扱いにするかを巡って駆け引きが予想される。日本にとって、市場開放度を高める自由貿易の新たな枠組みを目指すことが大前提である。
一方、交渉を同時並行で行うことで米欧や中国を揺さぶる道も開けよう。国益を反映させる交渉力を発揮すべきだ。中国を国際ルールに取り込む必要もある。貿易赤字に転落した「輸出大国」の立て直しは急務と言える。TPP参加表明が世界に及ぼした相乗効果を生かし、政府にはしたたかな戦略が求められよう。
まず、読売新聞の社説で目を疑ったのが「韓国が米国やEUとのFTAを発効させたのに比べて、日本は出遅れが目立つ。」との論調で述べていることである。
米韓FTAの締結内容について、TPP交渉で自民党が守る国益として掲げた下記の6項目の条件と照らし合わせて、米韓FTAの善し悪しを判断してみる。
●「TPP対策に関する決議」では、下記がTPP交渉における最低の条件
(1)「コメ、麦、牛肉・豚肉、乳製品、甘味資源作物」の重要5品目等を守る
(2)自動車の税制制度と安全基準と環境基準を守る、工業製品の数値目標を阻止
(3)公的医療給付範囲を維持、医療機関の企業参入と混合診療の全面解禁を阻止
(4)農薬と添加物、遺伝子組み換え食品、原産地表示、BSEなどの基準を守る
(5)ISD条項(投資家による国家訴訟制度)を阻止
(6)公共事業の参入自由化を阻止、郵貯とかんぽと共済等の金融サービスを守る
例外品目は「コメ」以外守られず、国民皆保険は経済自由区域で全面解禁、自動車の安全基準と環境基準は守られず、食の安全が守られず、ISD条項を受け入れ、保険サービスは3年以内に全面解禁されるのである。
つまり、米韓FTAはTPP交渉で自民党が守る国益として掲げた6項目の条件を一つもクリアできず、韓国が締結した自由貿易協定であるということになる。
この結果、米韓FTAは韓国の全面敗北で締結した不平等協定と言えるのである。
そして、米国との不平等協定を締結している韓国を称えて、日本も韓国と同様にTPPで米国との不平等条約を締結するよう促しているのが読売新聞となる。
読売新聞の論調が完全に間違っていることは、韓国が米国やEUと締結したFTAで韓国の国益を損ねる不平等条約にも関わらず、韓国の輸出企業が成長できるという理由だけで正しかったと判断していることである。
そして、読売新聞が間違った論調になった理由は、結論に述べる「貿易赤字に転落した「輸出大国」の立て直し」という錯覚した固定概念があるからである。
日本は毎年輸出額を伸ばしており万年世界第4位をキープしているのである。つまり、輸入額が増えて貿易赤字になろうと「輸出大国」には変わりはない。
どうしても貿易自由化を正当化することにより、TPPを正当化したいのだろう。
読売新聞が貿易自由化の側面しか見ていないことは、日本は自由貿易協定により関税撤廃しても韓国ほどGDPに影響を及ぼさないことからも明らかである。
念のため世界の主要国の輸出額の対GDP比つまり輸出依存度を下記にまとめる。
●2011年の輸出額の対GDP比(国際貿易投資研究所の調査を抜粋)
2位 シンガポール:157.59%
14位 タイ : 65.50%
24位 韓国 : 49.86%
31位 ドイツ : 41.34%
64位 中国 : 26.02%
96位 日本 : 14.02%
104位 米国 : 9.82%
おそらく、韓国はGDPの約半分を輸出で占めるので、米韓FTAなどの不平等条約を締結しても、国内産業に壊滅的なダメージを与えても、輸出産業を成長させて輸出額を倍増すればGDPを補うことは可能である。
しかし、日本は輸出額はGDPで14%しか占めていないのである。この割合でTPPで韓国と同様に国益を損なう不平等条約を締結すればどうなるだろうか。
もし、国内産業に壊滅的なダメージを与えれば、輸出産業を成長させて輸出額を最低でも6倍以上に引き上げなければ、GDPを補うことができないのである。
では、輸出額はGDPで10%未満の米国がなぜTPPを推し進めるのだろうか。
米国は、GDPの90%以上占める世界随一の国内産業で培ったルールを海外に輸出することで、国内市場と同一の市場を構築しようと考えているのである。
そして、国内産業はこれまでと同じルールのまま海外進出が可能となるのである。
つまり、TPPで米国のクローン国家をいくつも誕生させることによって、GDPの90%以上占める国内産業のパイを何倍にも広げようという構想と言える。
この米国によるクローン国家の増殖構想が、読売新聞の表現では「貿易ルール」「国際ルール」「市場開放度」「新たな枠組み」に置き換わるのである。
既存メディアが主張しているTPPが正義論、自由貿易が正義論は間違いである。
世界でガラパゴス化した既存メディアの国内限定の論調に惑わされてはならない。
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