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TPPのイメージ(あるいは多国籍企業のイメージ)
(画像は http://blog.livedoor.jp/fistoria/archives/1267757.html から拝借)
http://shimotazawa.cocolog-wbs.com/akebi/2013/03/post-a6d2.html
2013年3月28日 神州の泉
TPPは日米構造協議の行き着く果てである。日米構造協議とは、日米間で貿易不均衡の是正を名目に、1989年から1999年までの間の計5回開催された協議である。不均衡とは言うが、実態は日本製品が圧倒的に優れていたから米国内で売れたに過ぎない。したがって、これは構造協議という名の日本イジメであった。その後、それは1993年に「日米包括経済協議」と名を改め、翌年1994年から「年次改革要望書」という、世間からは目立たない“沈降的な二国間協議”に変わった。年次改革要望書は2009年の鳩山政権時代に「日米規制改革委員会」を廃止したことによって自動的に消滅したとされている。
しかしながら、この経過はいっさい公表されていない。「年次改革要望書」の発生経緯と消滅経緯がいっさい秘されている事実こそ、日米関係の深奥を象徴しているではないか。これこそ典型的な日本の属国根性・負け犬根性ではないか。この交換日記のような代物の対日要望書は「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく日本政府への米国政府の年次改革要望書」という舌を噛みそうな長い名称である。
在日アメリカ大使館はこの要望書(和訳)をHPで公開していたが、国民はおろか政治家もその存在を知らなかった。知らないという意味は、日米双方ともこの要望書の存在を公開していたにもかかわらず、日本のマスコミや政府関係者はこれをタブー視し、謙抑を通り越して、まるで最初から存在しなかったかのように話題に取り上げないという姿勢を固持していた。1994年から取り交わされていたが、マスコミも政府も、2004年に関岡英之氏が「拒否できない日本」を著すまで、何と10年間も“ガン無視”状態は続いた。
それだけではない。関岡氏が奮闘したにもかかわらず、2004年以降も多くの国民には認知されず、この潜行状態は続いた。なぜなら、対日要望書の最大の核心であった郵政民営化が実現されてしまったからだ。米国の対日要望が多く実現したにもかかわらず、政府や役人はそれらが内政として実現したかのように繕(つくろ)った。ウィキペディアによれば、日本側が行った対米要望は悉く実現していなかったそうだ。というか、BSEなどの衛生基準要求などを除けば、日本側の要求は棒にも箸にも引っ掛からないようなどうでもいいことばかりだったのではないのか。この事実から年次改革要望書がワンウエイ(片務)の対日指令書だったことが分かる。
米国が年次改革要望書で日本に提示した要求は、電気通信、 情報技術(IT)、 エネルギー 、医療機器・医薬品 、金融サービス 、競争政策、 透明性およびその他の政府慣行、法務サービスおよび司法制度改革 、商法、 流通など、日本の社会構造のほぼすべてに渉っている。
2009年の鳩山政権がこれを廃止したが、2010年の鳩山首相の退陣を受け、9月14日に、菅直人氏と小沢一郎氏の民主党代表選が行われた。圧倒的に小沢一郎氏が優勢だったが、党員サポーター票で菅氏は小沢氏の5倍の票数を得て当選した。間違いなく党員サポーター票が不正操作されている。アメリカが小沢総理の出現を忌避したからである。党首選のさ中、これを補強する“やらせ事件”が起こった。尖閣の中国漁船衝突事件である。これによって中国脅威論が湧き上がり、やっぱり日米同盟は頼りになる、ここは対米隷属の菅直人氏の方がリスクが少ないと考えた連中が菅氏に投票した。北朝鮮マターもそうだが、大事な局面で対米隷属にヒビが入りそうになると、米国は日本に対して軍事的脅威を演出するのが常套手段である。
話を年次改革要望書に戻す。小沢―鳩山ラインが年次改革要望書にピリオードを打つという、戦後史でも画期的な偉業を成し遂げたにもかかわらず、菅直人首相は対米ポチ犬に成り下がり、年次改革要望書を復活してしまった。ただし、名前を“日米経済調和対話”と変えてだが。それにしても、“調和(harmonization)”という語句を使うことで穏やかで平和な印象を植え付けるとは、まさに詐欺師の口舌(くぜつ)ではないか。米国側の要望項目はほとんど年次改革要望書と同じである。
少し長くなったが、TPP(環太平洋経済連携協定)は、関岡英之氏が最も早くからズバッと指摘しているように、年次改革要望書、日米経済調和対話の延長、そして終局的スタイルとして、米国が最後通牒のように出してきたものである。何となくハル・ノートを想起する。けっして突然出たものではない。郵政民営化の経過を米国側から見ると、彼らのイライラ感がよく見える。年次改革要望書の最大の目的だった郵政民営化が、法案は成立したものの亀井静香氏やその他の有志らによって、米国の思い通りに行かなかったわけである。
開き直った米国は、今までのようなステルス作戦で、日本内部からの市場開放、構造改変を諦め、TPPという強制ルールの枠に日本を巻き込んで、関税障壁、非関税障壁のブロックを悉く粉砕する手段に出た。直接攻撃に出たわけである。何度も言っているが、これは開放経済とか自由貿易の範疇ではない。平和的な経済条約の衣を着た狩猟用の罠なのである。トラバサミというバネで作動する鮫の歯状の罠をご存じだろうか。これに挟まれたら犬くらいの動物は足を失うが、TPPはこの仕掛けとそっくりである。足を踏み入れたら命を失う。冒頭で書いたように、TPPは1989年に始まった日米構造協議の成れの果てであり、日本に対する市場開放要求の究極的な形なのである。
何度でも言うが、参加したら日本は終わる。
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